プロローグ
はじめまして、今回初めて小説を書かせていただいた駄目人間です。
色々と駄目な部分もあるでしょうが頑張って書いて逝ければイイナーなんて思ってます。
ではのんびりとどうぞー。
「今日はホント、ついてないなぁ・・・」
なんだってこんな事になったんだろうか。
俺はそう思い、本日何回目になるか覚えていないが重々しく「はあ・・・」とため息を吐く。
幾分どころか、かなりの疲れを滲ませたその息を体内から排出したところで、気分はちっとも晴れやしない。
そりゃあ、ただ息を吐いただけで気分が回復するなんて都合の良い話などありはしないと分かっているが、それでもやはり、自然とため息が零れ落ちてしまう。
「グルルルル・・・」
そういや、人間ため息一つすると寿命が何十秒か減ると言われているが、もしそれが当たっていたとすると俺は今日だけで既に10分~20分程寿命を削ってしまった事になる。
20分と言ったら大体一食分の飯を食う分、装備の手入れの分、エロ本を読む分、下らない雑談をする分、ちょっと一休みする分等々の割とどうでもいいが無視できない行動ができる時間だ。
その時間を無駄に消費している、と考えると俺は案外損な事をしている様にも思えてきた。うん、今後はため息は禁止にしよう、そうしよう。
あー、早く仕事終わらせて一休みしたいなー。昨日は余り寝れなかったから今日は早く寝たいぜ畜生。
「グアルルルルルルルルルル」
「・・・はぁ・・・」
かなり現実逃避気味に妄想にふけっていた俺だが、禁止にした傍からまたため息が零れる。どうやら目の前の存在は俺の馬鹿な行為を許してくれなかったようで、重厚感のある唸り声を再度上げている。
いい加減色々と諦めがついた俺は、目の前の存在にウンザリとした視線を向ける。
まず目に着くのは一対の、とても力強さを感じる巨大で真っ赤に染まっている翼だ。所々鋭い棘も生えており、触っただけでもスパッと切れそうで痛そうな印象を受ける。
次に見えるのは、とても凶悪そうな人相(?)で、「今すぐ手前を食い千切ったるぜぃ」とでも言いたげな・・・いや、確実に言っているであろう、蜥蜴を巨大化&凶暴化させたような頭(顔?)
そして、いかにも堅く防御力が高そうな赤色の竜鱗を、巨大な体(俺の身長を軽く超えている)全体に覆っているその生物は御伽噺や英雄録などに出演して、絶大な知名度を誇っている―――
「なんだって、竜種がこんな所に出てくんだよ・・・」
そう、竜である。重量、筋力、魔力、知力、防御力。程度の差があれど、全てにおいて人間とは比べ物にならない程の、桁外れた力を有する、生物達の頂点に君臨する化け物。
それが今俺の目の前で、唾液を垂らしながら舌なめずりしている。まるで美味しそうな獲物を前にした獣のようだ。
・・・獲物とはつまり俺の事なのだが。
ここまで言えば分かるだろう。俺は今。
「こりゃあ・・・今日は厄日通り越して災厄日、だな」
竜・・・ドラゴンに襲われていた。
「ガァアアアアアアアアアアア!!!!」
俺が呟くと同時、竜が合わせたかのように吼える。それだけで大地が震え、他の生き物達が尻尾を巻いて逃げていった。つまり、俺だけ、この竜から逃げ遅れた状態だ。
そして、他の野生動物を追わないという事は、相手は完全に俺を獲物と認識したみたいだ。事実、もう目がヤバイ感じになって俺を睨んでいる。正直泣きたい気分です。
が、んなことしていたら、ただ喰われるだけなので・・・仕方なく、俺は背中に携帯していた愛用の大剣(それなりに良質な鉄合金で出来た、かなりの重量がある両手剣。ちなみに片刃)を引き抜き、体は横向きにのまま、大剣を竜に向け下段に構えた。
とまあ・・・格好だけ武器を構えてみたものの、ぶっちゃけ勝てる見込みゼロに近いです。
そりゃそうだ。俺にゃあ御伽噺に出てくる英雄や勇者のような伝説的な力は無い。この武器も、重さこそあれど、竜鱗をバターの様に切り裂く伝説の魔剣のような悪魔的切れ味なんてもんに一光年離れた位置の切れ味しかない。
つまり俺は、正真正銘、多少筋力が高いだけで、普通の戦士で傭兵だ。そんなんが、竜種に勝てる訳が無い。
かといって、他の野生動物みたく尻尾を巻いて逃げる事も、竜相手じゃあそうとう難しい。
なんせ相手はあの巨体で普通の鳥よりも遥かに速く飛べるのだ。物理法則をガン無視しているとしか言い様がないが、事実そうなのでしょうがない。
更に酷いのが、ここら一帯岩も木も何も無い平地であり、隠れられるスペースが皆無である事だ。おかげでどうやってもガチなタイマン勝負をしなければならない。
なので必然的に俺が取れる行動と結末は限られてくる。それはすなわち
戦うか/戦わないか
勝つか/負けるか
殺すか/死ぬか
喰うか/喰われるか
となる。
まったく持って、嫌になるくらいシンプルで分かりやすくて恐ろしい自然の摂理だ。
「まったく・・・本当、なんでこうなったんだか」
最後にひとつ。疑問、というより愚痴を零して、眼前に迫ってきた「死」に抵抗しようと大剣を力強く握りなおし、死神(竜)を睨み付けた――――
ため息に始まりため息に終わる。そんな話です(マテ
なんでこうなったかは次の話で書く予定ですのでw