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4-5 奴隷市場

まずい、まずい、非常にまずい。金なんて1円も持ってない…、円じゃなくてエルだ。


「購入の前にもう一度、直に商品の吟味をお願いします」

ケルトの側に来た店の関係者がそう告げる。そうして、移動中に首輪のシステムについての話が始まった。

「奴隷は何人目でございますか?」

何人目?なんて言えば怪しまれないだろうか?

「1人目です」

「そうなんですか。ではチャンネルはこちらで設定しておきます」

「あ、はい。お願いします」

チャンネルの設定って何だ?俺、テレビ買ったっけ?あー、おまけか。奴隷買ったらサービスでテレビも付いてくるってやつだな。通販とかの定番だな。

そして、何故かリモコンだけ渡された。「へ?」ケルトはつい首を傾げてしまった。それには相手も首を傾げたのだが、ポンと手の平を叩くと、何かを納得した様子になっていた。

「本当に初めての購入だったのですね。てっきり前までいた奴隷が死んで、期間が空いていたものかと。お父様がいつも買われていますからね。坊ちゃんは初めて1人で買いに来たという訳ですね」

俺を誰と勘違いしてんだ、こいつ。坊ちゃんって。俺の親父人間界にいるんだけど…。まぁいいか。

「リモコンの赤ボタンは非常時に押してくださいね。首輪が爆発して奴隷を殺せますので。軽く痛めつけるくらいですと青ボタン、それよりも少し強力なお仕置きの場合は黄色ボタンを使用してください。遠隔操作も可能でこの最新機種のリモコンですと半径10mくらいが範囲になります。」

「なるほど、了解です」

「でも坊ちゃんは見る目があります。この奴隷はおととい入荷したばかりなんです。ヴェルネル街で大暴れしていた悪魔だったんです。ナタナエル様が必要に買おうとしていたのは自分のお店を壊された腹いせだと思われますし。1週間もすれば我慢の限界が来て話が回ってくると思いますよ。ナタナエル様なら2億だろうと買われると思いますし。天賦の才、御見それしました」

