ステーキをください。焼き加減はR(レア)で
一度も来たことがない街の、初めて見る店名のステーキ屋だ。こういうところが実はうまかったりするんだよな。
紙ナプキンがある店だといいが。
「こちらの席にどうぞ。ご注文がお決まりでしたらお呼びください」
こじんまりとした店内の丸いテーブル席に座り、備え付けの紙ナプキンを確認しつつメニュー表を見る。
この店の看板らしいのは……? この1ポンドステーキか。焼き加減はどうするか……。……なんだとっ!
W ウェルダン
M ミディアム
R レア
SR スーパーレア
SSR スーパースペシャルレア
UR ウルトラレア
これはっ。URとはなんだ? いやしかし、尋ねるべきか。それは自尊心が許さない。ここはSSRくらいにしておこう。また来れるんだ。
呼び鈴を鳴らす。店員さんがすぐにやってきた。
「1ポンドステーキセットをください。スーパースペシャルレアで」
「1ポンドステーキセットですね。以上でよろしいですか?」
「はい」
別の席にも店員さんは行った。
「1ポンドステーキセット。ウルトラレアで」
負けたな。きっと常連なんだろう。
「こちらのステーキ、スーパースペシャルレアです」
しばらくして私の前に運ばれてきたステーキは、ピンク色の赤い生肉であった。
そうきたか。この明るい色。おそらく子牛。当たらないといいな。
しかし、スーパーレアの見当はついた。レアの手前で生の子牛の後だから、大人の牛の生だろう。
しかし、ウルトラレアとはなんだろうか。
「こちらのステーキ、ウルトラレアです」
行儀は悪いだろうが、運ばれたらしいウルトラレアの方をちらりと見る。
そこにあったのは、ジョッキに入った白濁液だった。




