漫才【胸の痛み】
A よろしくお願いします。今日も一生懸命頑張ります
B うっ
A どうしたの?
B 最近、胸が痛くてね
A 大丈夫?
B うん。たまになんだけど、痛くなるんだよね
A 今以外だと、どんな時に痛くなるの?
B 好きな人に会った時とかかな
A それはたぶん恋だね
B 女性と擦れ違った時は、必ず胸が痛くなるんだよね
A それは恋じゃなくて、ただの女好きだね
B そうかな?
A ということは、今は客席に女性が沢山いたから、胸が痛くなったわけね
B うん。でもね、女性と擦れ違わなくても、胸が痛くなる時もあるんだよね
A 恋以外だと、どんな時に胸が痛くなるの?
B おめでたい行事で、少し高級な魚を食べたときには痛くならないのに、ある川魚を食べたときだけは、少し胸が痛くなるんだよね?
A それはたぶん鯉だね
B その川魚を普通に食べたら痛くならないのに、ペットポトルの醤油一本丸々使って、甘辛く炊いたものを食べたときには必ず、胸が痛くなるんだよね
A それはたぶん『濃い』だね
B 鯉の甘辛く炊いたものを食べたときもそうだけど、誰かに鯉の甘辛く炊いたものを食べさせる前も、胸が痛くなったかな
A それは表現上だけの、現実には起きてはいない痛みね
B 遠近感が全く掴めない人に、何か言われながら手招きをされたけど、その手招きの手が思い切り、僕の胸に当たってしまって。そのときも胸が痛くなったかも。何を言われたかは忘れたんだけどね
A それは『来い』だね
B 痛くなれ!痛くなれ!って、自分の胸を思い切り叩いた時も、胸が痛くなったかな
A それは故意だね
B 大好きな鯉のぼりを見ているときも、胸が痛くなるかな
A それはたぶん、鯉に恋だね
B 雨が長い間降っていない時に、雨よ降れ!雨よ降れ!と願う行為を『雨〇〇』って言うんだけど、その〇〇の部分を忘れてしまったときも、胸がムカムカしたんだよね
A それは乞いだね
B まあ、とにかく色んな原因で胸が痛くなるんだよね
A さっき、胸が痛いじゃなくて、胸がムカムカする、みたいなこと言っちゃってたよね
B まあ、いいじゃん。細かいことは
A それで、今の胸の痛みは結局、何だったの?
B ただの緊張
A いい加減にしろ!【ツッコミで胸を叩く】
B 痛いな。今のが、今まで生きてきたなかで、一番の胸の痛みだよ
A そんなに強く叩いてないからね。いい加減にしろ。どうも、今日はありがとうございました。次もよろしくお願いいたします