伝説とその日常
すいません保存してたUSB紛失してしまってました(>_<)
その次の日に僕たち三人は正式に入部届を提出した。
実際全員学生の平均を大きく上回るほどの実力者で部内対局を続けるだけでかなり手ごたえを掴んだ。
ちなみに僕も団体戦だけ出場することになってしまった。
桂葉たちから、角堀先輩をたきつけた責任を取れと言われては断りきることはできなかった。
それから二週間がたとうとしていた。
その日僕たちはいつも通り部室に集合していた。今日対局はしないらしい。
なんでも重要な会議?があるらしい。
僕が部室の扉を開けるとそこにはもうほかの三人がそろっていた。
「あら?珍しいですわね。両馬さんが最後になるとは。なにかありまして?」
狐来乃が僕に気づいて尋ねてくる。
実際普段は桂葉や角堀先輩が最後になることが多い。
「うん。ちょっと理事長に呼ばれちゃて。ごめん遅れちゃったみたいだね」
「あぁそういうことね。それできちんとお勤めできたの?」
「あたりまえだよ。あの人しっかりとするまで僕を解放してくれないんだから。もうすでにくたくただよ」
僕が溜息混じりにそういうと三人はそれもそうかと言って自分の定位置の席に座った。
僕も荷物を近くの開いている机に乗せると一番奥の席に着いた。
「それで今日は何するんですか。重要な話があるんですよね」
僕がそういうと三人はそろって微妙な反応をした。最近三人の息がぴったり合ってきたように思う。
特に僕に対する反応はそっくりだ。
「それはね両馬君、部員が足りないのよ~。このままだと団体戦に一人足りない状態で挑まないといけなくなっちゃうの~」
今にも泣きだしそうな雰囲気をもって僕に抱き着いてくる角堀先輩。
本当にどうでもいいのだが彼女は座っている僕の顔を包み込むように抱き着いてきていた。するとどうなるのか。
彼女の大きな二つの丘陵がダイレクトで制服越しに僕の顔にぐいぐい押し付けられる。女の子のいい香りと、破壊的な威力を誇る柔らかさを堪能することになった。
「ちょっとあんた少しは抵抗しなさいよ!先輩も両馬の顔にその大きなものを押し付けないでください!!両馬が窒息しそうになってます」
桂葉が慌てた声で僕から愛花先輩を引きはがした。
僕は離れていく角堀先輩の感触に後ろ髪をひかれながらも別のことを口に出していた。
「部員が足りないんですか」
「高校性の団体戦は五人一組で三勝上げた方が勝ちなんですわ。だからわたくしたちでは一人足りないんですのよ。まぁ、戦力という意味では問題ないかと思いますが今年はわたくしたちの世代ですからね……」
何故か歯切れの悪い狐来乃になんて返せばいいのか思案していると、
「狐来乃ちゃん多分そいつ理解してないわよ。愛花先輩と私たち三人の世代は災厄の世代って言われてることどうせ知らないでしょうし」
桂葉の呆れを含んだ言葉で余計に混乱が深まった。
「わたしたちの世代は過去類を見ないほどの豊作なの~。とくにその中の一部には異名がつけられるほどなのよ~。例えば狐来乃ちゃんだったら≪妖狐≫だったかしら?私にも異名があったと思うのだけれど思い出せないわね~」
「わたくしその呼ばれ方嫌いなんですのよ。愛花さんは≪氷獣≫ですわよ。ちなみにこの前の軽薄男は≪鬼人≫で貴方は≪魔竜王≫と呼ばれていましたわ」
どうやら狐来乃の話では異名持ちは特にとびぬけた強さをもっているが他の棋士たちからは嫉妬の対象であり異名持ちに近い棋力になろうとどんどんと強くなっていくため全体の棋力がとんでもないことになったらしい。
僕が引きこもっていた間にすごいことになってるなと人ごとのように思っていたら桂葉にジトっと睨まれていることに気が付いた。
「どうかした?」
僕はその視線に耐え切れず桂葉に問いかけると。
「あんたは多分知らないと思うけど災厄の世代と言われている最大最強の要因はあんたよ。
電脳王戦の後に次々に強者が頭角を現してきたの。正直私より強い棋士は強豪校なら複数人いると思った方が良いわよ。だから私たち四人だけで登録するのは良いとは思えないのよ」
そっか僕が引きこもっていた数年間の間色々起きていたらしい。
でも僕には他に強い人の当てはなかったがみんなはあてがあるのだろうか。
「ところで僕たち以外に有望な人いるんですかねこの学校に。あいにくと僕には心当たりないですけど」
僕の疑問に三人は微妙な顔をした。
「わたくしも知りませんわね」
「私はそもそも将棋の知り合い少ないし……」
「わたしはあんまり周りの人に関心持ってなかったから~」
三者三葉の反応で安心できないことを言い出してきた。
つまりみんな友達が少ないらしい。
「あんたなんか失礼なこと考えてない?」
僕の思考を読んだのか桂葉がそういって睨んできたのでごまかすことにした。
「それもうどうしようもなくないですか?正直言って知らない人と組みたくないですし。それに今から探すにしてももう時間ないですよ?確か登録期限明後日とかじゃなかったでしたっけ。諦めるのも一つの手だと思いますけど」
「う~ん、それもそうなんだけど今から少しの間だけ探してみない?もしかしたら一人くらい居るかもしれないしね。探してみる価値はあるんじゃない」
それから僕たちは手分けして勧誘してみることになった。基本は他の部活に所属してない帰宅部の生徒の中から二時間くらい探してみることになった。