お誘い
吾輩は冒険者である、名前はサツキ。
いわゆる異世界トリップに巻き込まれて今いる世界に来た。
何というべきだろうか、チート能力まで得てしまい冒険者というモンスター討伐業についたはいいのだが問題も多かった。
まず、就職初日に怖い先輩方に絡まれてしまった。
おそらく俺を盾か囮に使うつもりだったのだろう。
それをあっさり撃退してしまったのだが、どうやら名の知れた一団だったらしい。
そのせいで一躍期待の新人となってしまった。
次に、世界を旅している最中さまざまな事件に巻き込まれ気休めにと立ち寄った辺境の街で薬草採取に出かけたら盗賊に襲われているお嬢さんを発見。
思わず助けてしまい、奇妙なコネクションが出来てしまった。
後日指名以来という形でお屋敷に呼ばれたのだが、それが執事に変装しての護衛任務。
まさかまさかと相手をしていたら、本当にお嬢さんを狙った敵が現れた。
お嬢さんを助けるべく奮闘していると、悪あがきといわんばかりにドラゴンを召喚しやがった。
けどあっさり撃退してしまったことで俺の名声は最高潮に。
冒険者を管理している、通称ギルドも特例で俺のランクを引き上げた。
マジでやめてほしい、特別扱いとか、特例とか、目立つことは絶対に嫌なんです。
トラブルメーカーな体質だから困っているんです。
そうして報酬を受け取ってうわさが収まるまで引きこもっていようと決心し、ニート生活7日目に宿の前に件の御嬢さんがいた。
首をかしげた瞬間、いつうちに来るんだと脛を蹴り飛ばされた。
俺の防御力は並じゃないから逆に痛そうにしてたけど。
詳しく話を聞いてみるとギルドに依頼を出していたらしい。
ここしばらく外に出なかったから知らなかった。
仕方なしに、お嬢さんにつれられるがままに行ってみるとお嬢さんのお父様がいた。
ここまでが回想、そして今どうしようか迷っている。
「お嬢さんを僕にください、という場面ですか? 」
「よし表に出ろ」
俺の発言にお父さんがぶちぎれている。
同時に横にいたお嬢さんが顔を真っ赤にして両手をわたわたさせている。
はっきり言って超かわいい。
「冗談はさておき、用件は」
「お前!
私の執事になりぇ! 」
いまだに顔を真っ赤にしているお嬢様にびしっと指さされ、そう言われた。
噛んでいる辺りから察するに動揺が抜けていないんだろう。
もっかい言う、超かわいい。