私の気持ち
最近、いつも同じ夢を見る。
自分がまだ子供だったときのおばあちゃんの夢だ…
でも、なぜだかおばあちゃんの名前も、顔も、声も、着ていた衣服すら思い出せない。
思い出せるのは、自分がそのおばあちゃんにすごく懐いていたことと、おばあちゃんが自分のことをとても可愛がってくれていたこと。
私は、夢を見るのが嫌いだ。
だって夢の中では何も覚えていないおばあちゃんと話しているみたいで、なんとも不気味なのだ。
だけど、私のできることなんてもはや寝て夢を見るだけだ…
95年も生きた。
優しいだんなに出会い、優しい子が生まれた。
かわいい孫と遊んで、ひ孫の顔さえ見ることができた
もうこの人生に一片の悔いもない。
………いや、それは嘘になるだろう。
少し前までは孫もひ孫もお見舞いに来てくれて、楽しそうに話しをしてくれた。どれも私の知らない話だ。
当然だ、何年も入院しているだけなのだから私の知る話なわけない。
ユーチューブ、インスタ、ティックトック、
ツイッター、どれも知らないコンテンツ。
「昔」はこんなものなかった
「今」存在する娯楽
私はその娯楽を知ることなく死ぬ。
当然のことだ
私のおばあちゃんは携帯を知らずに死んだ。
そのおばあちゃんはテレビを知らずに死んだ
きっと私の祖先には編み物を知らない人も服を知らない人も料理を知らない人もいた。
それでも、私は…まだ死にたくない。
存在を知ってしまったのだ。
もし、使わず死ねば悔いが残る…
それでは嫌だ。
最後くらい一片の悔いも残さずに逝きたい。
明日は、孫が来るひ孫を連れて…
いつぶりだろう…もう、日にちの感覚すらわからない…
この小説は3話構成(の予定)です。
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