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ブレイクオンスルー  作者: カレーライスと福神漬(ふくじんづけ)
16/40

16 死神の使い

 その人物じんぶつの、服装ふくそうは、しろで、統一とういつされていた。

 


 優希は、恐怖きょうふに、をすくめた。


 しろづくめの、火鳥ひどりが、ふり返った。

 猪瀬いのせに、目で、合図あいずおくり、

 オーディオセットのほうへ、歩いて行く。

 

 猪瀬は、優希の背後はいごから、

 かこいこむように、前方ぜんぽう両腕りょううでをまわし、

 ちからをこめた。


 電子でんしロックをかけられたように、

 うで自由じゆうを、

 完全かんぜんふうじられた、優希。

 彼女は、

 左右さゆうをよじりながら、

 はげしくあらがった。

 

 

 火鳥ひどりが、おもむろに、優希ゆきの前へ立った。

 

 必死ひっしの声をふりしぼり、

 顔を赤くして奮闘ふんとうしている、

 ミス・水晶学園すいしょうがくえん

 

 彼女を、

 185センチの生徒会長せいとかいちょうが、

 無表情むひょうじょうな顔で・・・見おろす。

 

 室内しつないに、音楽おんがくのイントロが、ながれてきた。

 そのきょくを、みみにしたとたん、

 優希ゆき全身ぜんしんが、こおりついた。


 ドアーズの・・・『ラ‘メリカ』


 火鳥が、右手を、りあげた。

 反動はんどうをつけ、

 かたいコブシをちからいっぱい、

 優希の左頬ひだりほおに、たたきつける。

 

 グシャッ!!

 おもおとをたてて、

 しぶきと、

 二本のが、とびった。

 

 ボーぜんとした表情ひょうじょうの、優希。

 神経回路しんけいかいろが、

 ショートをこし、麻痺まひしてしまった。


 いで火鳥は、

 精確せいかくに、ねらいをさだめ、

 渾身こんしんの左ストレートを、

 優希の、もう片方かたほうほおに、お見舞みまいした。

 

 ちこまれたパンチは、

 彼女の頬骨ほおぼねを、粉砕ふんさいした。

 優希の口から、ドロリとした、ふといすじの、が流れ出る。

 

 麻痺まひの、かなしばりが、急激きゅうげきかれた。

 

 半狂乱はんきょうらんになり、

 さけび、き、わめきげる優希。

いたいっ!いたァーい!いたァーァーい!!」

  

 猪瀬いのせがひるんだ。

 両腕りょううでの力が、える。

 目の前のできごとに、

 衝撃しょうげきを受けた・・・「ありえない、なんてこった!」


 ライトがかりと、キャメラマンも、驚きをかくせない。


 優希は、自由じゆうになった両手りょうてで、顔をおおいつくす。

 首をはげしくり、いただした。

いたいっ・・・!」

「どうして?・・・どうしてですか?」

「わたし、なにか、火鳥ひどりさんの、にさわることしましたか?」

 

 号泣ごうきゅうし、カベにりついて、かがみこんだ。

 さらにを、さがすように、

 あとずさるが、コンクリートのカベに、かえされてしまう。

 

 そんな優希を、

 めったちに、なぐる、る。

 首や、わきばらなどの、

 急所きゅうしょへ、

 ダメージの強い暴力ぼうりょくを、たたきこんでいく。

 かえが、火鳥のふくを、赤くめていった。


 さらに火鳥ひどりは、

 優希自慢(じまん)黒髪くろかみを、

 両手りょうてでガッシリつかみ、

 持ちあげ、

 立たせ、

 りまわしにかかる。

 

 遠心力えんしんりょくがつき、いきおいが、す。

 

 バランスを、たもとうと、

 両手りょうてを、

 くるったように、バタバタさせる、優希ゆき


 えん中心点ちゅうしんてんに、位置いちする、火鳥。


 その半径はんけいを、まわり続ける、優希。

 

 火鳥は、ギアをトップに入れ、さらにスピードを上げた。

 

 速度そくどは、いやした。

 

 優希の両脚りょうあしが、ゆかから、はなれた。

 身体しんたいが、ちゅうに、きあがる。

 なおも、まわし続ける火鳥。

 

 ほぼ、地面じめん平行へいこうに、

 飛行ひこうし、

 旋回せんかいしている、優希。

 

 空気をき、

 ビュンビュン!うなる音と、

『ラ‘メリカ』の旋律せんりつとが、融合ゆうごうする。

 

 空前くうぜんのサウンドが、室内しつないに、ひびきわたる。


 加速かそくした優希の身体を、

 ねらいすまして、

 コンクリートのカベに、

 思いっきりたたきつけた。


 ものすご打撃音だげきおんが、

 室内しつないに、反響はんきょうした。

 

 火鳥は、

 激突げきとつ瞬間しゅんかんも、

 彼女のかみを、はなさなかった。

 

 激突げきとつが、

 引きおこした、衝撃しょうげきで、

 頭皮とうひが、メリッとがれ、

 数百本の、毛髪もうはつをつけたまま、

 火鳥のりょうの手に、のこされた。

 

 

 ぜーぜー息を切らしている、優希。

 口や鼻、耳、そして目からも、流血りゅうけつしていた。


 頭皮とうひのはがれた部分ぶぶんから、

 ピンク色のにくが、露出ろしゅつしている。

 

 ライトがかりは、呆然自失ぼうぜんじしつ

 被害者ひがいしゃの優希と、

 加害者かがいしゃたる火鳥をらし、

 浮かびあがらせていた。

 

 キャメラマンは、

 魅入みいられたように、

 残虐ざんぎゃく行為こういの、

 一部始終いちぶしじゅうを、

 デジタル信号しんごうに、きかえて、

 収録しゅうろくしていった。



「いくらなんでも、これはやりぎだぜ、火鳥ひどりさん!」

 猪瀬は、抗議こうぎの声を、あげた。

エッチ写真をって、

優希が反抗はんこうしたら、

 まわして、口封くちふうじする。

そういうめだったはずだ・・・

・・・オレは、りる!」

 

 

 くろ三角頭巾さんかくずきんを、

 はぎ取ると、

 ゆかに、たたきつけた。


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