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銃の勇者の英雄譚  作者: NAO
一章 時を駆ける者
3/15

1話 ゲーム開始

 

 か、考えろ、考えるんだ俺。


 蓼は一旦停止した脳を回転させ、思考を巡らせる。


 今のはなんだ?いやこれはどうでもいい、後回しだ。

 雪奈がVBR Belgiumをどこで知ったか?いやこれもいい。


 そう、重要なのは何故奴がそれを知っているかだ。

 考えられる可能性は3つ。


 1つ、奴自身が吹き込んだか、間接的に吹き込んだ。

 前者の場合、雪奈は奴に一度会った事になる。

 しかし雪奈は奴の声に聞く覚えは無い様子だった。

 勿論奴は変声器など使用してない。

 つまりこの可能性は低い。

 なにか催眠術とか掛けられてたら別だが....

 後者は結構高そうだ。


 2つ、どっかの馬鹿が雪奈に話したのを聴いた。

 これは結構確率が高い。

 奴自身だけじゃ無い、奴の仲間の一人でも聞けばいいだけの話だからな。


 3つ、超能力。

 これは一番低い。

 つか無いだろ絶対。


 _______と、分析してみはしたが.....


 正直に言おう、俺は奴の言うことを半分信じてる。

 半信半疑、ってやつだ。


 あらゆる現象は科学で説明がつく。

 だが奴ら__ゴブリンのソレはもはや本物だった。

 奴らの肌に触れたから分かる。


 あの時はボディペイントと思い込もうとしていたが、あれはどう考えても生物の肌だ。

 しかもあのメイク、マスクを被らなければあんなもの出来るはずが無い。

 だがあれの材質もまたマスクなどでは無い。

 奴らは確実に表情筋を動かしていた。


「ハァ.....」


 蓼は深いため息を吐き、空を見上げる。


「最後にさっきのドラゴン。ありゃもう想像つかない。」


 そう言い、上を向いた状態で雪奈の方に首を傾ける。


『ほぅ、ではやっと信じる気になったのだな?』


「ハァ.....お前の声もお前の声だ。全方位からのスピーカーだと?ふざけるな、スピーカーだったらもっと反響する筈だ。これはイヤホンでも付けてるんじゃ無いかって音質だぞ。一体どんな手品をつかったんだ....」


 あの銃の入ってた箱も箱で、推定行動7000mから落ちて一切の昇温無しだ。

 冷やしていたという可能性もあるが、もはやそんなこと考えるのすら疲れる。


「最後に質問いいか」


『なんだ?』


「今の会話、俺達以外の勇者及び一般生徒にも聞こえてたのか?」


『いいや、この言葉を含めてお前たち個人に干渉した会話は全てお前達にしか聞こえない。私はこのゲームを楽しんでいたいだけだ、一人の勇者に肩入れする気は無い。』


 ほぅ、そいつはいい。

 初っ端から正体バレてるとかこのルールだとマジにヤバイからな。


 確実に信じきったわけじゃ無いが、用心に越したことはない。


『それでは、健闘を祈る。』


 ふぁっ!?


