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キャラ紹介。

第三次世界大戦や宇宙進出などは特になく、普通に20世紀を迎えた人類。

しかし、“能力者”と呼ばれる超能力者の発生が、緩やかだった人類史を大きく揺るがすこととなった。

この物語は、そんな能力者達の日常を描いた、ギャグシリアスSF学園恋愛もの、である。



登場人物


矢坂やさか じん

銀髪の少年。髪は少し長めで、肩近くまで伸ばしている。

中性的な顔立ちで、線の細さからよく女の子と間違われるが、男である。だが男だ。

ある事件の後、左目に眼帯をつけて生活している。

能力者であり、如月学園高等部に通っている。

能力は刀を召喚し、達人の如く扱う能力。

力が弱く、運動部の女子に腕相撲で負けるのが悩み。

遊部に所属。


矢坂やさか 結衣ゆい

仁の妹だが、血の繋がりはない。同い年の妹。

感情を表に出さない兄と違い、非常に明るい元気な子。

能力は冷気を操り、全てを凍らせる能力。

先生になるのが夢で、能力者である事を隠して、仁とは別の高校に通っている。

歳の離れた弟がいた。


骨本こつもと 六花ろっか

銃器製造会社の6代目会長(予定)。

銃器の扱いに長けており、銃を弄るのが好き。

能力者で、狙った対象に必ず当てる能力を持つ。

味噌汁をおかずにパンを食べるのが好きで、味噌汁パンという食べ物をよく食す。

遊部に所属。


北村きたむら 秋夜しゅうや

気弱な少年。恥ずかしがり屋で、知らない人との交流が苦手。内弁慶タイプ。

能力は、触れた相手の心を読む能力。

仲間内では、わりとブラックになる。

遊部に所属。


金堂こんどう 華乃かの

天才発明家。理屈や理論を超越した存在だと言われており、世界の発展に貢献できる力を持っている。

が、才能は無駄遣いされる事が多い。

能力は、傷を移す能力。ただし、痛いので使わないと本人が言っており、その能力の詳細は不明。

暴走キャラの一人。白衣を着用している。

遊部に所属。


佐々ささくら 緋音あかね

ポニテの少女。身長が平均より低い事が悩み。

心の中に闇を抱えており、平穏と狂気の二面性を持つ。

能力は肉体変化。ありとあらゆる動植物の姿や能力を操る。高い戦闘力を持つ能力者である。

暴走キャラの一人。

遊部に所属。


教川おしかわ 黒成くろなり

モデルのような高身長と、綺麗な金髪を持つ少年。

赤いバンダナを巻いており、ないと落ち着かないらしい。

不良っぽく思われがちだが常識人である。

遊部の中ではツッコミに回る事が多い。

料理上手で、作るのも食べるのも好き。

能力は、静電気ほどのエネルギーを操る能力。

遊部に所属。


広瀬ひろせ たか

物静かな少年。あまり発言せず、伝えたいことは行動で示す。

能力は姿を消す透明化。発動時はいかなるセンサーにもひっかからないが、発動中は呼吸が出来なくなる。ナイフを携帯している。

パーカーを愛用し、フードを必ず被る。

遊部に所属。


雪田ゆきた とき

自称、最強の能力者。コートとサングラスを愛しており、夏でもコートを脱がず、夜でもサングラスを外さない。

能力は限界突破。限界を打ち破る事ができ、人の限界を超える事ができる。

しかし、スタミナの消耗が激しく、連続での使用は命に関わる。

旅が好きで、学校をサボってどっかに行く事が多い。

遊部に所属(幽霊部員?)。



第零話 あいさつ


彼らは、訝しげな顔をしていた。

「…あれ?一話は高等部の入学式から始まるって聞いてたんだが?」

そう言ったのは銀髪眼帯の少年、矢坂 仁だ。

「いや、上に“零話”って書いてあるから、きっと前日譚的なやつじゃね?」

そう言って、好物の味噌汁パンを口へ運ぶ骨本 六花。

「でも、前日譚って言われても困るよ…」

オドオドした様子なのは、北村 秋夜だ。

「これは我が輩の予想だが、作者が『登場人物達に自己紹介してもらえば、一々自己紹介細かく書かなくてもいいんじゃね?』という軽率な企みによるものだと解釈する」

そんなメタい発言をするのは、白衣を着た発明家、金堂 華乃だ。

「まぁ、いいんじゃね?たまにはこんなのも悪くないZE」

白いベレー帽を、ピザ職人のようにクルクルと華麗に回すのは、佐々倉 緋音だ。

「いや、そもそも俺たちが登場人物である事自覚しちゃって、本当に大丈夫なの⁉︎」

メタを否定する、“アン”メタな教川 黒成。