ほう、何か知らんが、高評価を頂けてこちらこそ何よりだ。そして、とある一室へ案内された。

「檻から出すのは禁止です。外から眺める程度で品定めをお願いします」

そう言って店の者はケルトを部屋へ入れた。扉を閉めると外で立ちんぼを始めたのだった。

中にまでは入りません、信用していますってことかな。

ケルトは檻に近づくとうっかりで買ってしまった悪魔を見る。

こいつはレベル1、富裕層しかいない街で大暴れをしたらしいが、あそこへ入るには関所を通過しなければ入れない。今の体ではそんなことは絶対にできない。

「お前は輝石を持っていたのか?」

ケルトの質問に檻の中の悪魔は答えない。どころか、顔も見ようとしない。ケルトはため息を吐きながら同じ質問を何度も繰り返す。

だが、返答はない。

「ナタナエルの店を襲ったそうだが、何も答えてくれないのなら、そいつに引き渡すぞ。それが嫌なら答えろ」

その言葉に態度が急変する。

「私は輝石を持っていた」

「属性、レベルはいくつだったんだ?」

「氷属性でレベルは10000だ」

「天界の遣いにやられたのか?」

「違う。天界の遣いなんて雑魚だった」

「じゃあ、誰にやられたんだ?」

「分からん。一瞬の出来事だった…」

天界の遣いでないとすれば、悪魔か?確か…ミージャは天界兵とやらになりたがっていたような。

「お前は天界兵だったのか?」

「そうだ」

「なぜ、その地位を捨てるようなことをした?こうなることは分かっていただろ」

その質問に対し、悪魔は唇を噛みしめ、涙を流し始めた。

「ここへ連れてこられたのは私だけではない。もう1人いたんだ。仲間ではないが、気のいい友人だった」

「ナタナエルの店にそいつがいたってことか…」

「人質となったナーチャは私の為に自殺した」

足枷になりたくなかったのだろう…。悪魔はフルフルと体を震わせながら泣いたまま。

ふぅ…。これも何かの縁なのかもしれないな。引き渡されたら解放してやるか。

ケルトはため息を吐いた後、そのまま悪魔のいる部屋から出ていった。

しかし、どうしたもんかねぇ…、マジで。ケルトは詰んでいるこの状況を整理してみることにした。まずは1億eを払わなくてすむ方法の模索。今すぐ払わないといけないもんかねぇ?子供だよ。…、まぁ、年的に俺は子供ではないのだが。でも、一応設定では働いてないことになってるから大金は親の物で持ち歩いてないと言えば筋として通る。後でパパが払いにくるとでも言っておくか。悪魔を連れて何の気なしに奴隷市場をおさらばできそうだな。

そうと決まれば早めに行動を起こさないとな。

そして、次なる問題。視界に微かに入っているのだが、入り口付近で大騒ぎしている子供がいる。何やら聞き覚えのある名前を口にしているのが気がかりである。

おっと、これは私の偽造身分証の本人が来ているではありませんか。

このまま逃げるか。出るのに身分証の提示は必要ない。今なら何食わぬ顔で素通りできる。だが、それだと、アウロラを見捨てることとなる。ナタナエルに買われればその先は地獄だろう。

俺にはうっかりとはいえ、希望を与えた責任がある。

ケルトは近くにいた黒服に入り口で暴れている子供について聞いてみた。

「坊ちゃんの身分証を偽造している模様です。どうなさいますか?」そう聞いてくるではありませんか。

どうするも何も、「とりあえずこっちに連れてきて」ケルトの言葉に黒服は「やはり坊ちゃんはお父様に似ておられる。かしこまりました。別室へ案内しますのでそちらで宜しくお願いします」

別室?なんだそりゃ…、勝手に話が進んでって怖すぎなんですけど。

「おい、偽物。本来なら警察へ突き出すところだが、坊ちゃんは寛大であられる。坊ちゃんのやさしさに触れ反省しろ」

黒服は暴れていた少年を部屋へ投げ入れるとそう捨て台詞を吐いた。

「では坊ちゃん、何かありましたらお呼びください」そう言って、いくつかの道具を渡し、去っていった。

密室にはケルトと少年。ケルトの手には黒服から渡された拷問セット。俺に何せいっちゅーんねーん。

「坊ちゃん?お前の名前を教えろ」少し痛めつけられている少年は立場というものを分かっちゃいない。どこからも上から目線である。

「お前に言ってどうなる?」

「僕は今回お忍びでここへ来たんだ。僕を救えば、これから先お前の親に便宜をはかってやるって言ってんだよ」

ふーん。俺ここに住んでる訳じゃないから便宜をはかられてもな…。しかも、こいつがボコられたのは俺のせいなので、便宜は必ず仇となって返ってくるだろ。

「分かった。便宜を図ってもらえるのは助かる。手の縄程いてやるから後ろ向け」

「おぉ」

素直に後ろを向く少年にケルトは首元にチョップをかまし、気絶させたのだった。そのまま、部屋の外に待機していた黒服に気絶した少年を渡した。

「俺の買い物が終わるまで監禁しといてくれ」

「承知いたしました」

ケルトはそのまま市場内を徘徊することにした。とりあえず正体バレの危機は回避した。奴隷引き取りの手続きが完了するまでしばしの時間がある。適当に徘徊していたら時間も潰れるだろうよ。ん?俺は何をしにきたんだっけ?

ブブ、ブブ。ポケットに入っている無線が振動している。

「はい、こちらケルト隊員」クランからの連絡である。

「書類関連の倉庫への侵入に成功した。紙を貼っている向かいの部屋には俺がいるからそこは探さなくていい。そこ以外を頼む」

「…りょ」

クランさんは真面目に…そう、俺は今レイナの捜索をしていたのだった。

クランさん、マジパナイっす。今回は出直しだな。2頭追う者はってやつよ。1億eの言い訳を考えつつクランの邪魔をしないようにフェードアウトしていく作戦しかないな!

