おいでませ、徳々セール!
俺は死んだ。
天罰ってやつなのかもな。
生きてるうちは悪いことばかりしていた。
警察の世話になったこともある。
親も何度泣かせたことか……
だが反省なんて全くしてねぇ
俺は絶対に天国へ行く。
地獄なんてまっぴらごめんだ。
そんなことを考えながら、
俺は長く暗い廊下を歩いていた。
ここがあの世の入り口なんだろうか。
廊下を歩き続けると、
そのうち一つの扉が見えてきた。
その扉を開けると、
そこは百貨店の催事場のような所であった。
「徳々セール、早くしないと売り切れますよ~〜!!」
店員のような男がメガホンを持って、
周りにいる人々へ呼びかけていた。
おそらくこの人々も俺と同じ、死者なのだろう。
みな、"徳"と書かれた袋を取り合っていた。
「なぁ、とくとくセールってなんだ?」
俺は店員のような男に尋ねた。
「あぁ、生前の徳が足りない方々に、特別に徳をお配りして、その罪を軽くするサービスです!最近地獄も人手不足で…よかったらお客さんもどうぞ!」
俺はそれを聞いて閃いた。
こいつら全員ぶっ飛ばして、徳を独り占めしちまえばいいんだ、と。
生前、俺は喧嘩や暴力沙汰ばかり起こしていたので、一般の人々を蹴散らすことなど訳ないことだった。
そして、両手いっぱいに徳の袋を抱えた俺は、例の店員のような男に話しかけた。
「どうだ!これで俺も天国行きだろ!?」
「お客さん、たくさん手に入れましたね、ではあちらからどうぞ!」
男に指さされた方には、なんとも美しい装飾がなされた扉があった。
よっしゃ!!これで俺も天国行きだ!!
俺は勢いよく扉を開けた。
ーーーーーそして現在、
俺は全身を拘束、さらには猿ぐつわをされ、頭に電極のようなものを埋め込まれている。
嫌だ…嫌だ…
次の瞬間、前の人生ではおよそ感じたことのない痛みが全身を襲う。
「ぎゃああああああ!!」
麻酔薬の供給が厳しくなったこの世界で、俺は痛みの代行業をさせられていた。
出産、手術、事件、事故、
なんの痛みかなんて、俺に考える余裕なんてない。
あの徳々セールで配っていたのは、
来世で徳を積むための、痛みや苦しみが詰まった袋だったのだ。
今日はいつ終わる?
これはいつまで続くんだ?
死なない程度に休憩を挟みながら、
俺の日々はまだまだ続いていくようだ。




