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銃の勇者の英雄譚  作者: NAO
一章 時を駆ける者
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6話 異世界人

 

「____それで?皆の様子は?」


 街に人気が少ないのを確認し、蓼はその話を持ち出す。


「あんまり変わんないわね。でも一晩過ごしたみたい。脱走者は5名ほど。」


「勇者は?」


「治癒が。あとはわからないわね。」


「出たか....何時だ?」


「さっき。」


「で?」


「飛ばしたわよ、監視用のドローン。」


「流石だ。それで、男女比は?。」


「3:2。」


「一人は治癒として.....もう一人は?」


「3年生、先輩ね。」


「____リア充は何組?」


「一組いr___「爆ぜ砕け散れ。」


 雪奈の言葉を遮る形で蓼はそう言う。


「____そういえば、何飛ばしたんだ?」


「機関銃付いた奴。自動ロック機能があって、設定すると対象だけを監視し続ける。下には迷彩引いてあって上部についたカメラで撮った空の景色をリアルタイムで映し出すおまけつき。因みにドイツ製よ。」


「マジかよ凄えなドイツ。」


「それで、朝飯って言ってもね....昨日と同じ場所だとまたまずいんじゃない?」


「ああ、だからこうやってダニアスを探してる。」


「店を探してるんだと思ってた。」


「そんなわけ.....お、いたな。」


 蓼はダニアスの方へ駆けていく。


「よう、ダニアス。昨日はありがとうな。」


「おお、リクか。それで?昨日はよく眠れたか?____いや、寝かせなかったか?」


 そう言い笑ったダニアスに向かい、ナイナイ、と言ってから続ける。


「で、飯にしたいんだが......良いとこあるか?最低限、セツナを連れてっても文句言われないところ。」


「ん?あー、やっぱ昨日のお前らだったんだ。」


「ん?お前もいたのか?」


「いいや、ただ知り合いからお気に入りの店に女連れ込んだ野郎が入ってきたってよ。」


「へぇ〜。」


「で、飯の話か?ならギルドで食うといい。あそこは美味いぞ!」


「いやぁ、だから酒のにおいが.....」


「大丈夫だ、朝から飲みったくれるような野郎はいねえよ。」


「そう言うもんか.....いや待て、昨日の奴等がいたら面倒な事に....」


「その件なら大丈夫だ、俺の顔を立てりゃあ問題ないさ。」


「ふむ......ダニアス、お前って結構顔広いんだな。」


「まあな。」


「さて、じゃあギルドに行くか。」


 その声に、三人はギルドへと向かった。


 ------------------------------------------------


「本当にスッカラカンなんだな.....」


 ギルドに入るなり、蓼はそう呟く。


「ああ、もう数時間前は昨晩と同じくらい多いがな。ほぼ全員依頼こなしてるよ。」


 ふーん、と言いながら蓼を含めた全員は同じ席に着く。


「そういうもんか......まあいい、オススメのメニューは?」


「ああ、ならトリテだな。」


「トリテ?」


「知らんのか?」


「ああ、全く。」


「リグドラゴンの肉を油で揚げた物だ。滅茶苦茶美味えんだぜ!」


 リグドラゴン......なんだそれ。


「それは.....高いのか?」


「ん?いいや、全然。まあリグドラゴン自体低ランクモンスターなのもあるしな。」


 そうなのか.....


「じゃ、それで頼む。」


「おうよ。____お嬢!トリテ三人前!」


「はいはーい!」


 その声の後、しばらく経ってから油に何かを入れるジュワーっという音が聞こえてきた。


「・・・」


「・・・」


「・・・」


 ヤバい....特に話す事がない.....


 蓼はダニアスの顔を少し伺う。

 やはり彼も話す事のないこの状況をよくないように思っているようだ。

 雪奈は......今すぐ帰りたそうだ。


 そんな蓼達の元に料理が運ばれてくる。


「はいはい、トリテ三人前よ。」


 そう言い一人の女性がテーブルに唐揚げのような物を大盛りに盛り付けた皿を置いた。


「これが.....」


「ああ、トリテだ。旨えぞ。」


 そう言いながらダニアスはその揚げ物を次々と口に運んで行っている。


「どうした?遠慮せず食え。」


「そ、それじゃあ......」


 蓼はそれに恐る恐る手を伸ばし、口に運んだ。


「こ、これはッ」


「へへへ、どうだ旨えだろ?」


「_____普通の唐揚げだな。」


「え?から...なに?」


「ああいや、気にしないでくれ。」


 ......こいつはリグドラゴンなる竜の肉らしいが.....味が完璧すぎるまでの唐揚げだし、そいつの肉は鶏肉に似てるのか?いやつかそれホントに竜か?巨大な鳥とかそんなじゃなくて?


 ____まあいいか、美味いっちゃ美味いしな。

 さて、今後の方針だが....別に特にやる事も無いんだよなぁ.....


 そんなことを考えつつ、蓼はトリテを口に放り込む。


 まあいい、奴等が此処に来ない事には、計画も進展しない。

 ____いや、もう準備は整ったってとこか?


 その考えに至るなり蓼は席を立った。


「ん?どうしたリク?どこ行くんだ?」


「ひきこもる、どうせやる事も無いしな。」


「はい?なーに言ってんだお前?___なあ、セツナのお嬢はどう思う?」


「......彼らしいかと。」


「そういう人間か。」


 次に、雪奈も席を立つ。


「ん?お前もひきこもるのか?」


「_____いえ、私は自分がしたい事を。」


「依頼達成?」


「まあ.....そんなところです。」


 そう言い残すと、雪奈は依頼書をカウンターに提出、ギルドから出て行った。


 一人残りのトリテを平らげようとしているダニアスに、トリテを揚げた女性が近づく。


「まーたなにやったの?恐喝?セクハラ?」


「バーカ、なにもやってねえよ。」


 二人はそれなりの付き合いのようで、そんな会話を交わす。


「____やっぱり、塩が足りなかったかしら?」


 その女性はトリテを一つつまみ、そう言った。


 --------------------------------------------------


 3日後_____


 3日ぶりに外出した蓼は、ある噂を耳にした。

 それは、『勇者達が来た』というもの。

 その勇者とやらが、雪奈達の事を指す確証は無いが、蓼はダニアスを探して街を歩く。

 そして、一人の男に再開した。


「え?津田君?津田君じゃないか!」


 はあ?誰だ?


 三日間食っちゃ寝生活の所為で頭の回転がやや遅い蓼は後ろを振り返る。

 するとそこには、同じクラスの磯貝 尊(いそがい みこと)が馬に乗っていた。

使用武器:無し

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