「……」

登場人物が順番に発言したにも関わらず、静かに沈黙を守るのは広瀬 鷹だ。

「鷹はこう言っているはずだ…『アンメタってメタなアンコって意味にもなれるな』とな!」

そう言って、沈黙な友人に殴られたのは雪田 斎だ。

「といってもなぁ…今日何日だっけ?」

六花の問いに、腕時計を見た仁が答える。

「…8月18日」

「いや、いい感じに夏休み中じゃない⁉︎夏休み中盤、宿題意識するけど手をつけない位の日だよね⁉︎」

そんな黒成のツッコミも、常識人の少ない遊部に虚しく響き渡る。

「宿題なんぞ、凡人が賢くなる為のものだろう?我が輩のような天才には無用の代物だな」

「なぁ華乃、7+8は?」

緋音の問いに、間髪入れずに華乃は答える。

「ふっ、愚問だな。そんなの……15?」

「指で数えてたよ⁉︎」

黒成のツッコミ。だって〜と華乃が言う。

「……!」

その時だった。沈黙を保っていた鷹が、勢いよく手を挙げる。

「ふむ…分かったぜ!鷹は『どうせだし飯でも食いに行こうぜ!』と言っている!」

今回は当たっていたらしく、親指を立てて頷く鷹と、同じく頷く斎。

「つっても、なに食いに行くよ?」

全員がピタッと動きを止め、周りを見回す。

誰もが口を閉じたので、先に仁が口を開いた。

「とりあえず俺は和食かな…六花は何がいいと思う?」

おれ?と六花が自身を指さす。

「おれはカレーライスかなぁ〜ちなみに秋夜は?」

ビクッと反応した秋夜は、しばらく間を置いてから発言した。

「…ぼくは焼き肉かな。華乃は?」

間髪入れずに華乃が答える。

「我が輩は冷やし中華定食が食べたいぞ。緋音は何を食したいのだ?」

そうだなぁ…と、緋音は帽子を上へと放り投げた。

「オレかぁ…オレは焼けた肉なら何でもいいZE。黒成はどうしたいんだZE?」

ストン、と帽子が綺麗に頭へはまった。

「一押しは、やっぱ牛丼かな…。鷹は…何が食いたい?」

鷹の人を殺せそうな目線に、ややビビる黒成。

「……!」

右手の人差し指と中指を伸ばし、口の前で上下させる鷹。

「ラーメン?」

「いや、黒成よ!鷹は『蕎麦が食いたい!』と言っているぞ!」

こくん、と鷹が頷く。

「ちなみに俺様は、スイーツ食べ放題がいいな!」

綺麗に意見が分かれる。

そして、自身の意見を曲げようとする者はいない。

一触即発。戦いが始まる直前、部の固定電話が鳴った。とりあえず、電話に一番近い仁が受話器をとった。

「はい、遊部です。はい、またテロ?はい、分かりました。現場へ向かいます。はい」

受話器を置き、仁はため息をつく。

「またテロ退治かよ…今度は何処の国だ」

ドイツじゃね?と六花が言った。

テロが盛んになった現代。

隣町でテロ、なんてのも日常的になってしまった。

そんな訳で日本政府は、戦闘力の優れた能力者達に、戦闘データを得る事を目的に、戦闘許可を出している。

「よし、行くぞ。非戦闘員は待っててくれ」

了解、とぞろぞろと部室を出て行く能力者達。

残されたメンバーは、何も言わなかった。

「…出前でも頼むか」

居残りメンバーである黒成の声は弱々しく、頷く秋夜も悲しげだった。



日本国内のテロも、少ない訳ではない。

今回は、政府のお偉方数名を人質にとったテロリストによるもの。

都市の広場に陣取って、ひとまとめにした人質へ銃を向けていた。

移動用ヘリコプターの扉を開いて、下を眺める仁。

「全く、敵30に対してこっちは5人か…」

「一人6人殺ればすぐ終わるZE」

なるべく殺さず、迅速に事を済ませろ。と政府は言っていた。

だが、そう上手くいくとは限らない。

不安因子の一人である緋音を見て、仁はため息をついた。

「なぁ、華乃。ヘリコプターの高度ちょっとだけ下げられない?」

無理無理、と華乃は手をふる。

「これ以上近付いたら不審に思われるから、この高さが限界なのよね」

と華乃は笑っていたが、近くに高層ビルの屋上が見えている。

仕方がないと覚悟を決めた仁が、ヘリに備え付けられたワイヤーを体に固定して、飛び降りた。

「先走るねぇ〜オレもいっちゃうZEー!」

緋音も笑いながら、ヘリから飛び降りた。

「あれ、あいつワイヤーは?」



ワイヤーを使った降下作戦は、遊部ではよく行われる手法だ。

周囲の警察隊を警戒するテロリスト達は思いの外、上からの脅威に気付かないものである。

しかし、殆どのメンバーがこれを嫌う理由があった。

(そろそろだな…)