「ちょ!おい待て!お前の名前は!?」


 蓼の言葉は届かなかったのか、それとも無視されたのか、声の主は何も言わなくなった。


「_____差し詰め、神様気取りってとこか.....まあいい。」


 蓼は呟くようにそう言い、銃の入った箱に目をやる。


「銃の勇者か.......雪奈、どう思う?」


「どう思うって言われてもね......なにかの冗談?」


「ま、普通はそうなるよな、俺だってそうだった。」


「だった?」


 蓼は雪奈のその言葉を聞き流し、その箱に近寄って銃を取り出す。

 そのスライド__もといコッキングレバーを少し交代させると、黄金色に輝く銃弾が見えた。


「マジかよ.....」


 蓼はマガジンを引き抜き、そこから一発だけ弾を取り出す。


「_____一致した.....」


「え?」


「こいつは正真正銘、9mmパラベラム弾だ。」


「本気?」


「ああ、グアムに幾度となく行き、珍しく外出して銃を触りまくった僕が言うんだぞ?形状、質量共に98%以上一致してる。」


「よくそんなの記憶したわね。」


「ああ、中学生の時、銃口から覗く弾丸だけを見て偽物かを言い当てられたらバスジャックされた時とかカッコよくね?っていうのを本気でしようとしてたからな。」


「あなたにもそういう時期があるのね。」


「失礼な、僕だって人間だぞ?」


 ハハ、と軽く笑い、蓼はマガジンに弾を戻し、コッキングレバーを引いて弾が無い事を確認する。


「____よし.....雪奈。」


「?」


「僕が今からこいつのパーツを指差す。そいつの名前を答えろ。」


「え、ええ。」


「これは?」


 そう言い、蓼は引き金___トリガーを指差す。


「トリガー.....」


「じゃあこれは。」


 次に蓼はコッキングレバーを引いて弾を薬室に移動させる為の突起を指差す。


「フィーディングランプ.....」


「じゃあこいつは?」


 今度はグリップ付近のボタンを指す。


「マガジンリリースボタン....」


「______もういい。」


 突然、蓼は銃を下ろし、立ち上がる。


「え?」


「これはマジな奴だ。催眠術とかその辺の可能性も考えられるが、現状それを考えてる時間は無い。____ところで雪奈。」


「今度はなに?」


 雪奈は半ば面倒臭そうに答える。


「グロックシリーズのマガジンを要請してくれ。規格は9×19mm、装弾数は19発でMAXフル装填だ。」


「え?」


「再確認だよ、もし本当に銃の勇者の能力とやらを手に入れたなら、さっきみたいに上空から落とせる筈だ。」


「わ、わかったわ。やってみる。」


 雪奈は目を閉じる。

 念じているのだろうか?

 そう思いつつも蓼は雪奈を凝視する。


 するとさっきと同じように上空に降下物が見えた。


「雪奈。」


「ん、ん?」


 目を閉じた状態で雪奈は反応する。


「どっちでもいい、1m動け。」


「どうして?」


「いいから。」


「・・・」


 雪奈は後ろに下がる。

 するとさっきまでいた場所に箱が落ちてきた。


 目の前を物体が掠めたというのに雪奈は全く動じない。


「____地面に突き刺さってはいるが、着地した時の音はほぼ無音、科学的に考えてまずあり得ない事だが....多分奴の言った事は本当かも知れないな.....」


「かも知れない?」


「お前に盗聴器が仕掛けられてて、そこから聞こえた僕の言葉から、降下させることも出来る。だが、これだとお前のいる場所にジャストで降下させた事は説明つかないし、2回ともほぼ無音での登場だ。これもまた説明出来ない。肩くらいの高さから石落とした方がもっとデカイ音がでる。____さて......」


 蓼はしゃがみ込み、手を近づけて高温で無い事を再度確認してから箱を開ける。


「ハァ.....マジで届いてるな。注文通りグロックシリーズの9×19mm規格で、19連拡張マガジンだ。しかも挿入し易いよう、御丁寧に油まで塗ってやがる。」


 蓼はそう呟きながら、マガジンを取り出す。


「そう言えば、この箱はどうするか.....____さっきのと一緒に校舎裏に捨て__」


 そう言いながら振り向いたその時、蓼の言葉が止まった。


「どうしたの?」


「雪奈.....箱に....触ったか?」


「いえ、触ってないわよ。____ああ、そういうことね.....」


 雪奈も理解したようだ。


「箱が消えてる。それも綺麗サッパリと。ここは瓦礫だらけだ。つまり俺たちに接近すりゃあ、どうやっても音で気付く。だが俺たちは気付かなかった。____で?こっちはどうだ。」


