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過去の仲間

 おすすめの店で注文を終えて三人でお茶を飲む。

 本日のおすすめケーキは非常にうまそうだ。


「基本的には一人だったんですけどね、たまに奇妙な連れが出来る事はありましたよ。

例えば弓がうまい……レストニアだったかな」


「レストニア・K・ハーウェイ、クラウン家の御息女だな。

弓の名手だが、貴族の娘なのに野山を駆け巡っているという話だ」


「剣士のグレゴリオ・アーバン、料理の上手い良い奴でした」


「戦場の料理人だな。

ワイバーンを生け作りにしたという逸話がある」


「リットリオ、素手で戦ってました」


「リットリオ・バルバス。

サイクロプスを投げ飛ばしたなんて冗談じみた話があるが……」


「みんな有名人なんですね」


 俺がかかわった奴らが有名で割とびっくりしている。

 というか、お嬢様詳しいな。

 おひざ元の有名人くらいは覚えておく必要はあるんだろうけれど。


「随分と変わった友好関係だな」


「えぇ、まあみんな酷い出会いでしたよ。

コッペリアはドラゴン素材の取引、レストニアは森で毒キノコ食って死にかけていたところを助けて、グレゴリオとリットリオはどうしてもサラマンダーの肉が食いたいという事でメンバー募集していたところに」


「……全員が方々で英雄とたたえられているのだが。

というかなぜグレゴリオとリットリオはつるんでいて、サラマンダー如きに仲間を募集していたのだ」


「あー知りませんでした?

その二人付き合ってるんですよ。

サラマンダーは大量発生していた時期だったので、ギルドが安全確保のために3人以上でなければ出現区域に入れないようにしていたんです」


 その当時はギルド職員と冒険者が大いにもめていた。

 今になって思い返すと、功績もモンスターのうまみもない地区である火山は別に制限をかけずとも行くやつはほとんどいなかったと思う。


「凄まじいスキャンダルネタを聞いたが……グレゴリオとリットリオの子供か。

想像したくないな」


 剣士と拳士のサラブレッド、恐ろしい存在だ。

 近接戦闘の申し子みたいだな。


「それで、他にはどんなのと共闘した」


「あとはほとんど無名の冒険者とか新人ですね。

あーでもあいつだけは有名人みたいなことを言っていたな。

確か名前は……そうだ、アカネだ。

アカネ・シナガワ」


 日本人のような名前のそいつは、日本人の血を継いでいるとのことだった。

 詳しく聞いてみると、どうやらご先祖様が日本からトリップしてきたとのことで、いろいろなことを教わった。

 緑茶が飲める地域や、あんこの食べられる地域など。

 非常に有意義だった。

 けれどできるならもう二度と会いたくない相手だ。


「アカネ・シナガワ。

剣、槍、拳などを始め廃材や布きれまで何でも武器にしてしまうというあの……」


「俺が見たときはスプーンで強盗の腕切り落としてました」


 本人曰く、刃のあるなしは大きな問題ではないらしい。

 十分重要なことだと思いながらも、面倒くさかったので特に何も言わなかったが。


「随分とまあ、風変わりなことをやってきたんだね」


 先輩がお茶のお変わりをもらいながらしみじみとつぶやく。

 確かに風変りだったとは思うが、悪い思い出ではない。

 そのことは大きな救いだろうか。

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