そこに黒服がやってくる。「ガライザック様、奴隷の引き渡しの準備が整いました。お支払いはいつもの口座より引落しで構いませんか?」

流れに身を任せるしかないようだな。

「あぁ、それで頼む」

「支払いに際して、お父様の承諾が必要となります。一度連絡をとっていただけますか?」

だよねー。未成年は保護者の同意って確定条件だよねー。

まずいよねー。「あ、の、今日電話忘れてて」

「大丈夫ですよ。坊ちゃんの電話を借りるなど、恐れ多い。こちらからお父様へおかけするのでお坊ちゃんはそのままでいてください」

え…詰んでるよね。これ、確実に正体バレるやつだよね。

黒服は電話をかけ始める。

今、暴れる訳にはいかない。まだ、アウロラを受け取っていなのだから。受け取りさえすれば、こんな心臓に悪いヒリヒリ状態から即行でトンズラかますってのによ。たかが電話だろ…、のどの調子が悪いとかその辺で切り抜けられるだろ。

そんなこんなでケルトが考えふけっていると、「お父様と話がつきました。契約成立です。この度は誠にありがとうございました」そう黒服に頭を下げられる。

あれ?考えすぎだった?そりゃ、坊ちゃんだもんな、電話で本人確認なんて金持ちのすることじゃないよな。太っ腹こそ金持ちの神髄。あー、良かった良かった。ケルトは黒服からアウロラを受け取ると、当初の考え通り、即座に撤退することにした。

ガチャリ。アウロラの檻の鍵が開く。「坊ちゃん、お宅までお送りいたします」

ケルトはドキッとするが、「大丈夫だ。外に付き人を待たせてあるから」そう言って内心のドキドキを表面に出さないように努め切り抜ける。

「さようですか。ではここで受け渡しとなりますが、お出口までは付き添わせて下さい。こちらにも体裁がございますので」ケルトとアウロラについてきた黒服は入り口付近で頭を下げる。

「ガライザック様、本日は誠にありがとうございました」ケルトはアウロラの手を引き、頭を下げる黒服に手を振った。そして、フリーズしたのだった。

何故俺の人生はスムーズに流れてくれないんだろうか。頭を下げる黒服の後ろには見覚えのある少年が立っており、その横にはお父様なんじゃね、という人が立っている。

お父様…来るの早くね…。

絶体絶命のピンチの中、ブブブ、とポケットで鳴る無線をオンにする。

「おいケルト、緊急事態だ。レイナの居場所は分かったんだが、事務室から出られなくなった。今は隠れて見つかってはいないが、出るには力づくしか手段がない。だから、お前は先に逃げろ。俺の騒動に巻き込まれる前に」

無線によりクランからの緊急連絡が入ったのだが…。ケルトは何も言えない。事態はすでに遅いのだ。

「あいつだ、僕を監禁したのは」そう言って少年が指さす。用心棒であろう店の強面の関係者が大勢集まっている。

ふぅ…。お父様ったら、手際良すぎっす。お仕事はマフィア関係ですか。ケルトは無線に向かって言葉を発する。

「俺が直感で動く担当な。お前は考えて動けばいいって。だから、情報を持ってるお前はそのまま見つからずにここから出ることを最優先に考えろ。それは何があってもだ。武器も無いんだ。お前と俺の戦力は大して変わらない」

「だが、俺の問題だ。ケルトは撤退しろ」

「いいや、もう既に行動に移ってる。そろそろお前のいる部屋からも人はいなくなるだろうから、その隙に逃げろ」

オークションが楽しくて任務そっちのけで遊んでましたなんて口が裂けても言えない。ならば、ここできっちり仕事するしかないだろ。出口の数メートル手前、これはデジャブではないか。そう思うケルトであった。ラスタルへ来る前、ラクトスの森も数メートル手前だった。皆で抜けられないのなら――ケルトは手を繋いでいるアウロラから手を離し、背中を押した。