 蓼はさっきマガジンをとった箱に向き直る。


「____色が少し落ちてるな。ハァ.....このまま消えて無くなるのか?」


 蓼がそう言うと、案の定、その箱の透明度が段々と増していき、やがて目視できない状態になる。

 その状態で箱があったであろう場所に手を置くが、なにも当たらない。


「ナンテコッタイ\(^O^)/____こんなのどうやっても説明出来ねえぞ。」


「じゃあ___」


「ああ、信じた方が良さそうだ。全く、これで相手は常人だったらそれは僕の完全敗北だな。」


「楽しそうね。」


「え?」


 蓼は口元に手を当てる、すると口角が上がっていた事に気が付いた。


「フッ....」


 蓼の口元がさらに釣り上がる。


「確かに、楽しいなこりゃあ.....いい加減馬鹿しかいない現実世界(リアル)には飽き飽きしてたとこだ。」


「心外ね、そんなに楽しくなかった?私はあなたといて楽しかったけど?」


「本気でそう思ってんのか?」


「さあね。」


 蓼は銃にマガジンを差し込み、拡張マガジンとセットで雪奈に渡す。


「え?」


「俺は雪奈を信頼している、だからこいつは雪奈がもっててくれ。」


「____ええ、じゃあその期待に応えさせてもらうわね。」


 雪奈はその2つを受け取る。


「まあ実の所は俺見ての通りブレザー着てないわけで、ソレ隠せないんだわ。」


「まあ、そんなとこだと思ったわよ。」


 雪奈は少しガッカリそうにそう言い、続ける。


「で?これからどうするの?」


 蓼はニヤッと笑い、歯をチラつかせた。


「面白い考えがある。」


 そう言うと、蓼は手招きをすると、それで察したのか、雪奈は耳を近づける。


「__________」


 蓼は雪奈に何かを伝えた。


「ハァ.....それ、成功するの?」


「大丈夫だって、僕が考えたんだぞ?失敗するわけがない。」


「いやそうじゃ無くて継続能力的な意味で.....」


「ふむ......まあ大丈夫だろう。」


 蓼は両腕を上げて背を伸ばす。


「さて......と、どうすっかなぁ〜」


「先ずはここから出たら?」


「いや駄目だ。」


 蓼は雪奈に向き直り、続ける。


「今学校にはモンスターとやらが徘徊してるからな、統制が取れて籠城体制に入るのも時間の問題だろう。その時、俺達がいなかったらもれなく勇者候補だ。」


「でも、先に辺りの地形を知っておけばまた有利になるんじゃない?」


「それは今度だ。どうせすぐにドラゴン擬きがさっきみたいに校舎吹き飛ばす。それがいつかはわからんが、まあそれから動くのが一番自然だ。全員が学校から出た後、行方不明扱いされてた俺達が見つかってもモンスターに追いかけられて気づいたらそこにいた、なんて言えば普通に通用する。」


「まあ、あなたがそう言うなら別にいいわ。」


「____さて、教室にもd_」


 言いかけた瞬間、校舎が崩れる。


 上を見ると、上空からドラゴンが日を放って校舎を攻撃していた。


「計☆画☆破☆綻って言ってる場合じゃねえな.....早すぎんだろ.....まあいい、絶好の機会だ、速攻で人がいる場所に逃げるぞ。」


「急展開ね....」


「なにを思ったのかドラゴン様が校舎を攻撃なすったからな。まあこっちとしては大歓迎な状況だ。」


「でもわからないわね、教室に戻っていればそれこそ、危険なんじゃないの?」


 雪奈には走りながらそう言う。


「ああ、だが対処しやすい。しかも他の勇者のボロを拾うのも容易だ。まあ出来ないならもういいさ、この策で行くとそれが理想系だったが、別に大した期待もしちゃいない。とっとと出るぞ。」


「はいはい。」


 雪奈はそう言った。

使用武器:


VBR-Belgium PDW

スペック

種類:PDW

製造国:ベルギー

会社:VBR社

ファイヤタイプ:フルオート/セミオート

口径:7.92mm・9mm

全長208mm

重量1500g

装弾数:10・17・19・21・33発+1


ベルギーの会社VBR(Van Bruaene Rik)社が開発したPDW(Personal Defense Weapon)、個人防衛火器である。見た目はハンドガンそのものだが、ハンドガンでは無い。ハンドガンでは無い(大事なことなので二回)。基本フレームはベレッタM92を参考にしている(ハンドガンじゃねえかとか言わない。)。見た目は非常に独特で、トリガーガード前方に取り付けられた簡易フォアグリップが非常に特徴的である。後方には収縮性ストックが存在し、伸ばすことでフォアグリップも相まり、ハンドガンではほぼお目にかかれないようなフォームで構えることができる。またマガジンはグロックシリーズの物を流用しており、同じ物を使用できる他、専用の7.92×24mmVBR-bという弾も使用できる。開発中のCQBWモデルではこの他にも様々な弾も使用可能になる。

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