着地の数メートル手前。地面が目前まで近づいてきた頃、仁の身体に強烈な衝撃がかかった。

「ぐっ…」

これこそが、ワイヤー降下が嫌われる理由。

バンジージャンプを思い出して欲しい。あれはゴム製の命綱だが、この降下で使うのは“鋼鉄製”の命綱だ。

弾力のないワイヤーはゴムのように伸び縮みせず、ピタリと任意の場で停止できる。しかし、その際の衝撃があまりにも衝撃的な為、望んでやりたがる奴はいない。

「やっぱ殺人的な“急停止”だぜ…」

ワイヤーが外れ、地上から3メートル程の高さで飛び降りる仁。

その時だった。太陽に照らされて、徐々に大きくなる人影に、テロリストの一人が気付いた。

やはり、そう簡単にはいかないか。そう思った仁の手には、刀が握られていた。

「なんだコイツ!」

着地と同時に、仁は走り出した。

向けられた銃を切り捨て、その胴に刀の背、峰を叩き込んだ。

「敵だ!敵だぁ!」

周囲をテロリストに囲まれ、多数の銃口を向けられたが、仁は怯えたりしなかった。

むしろ頭に手を当て、ため息をついている。

「頼むから殺さないでくれよ…」

その弱々しい声に、テロリスト達は笑った。

「あんまり殺すと、道徳のご指導が入るからな…」

分かってる、という明るい女の声にテロリスト達は驚いた。

「そんなの無視していいZE…だってぇ、こんなに楽しいんだからなぁ!」

顎から天頂部へと突き刺さっていた“爪”を引き抜き、緋音は笑った。

彼女の能力は、あらゆる動物の特性、能力を扱う戦闘系能力。

戦闘用に爪を伸ばし、飛行用に羽を生やしたその姿は、まさに悪魔そのもの。

「…ッ!人質使え!盾にしろ!」

人質を乱暴に掴み、その頭に拳銃を押し当てるテロリスト達。

残ったテロリストは、仁と緋音に銃を向けた。

しかし、仁も緋音も焦る様子はない。

何故なら即座に、連続の発砲音が聞こえたから。

無論、テロリスト達の拳銃からではない。

人質をとったテロリストの人差し指だけを、正確に撃ちぬく早撃ち、精密射撃のプロ。

「なぁ、なんで俺のだけワイヤー外れないのん?」

空中で留まったまま、二丁の拳銃を構えているのは、六花だ。その体を固定するワイヤーが外れる気配もない。

指を失ったテロリスト達は、ゴロゴロと転がりながら泣き叫んでいた。

「くそッ、こうなったら爆弾だ!人質もろとも自爆してやる…」

爆弾の最も近くにいたテロリストが、起爆装置へ手を伸ばす。

しかし、テロリストの手が起爆装置に触れる寸前だった。起爆装置が宙へ浮かんだ。

起爆装置を掴めなかったテロリストは体勢を崩し、派手に転んでしまう。

「なんで!クソッ!」

もう一度、起爆装置へ手を伸ばした時だった。

突如、最初からそこにいたかのように、フードを被った少年が現れた。

そして少年の手には、起爆装置が握られている。

「能力者だ!」

テロリストは瞬時に銃を構えた。

しかし、遅い。向けられた銃を蹴り払い、大型のナイフを振りかざした。

ナイフを振り下ろすと同時に、フードが外れる。そこにはなんの感情も示さない、つまらなそうな鷹の顔があった。

大型のナイフは対象の左肩を引き裂き、内部の骨へと叩き当てられた。