「逃げろ、俺がここで足止めしといてやるから」そう言って、アウロラを逃がす。ケルトはそのまま出口とは逆方向、強面さんの群がる中へと突っ込んだ。

魔法が使えないのは――人間の身で個の最強は語れそうにないな。

1人、2人、殴り倒すもそこまでだった。殴られ、倒れたところを囲まれ袋叩きにされた。そして、その場を通りすがろうとして立ち止まったクランと目が合った。心配そうな目をしている。その先にいるアウロラもクランと同じような顔をしている。

立ち止まってんじゃねぇよ。

「うぉらぁ!行けぇ!」倒れこんだままのケルトはそう叫ぶ。その声にクランは止めた足を再び動かし、外へと出ていった。アウロラも再び走り出した。

仕事を終えたケルトはボコボコの体ではあるがホッと胸を撫でおろす。

パスッ。すぐ横で音が聞こえた。視線を動かすとそこにはライフルを構えた男がいる。そしてその射線の先には――

『お前は誰も救えない』ケルトの脳裏にその言葉がフラッシュバックする。

「クソがぁ!!」ケルトの上に乗っている男を全力で押しのける。視線の先には逃がしたはずのアウロラが倒れていた。

「お前等絶対に許さん」ケルトは怒りに全てをゆだね、暴力の化身と化す。

「なんだ、こいつ」用心棒の集団を一蹴し、倒れているアウロラの元へと歩く。

俺が必ず逃がしてやるからな。

ケルトは倒れるアウロラへ手を伸ばした。パスッ。そのままケルトの視界はブラックアウトしたのだった。


バシャン。勢いよく水を掛けられ、ケルトは目を覚ます。手は後ろで縛られている。

「あら、起きたようね。詐欺師さん」声の主を見るようにケルトは顔を上げる。

ガコッ。顔を上げた瞬間、顔面を蹴られ、仰け反った。後ろで縛られた手が支えとなりひっくり返ることは無かったのだが。目の前の光景にケルトは目が点になる。

ロープで首を縛られそこに結び付けられたロープをリードのように持っている女性が立っている。彼女は確か…、俺がオークションで争った女。そして、ロープを付けられているのは言うまでもない。アウロラだった。

「私の名前はルシアーノ=ナタナエル。よーくこの顔を覚えておきなさい。次、私に何かしようものなら、あなたも私の奴隷にしてあげるから」

ガスン。ルシアーノはアウロラの髪を掴むと、顎から地面に叩きつけた。

「これは私の会社に大赤字を出させた犯罪者なの。罰は私が下すべきでしょ」不敵に笑うルシアーノに感じるのは不快感の他に何もない。ケルトはキリッと睨み返す。

だが、それに逆上することもなくルシアーノは一層笑みを深くする。

「あなたは何故これを助けようとしたの?」

これ?…だと…。動こうとするが、手首につけられたロープを掴んでいる者がおり、ケルトは前に進むことが出来ない。

「答える気は無いようね。じゃあ、いいことを教えてあげる。地獄にいる者が希望を見せられて、地獄に置いてけぼりにされたらその者はどういう未来を辿るのか」

どういう未来?何言ってんだこいつ…。答える価値もないな。ケルトは相変わらず睨んだまま、無言を貫く。

「はい、残念。――正解はわずかだった生きる活力が消え去り、自殺するのでした。あなたがやったことはそういうこと。絶対に助からない者に手を差し伸べたこと。――お前がこれにトドメを刺したといっても過言ではないわね。この殺人鬼」

