その3
電車に乗り約1時間。病院の前にはたくさんの報道陣が集まっていた。
報道陣をかき分け病院に入る。
できればいてほしい。昔の記憶をたどりながら入院してた階のナースステーションまでたどり着くと願っていた見覚えのある人がいた。
あれから十数年経つがあまり変わっていない。
「谷さん!」
思った以上に大きな声がでてしまい周りから何事かと注目されてしまった。
谷さんは振り返り誰?という顔で陽一を見た。
「工藤です!工藤 陽一です!」
少女のことで頭がいっぱいで病院についてからどうしようか。全く何も考えていなかった陽一は、自分の名前を伝えることしかできなかったが、谷さんはびっくりした表情で近寄ってきた。
「あなた本当に陽一君?全然わからなかったわよ!おっきくなったわね~身長は?」
「185です!それよりあの子は・・・?」
谷さんとの再会も嬉しいが、今は少女のことで頭がいっぱいで気になってしかたない。
谷さんは察してくれたのか状況を話してくれた。
美奈の両親は1週間前に交通事故で亡くなってしまったこと。
少女は・・・奈美は目覚めたときは話すことすらできなかったが、脳が短時間で恐ろしい発達を見せ最初は幼稚園児みたいだったのが今はすっかり落ち着いてるという。
俺は、谷さんに連れられ奈美のいる部屋に向かった。