転生幼女はチートでお金持ちになりたい!誰か助けてください
私はマリエ、7歳。
平民で、街の工房の娘に生まれた。
パパは金属の加工が得意だけど、木やガラスも多少扱っているの。
何ヶ月か前に、風邪で数日寝込んだことがあった。
その時に前世の記憶が蘇った。
異世界転生したなら、チートでしょう!
そう思った私は、早速アイデアを出そうと頑張った。
何でもいいのよ、便利でこの世界に無くて、私にでも作れる物なら!
――何もなかった。
この世の真理を知った。チートで無双が出来るくらいに行動力があり、頭がいいなら、前世でも会社を起こして社長になれていたって。
あんまり使った事は無いけど、定番のアレなら作れるかな?
私は、パパの羽ペンを握りしめアイデアを絵に書き出した。
ズバリそろばん!計算機がないこの世界に必要で便利だから売れる筈!
「ねぇねぇ、アル。ちょっと相談があるんだけど」
うちのパパの弟子で一番下っ端のアル。
年が近いから気軽に頼める、有り難い存在だ。
「はぁ、マリエ。こっちは仕事して、工房の後片付けもして疲れてるんだけど?」
「ごめんごめん。でも、これ見てみてよ!発明なのよ!」
一生懸命書いた絵をアルに見せる。中々の出来だと思うんだけど…。
アルには伝わらなかったみたい。まぁただの箱に点々が沢山付いている意味不明の絵よね、知らなければ。
私は、アルに分かりやすく説明した…が理解してもらえず。とりあえず形の詳細を細かく伝えて現物を作って貰うことにした。
いつ完成するかしら?皆ビックリしちゃうんじゃない?
うちの工房が大儲けしてお金持ちになっちゃうかも!
そんな妄想を膨らませて待つこと4日。
アルはきちんと再現されたそろばんを作って持ってきてくれた!
「お前の説明通りに作ってみた。で、これが何だって?何かの玩具か?」
「ふふふふふ。見てビックリしなさいよ!なんとこれは計算出来るアイテムなのよ!」
早速、アルに実演して見せてみる。が。
……。
反応薄いな?何で?簡単に足し算も引き算も出来るんだよ??
「これ、計算あってるのか?計算なんて習ったことないから全然わかんないや」
あーーー、そこから!?
私は少し挫折を感じたが、親世代ならこの発明品の凄さがわかるだろう。
「とにかく、よく出来ているわ!ありがとうアル!」
「おう」
パパに見せる為に、そろばんを持って突撃した。
「パパ!これ、計算出来る発明品なの!使ってみて!凄いのよ!」
私はパパの前でまた計算を披露した。
「マリエは賢いなぁ。でも、パパは計算できないから答えがわかんないよ」
お前もかーーー!
確かやり方は知らないけど、コレで掛け算も割り算も出来たはず。私はできないけど。
普通に計算式のほうが便利だと思うけど。
「誰か計算出来る人を呼んで来て〜!」
結局、計算が出来て、私が作った(色々とごめんなさい)そろばんの価値をわかってくれたのは母1人だった。
結果、うちの男どもは役に立たない。
母が頼りだと気づいた私は、売り出し方法や、安価に作る方法を母と一緒に考えた。
職人さん(父とその他)が一生懸命作ってくれるから成り立つんだけど…。経営の為にも、母任せは止めて計算くらいしようよ、お父さん。
結果的にそろばんは大ヒット。主に、平民に受けた。
街のそろばん教室は今日もおじさんたちでいっぱいだ。
大きなお友達は、幼児先輩に席を譲りましょうね!