ルシアーノに言われたことがじわじわと頭に染みていき、それが理解へと変わっていく。

「———お、れ、が…」救えもしないのに手を出したせいで、この先もしかしたら助かるかもしれなかったアウロラが自分から死を選ぶことになる…。俺がアウロラを絶望へと叩き落したのか?確かに知識としては知っていたかもしれない。動けない人に外には沢山の楽しい世界が広がっていると教えるとその人は絶望し命を絶ったという話があった。―――おれがやっていることはまるで同じこと…。

ケルトの絶望に染まる顔を見て何とも楽しそうなルシアーノだった。

「そう、そう。そういう顔が見たかった。あなた、最高じゃない」ケルトの顔を見てルシアーノはケタケタと笑っている。

だがな…。ケルトは再びキリッとルシアーノを睨みつけた。

「無駄無駄。そんな怖い顔したって何も変わらないんだから」

見下すルシアーノに対しケルトは「だがな、俺は知ってるんだよ」そう言い放った。そして手首がロープからスポッと抜ける。ケルトは手をイジイジさせていて、ロープは血まみれだった。自分の血で滑らせ、ロープから脱出したのだった。そのまま立ち上がった勢いでルシアーノを吹っ飛ばすと、ルシアーノからリモコンを奪い取りアウロラを抱え、走り出した。

俺は俺のせいでアウロラが不幸になるってことを知ってる。だから、絶対に見捨てない!希望の地まで絶対に送り届けてやる!

無我夢中で走るケルトであったが、パスッ。再びケルトは麻酔銃を打ち込まれた。

くっ…。一気に体を脱力感が襲う。だが、しかし!ケルトは唇を噛み、意識を呼び覚ます。走って、走って―――走った。奴隷市場の出口を出て路地の入り組んだ中を走っていたのだが―――バタッ。ケルトは力尽きてしまった。乱暴に放り出してしまったアウロラ。誰かの足音が聞こえる。その姿を見て、ケルトは笑ったのだった。

「行けって言ったじゃねぇか、――クラン」

「俺はお前を見捨てて逃げることはできない」

「まぁ、そんな奴だよな、お前」

「だったら、今すぐ――」クランの言葉を遮った。「あいつを頼む。俺は直感で動く担当だ。二度も言わせんじゃねぇよ。俺は俺で何とかするから」

遠くから足音が聞こえてくる。

「お前だって無事じゃすま――」「正直助かったわ、クラン。俺1人じゃアウロラは助けられなかった。だから、頼む。絶対に後で合流するから。だから、今はアウロラを助けてくれ…」

ケルトの強い眼差しにクランはそれ以上何も言うことはなかった。アウロラを布で包み、抱えてその場を離れていったのだった。

「おい、悪魔をどこにやった!?」キンキンとうるさい声で喚くルシアーノ。

うるせぇって…、頭に響くわー。

「ここに1人残して後は全員悪魔を捜しなさい」そうテキパキと指示を出すルシアーノ。

グヘッ。ケルトはルシアーノに踏みつけられたのだった。

「これ以上は許せないわ。あなたはここで殺しましょう、やりなさい」

ルシアーノは1人残した男に指示を出す。ナイフを取り出した男がケルトの心臓を一突きしようとしたその瞬間だった。

「勝手に死刑執行は止めて欲しいな。人間を捌けるのは天界の遣いだけ。法を犯すつもりかい?」

そこに現れたのは天界の遣いだった。

「エゾル様!!」ルシアーノと用心棒の男は即座に地べたにひれ伏したのだった。

「申し訳ございません。しかし、この男、私の奴隷を勝手に外に逃がしたのです」

「そうなの?でも、その男に前科はないでしょ。1回は更生の余地を確かめる。それが人間に与えられた権利な訳だからそれを守らないってのはどうなのかな?」

「す、す、すみませんでした」

「まぁ、分かればいいよ。こいつは俺が務所にブチ込んどく。出てきてまたこんなことしてるってんなら、その時は君にこいつの権利を譲ろう」

「ありがとうございます」

「じゃあ、そういうことだから」そう言ってエゾルは既に意識の無いケルトを引きずり、奴隷市場から去っていったのだった。



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