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魔王、少女になる

じょ・・ち・・・ん


(声が聞こえる...我はどうなったんだ?)


じょう・・・ちゃん・・・


(誰だ?)


重く閉じた目蓋を開いてみるとそこにはぼんやりと二人の男の姿が見えそして声がはっきりと聞こえてきた


「おい、嬢ちゃんどうしたんだ、そんなとこボケーと立って」


(嬢ちゃん?何を言っておるのだこいつは...我は魔王だぞ?)


男達の顔を見てみようとして上を向いたが。自分の異変に気がついた。


(我は...こんなに視点が低かったか?)


「おーい、聞こえてるかー?」


「うるさいのう、お主ら、嬢ちゃん嬢ちゃんと我は魔王だぞ!黙らんと主らを滅するぞ!」


「魔王?・・・ぷ、ぷぷぷ、ぎゃはははははは魔王だってよ!」

「魔王か、そりゃ凄いなー魔王ごっこするなら友達とやりな!」


(こやつら、馬鹿にしおってからに...後悔するなよ...我の力、見せてやる)


すると魔王?は手を空に掲げ叫ぶ


「力よ、闇に示し我に力を与えその力で不届きものに罰を与えさせよ」


魔王?が唱えると手の当たりから黒いオーラが見え始めた。男達は異変に気がついたのか魔王?の方をまじまじと見つめる。


「光を屠りし闇を創造するための主の力。我が妻、ザーグの力よここに示せ!」


魔王?が空に掲げてた手を男二人の方向に向け叫ぶ


「デス・ティネーション!!!」





プス...


魔王?の手からはガスが抜けたような情けない音だけが鳴った。すると男達はそれを見てまた大笑いしだした。


「ば、ばかな!!なぜ我の異次元魔法が出ないのだ?」


魔王?が困惑しながら自分の手を見つめる...するとあることに気がついた。


「な、ななななんだこの手は!小さい...我の手はこんなに小さかったのか!?いや、他にもおかしなところがある...肌色だ...手の皮膚の色が肌色だ!!いつもの青白い色じゃない!?」


魔王?が大声で自身の体の異変に驚愕していると大笑いしていた男達がいつの間にか冷めており逆に少女?を気味悪がり始めた。


「お、おい何かこいつ気味が悪いぜもう行こうぜ...」

「あ、ああそうだなごっこ遊びにしちゃ演技に熱が入りすぎて気味が悪い...」


男達は足早と魔王?の前から逃げていった。魔王?は自身の異変に気がついてショックを受けていたせいか男達が逃げていったことには気がついていなかった。その後、あらかた体をペタペタと身体中を触り他に何か変わっていないか確認した後、魔王?は周りを見回すと男達がいなくなっていることに気がついた。

だが自身へのショックがでかかったため男達のことはもうどうでもよいと思っていた。

周りを見回したとき衣服屋に姿見の鏡が立て掛けてあることに気がつき、とぼとぼ歩きだし衣服屋の前に立て掛けてある姿見の鏡の前に立った。すると魔王?はさらにショックを受けた...


「な、なななな、なななななななななななんじゃこれわあああああああ!!!!!」


魔王が大声で叫ぶ...その鏡には1人の可憐な少女が写っていた。

その少女は薄い水色の長い髪の毛をしており服は家が裕福ではないのか有り合わせの布で作られた服を着ていた。


「わ、我は一体どうしたと言うんじゃ...こ、こここんな美しい少女になっているなんて」


魔王は元々美しいものが好きだったらしく異世界に行ってはその世界で欲しくなった美しいものはどんな手段を使ってでも奪い取っていた。


(わ、我だったらあと5年ほどしたら妻に取るレベルの美しさだ...)


すると少女の叫び声に気がついたのか衣服屋の中から少し太ったおばさんが出てきた。


「なんだいなんだい、店の前で騒いでいる馬鹿わ!」


すると鏡の前に立っている少女に目が止まった。

少女も気がついたのかおばさんの方をみる


「あら、可愛らしいお嬢さんだこと、うちの店に何か用かい?」


少女は慌てながらおばさんにここがどこなのか聞いた。


「お、お主よ、ここはどこだ!この国はなんと言うのだ?」


少女が一瞬何を言っているのか理解が出来なかったがおばさんは少し首を傾げたあと屈んで少女の質問に答えてあげた。


「ここは、王国イスタリムの外れにある名前もない小さな町だよ...なんだい、あんた迷子かい?」


(王国イスタルム...聞いたことあるようなないような)



少女は今自分が立たされているこの状況が理解しようにもしきれていなかった。この状況に苦悩していると突然肩を叩かれた。少女は驚き後ろを振り向くと指が少女の頬を指した。


「エリカちゃんはっけーん!!」


振り向いた先には赤色の髪をした女性がいた。


(だ、誰だ!?この女は!!)


「もー探したよエリカちゃん!!」


「なんだい、この娘あんたの連れかい?」


おばさんは呆れた顔をして名前を呼んでいた女性に話しかけた。


「はい!うちの大事な宝物です!」


女性は元気はつらつな眩しい笑顔をして少女の事を宝物だと答えると少女の手を握り引っ張り出した。


「あっ・・・」


「行くわよエリカちゃん、お昼御飯が待ってるよ」


「また迷子になるんじゃないよー」


そう言われると女性はおばさんに向かって深く頭を下げた後少女を連れていった。


この間1分の出来事だった。やり取りが早すぎて少女はこの会話に割り込むことが出来なかった。



衣服屋を離れると少女は少し落ち着いたのか手を引く女性が誰で、何が目的で自分を連れていくのか気になり問いかけた。


「ところで主は誰じゃ我を連れていってどうするつもりじゃ...」


女性はその言葉が耳に入ると突然少女の手を引くのを止めた。女性は振り返り少女の前に立ち自分の顔を少女の顔に近づけてくる、その行動に少女はひどく警戒した。そして少女の顔の前で女性が言葉を発した瞬間少女の警戒は一気に解けることとなる...


「エリカちゃん...あなた...ついに喋れるようになったのねー!!」


女性は抱きついてきた。


「な、なななんじゃお主!?止さぬか」


「エリカちゃんかわいい声、その喋り方も凄くかわいい!!」


話を聞いていない...


「や、やめろ!我を誰だと思っている!!我はエリカなどではない我の名は........?????」


名前が出てこない...


(わ、我の名は.......??だめだ思い出せない我の名前のはずなのに名前が出てこない...どうなっておるのだ我は?)


少女は自分が魔王だった頃の名前が思い出せず苦悩していると抱きついていた女性は少女から離れ再び少女の手を握り引っ張り出した。


「早く帰ってランプおばさんにエリカちゃんが喋れるようになったと報告をしなきゃ!」


「わっ、ちょっと」


先ほどより歩く速度が早くなり少女は速度に追い付くために短い足を精一杯動かすことに集中しなければならなかったので手を引っ張る女性に話を聞くことができなかった。


(我はこのまま一体どうなるのだろうか...)


誤字、脱字、作品への感想があればお願いします。

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