撃てぇ!と数名のテロリスト達が、鷹へ発砲した。

しかし、弾丸が鷹に触れる寸前で、何かに阻まれるように空中で止まった。

テロリスト達が異変に気付くと同時に、鷹はもう一方の能力を解除した。

解除と共に現れたのは、血を垂れ流すテロリストの死体だった。

鷹は自身の体を能力で透明化させながら、緋音が先程殺害したテロリストを透明化させていたのだ。

穴だらけになった死体を捨て、鷹はテロリスト達を見た。

「クソッ!なんなんだ、なんなんだよお前らぁ!」

テロリストが叫んだ時だった。

地面に何かが激突した。土煙を大いに上げ、周囲を一気に覆い隠す。

「我々は遊部…最強の能力者集団だ!」

土煙の中で、何かが動いている。

そして土煙が晴れる頃には、リーダー格の男を残して、全てのテロリスト達が倒れていた。

「俺の仲間達を…⁉︎」

「その中で最も最強なのが俺様こと!雪田 斎だッ!」

目の前に何かがいる!とリーダー格が思った時だった。彼の体は既に空高く吹っ飛び、遠くの雑木林に突っ込んでいた。

「全く、また斎が倒しちまったZE」

ちぇー、と残念そうに緋音が言う。

「はっはっは!ワイヤーが絡まった時は、悪を倒せないのでは焦ったが、無事脱出出来たらから良しとしよう!」

「……」

鷹はワイヤーの外れない六花を見て、少しだけはにかんだ。

「ちょ、鷹!見てないで助けて!」

「さて、任務も済んだし…そろそろ帰るか」



おわりに


仁「中々にエキサイティングな8月18日だったな」

六花「ってか、なんで俺たち夏休みに制服着て学校に来てんだ?」

秋夜「あれ?活動するから集まれって聞いたけど…」

華乃「我が輩も知りたいな」

緋音「たしか、今度のキャンプの打ち合わせをするって話だったZE」

黒成「あれ、いつキャンプだっけ?」

鷹「……。」

斎「俺様の旅の日と被らないようにな!俺様、またハワイに行ってくるからな!」

緋音「またハワイかよw」

秋夜「ハワイアン料理、食べてみたい…」

仁「どうせだし、みんなでハワイでも行くか?」

六花「いいねぇ、おれも賛成だ。たまにはバカンスが欲しいぜ」

黒成「つっても、いつ行くんだ?夏休みもあと少しだよね?」

緋音「ってか、パスポート持ってないZEー」

鷹「…!!」

斎「ふむ。鷹は『明後日には出発しよう!』と言っている!」

鷹「(コクン)」

華乃「そうだな、今月の活動はハワイで行おう」

黒成「じゃあ、パスポート作ってくるわ」

秋夜「あっ、僕も」

緋音「早いとこ作りに行こうZE。飛行機の手配、任せたZE」

仁「なんで俺⁉︎」

六花「では、お先!」

斎「俺様も帰るぜ。行くぞ、鷹」

鷹「…。」

1人残された仁は、静かにパソコンを起動した。

コネと人脈を駆使して人数分のチケットを確保した頃には、既に日が暮れていたそうな。


おわり


次回予告

ついに始まった能力者達の日常!

高等部へと進学した能力者達に、担任から告げられたのは、思いもよらぬ事態だった。

次回、能力者達の日常1話『遊部が生まれた日』

こうご期待!

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