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第十九話

 夜の森。夜の森。


 空にかがやく月明かり。


 またたく星の、その下に。


 黒々広がる、夜の森。




     ※



 広葉樹の森の夜は暗い。鬱蒼としげる木々の葉が星空の僅かな光を遮り、真なる闇をつくりだす。


 大闇夜のいま、多くの生物はねぐらのなかから動かない。真なる無明の闇は、一切を容赦なく区別なく呑み込んでしまう。先を見通せぬ(くら)がりに対する根元的な恐怖からは、たとえ野に生きる獣といえど逃れられるものではなかった。


 それでもなお蠢くものがあるとすれば、この世界において、それは闇の眷族以外に考えられない。




 (くら)き闇に更に深い影を落とす異形の者は、のしりのしりと歩を進める。



 その眼に映るは、はたして何か。



 無明の闇には何もない。


 彼等の下には、“何もない”。



 なにが欲しくて、なにがしたくて。


 闇のなかでは、それすらも見えない。



 しかし進める足取りは、迷いも躊躇いも、なにもない。

 のしりのしりと、ただ進む。



 何も映さぬその瞳が、求める何かを捉えたときにーーーー


 異形の口はただ、酷薄な笑みを浮かべていた。





     ※




 畑仕事も一段落した、ドラクリア村の昼下がり。


 教会裏手の草原では今日もまた、珍奇な光景が繰り広げられている。



 広場の中央、その上方。地上五メートルほどの空中に、ぷかりと浮かぶ赤黒い塊。

 一粒の葡萄のような球型をしたそれは、やがてぐにゃりと形を崩し瞬く間に姿を変える。



(イメージは、日本の伝統・飴細工)



 能力の性質上、具体的な形態をつくろうとするならば何らかの源流となるものがあったほうがイメージしやすい。

 その指先で数秒とかけずにさまざまな造形を生み出す職人技。怪物の異能を人間の技術をもとに発動するのもおかしな話だが、涼吾にできるイメージなどそんなものである。


 しかして、出来上がるのは一羽の燕。本物かと思えるほど精巧な、流血で構成された緋色の燕は羽ばたきひとつで舞い上がり、ゆっくりと上空を旋回しはじめた。そして獲物を見定め、一気に急降下する。


 突撃する先で待ち構えるのは木剣を携えたフィリオだ。


 緋燕は地面をかすめるような軌跡を描き、彼の足元から眼前へと迫る。見開いた眼でその嘴の鋭さを視認しつつ、フィリオは最低限の動きで避けるべく重心を動かす。ひねった首のすぐ横を緋燕が飛びさっていく。


 すれ違いざまに、ブチッ、と音がしてフィリオの側頭部に痛みが走る。



「っぬ! クッソ!」



 悪態を吐きつつも眼は燕を追う。突撃の勢いをそのままに急上昇していた。



 ーーーー今ならッ!



 フィリオは足元に転がっていた小石を拾い、狙いを定める。見上げたその上に向かって投げつけようとするが、しかし予想より早く旋回してきた燕が再び特攻してきた。

 慌てて動作を取り止め回避しようとするが、間に合わない。またも頭頂をかすめるように飛んで行き、ブチリと音を立て数本をまとめて(・・・・・・)かっさらっていく。



 痛みで滲む涙をこらえつつ、フィリオは歯噛みして上空を睨んだ。




     ※




「また妙なことやってるね」



 一連の攻防を草原の端で見物していたブラムに、やってきたミリアが声をかけた。



「遠距離戦の特訓だと。攻撃と回避、両方の訓練を兼ねて、な」



 拾った小石を手のなかでもてあそびながら、ブラムは愉快そうに笑みをうかべる。



 あの決闘騒ぎ以降、フィリオも交えて三人で訓練をおこなうようになった。ローテーションで組手をおこない、それぞれの闘いの“型”に対する立ち回りかたを理解していった。


 圧倒的な膂力と硬化による防御、老練な戦闘経験からくる野性的な直感でもって闘うブラムが育てたフィリオだが、戦闘の型は師と同じというわけにはいかない。

 そもそも授けられた千差万別のギフトをもとに戦闘を組み立てるからには、おのおのがそれにあった立ち回りかたを自分の手で組み立てる必要がある。それに必要なのは、とにかく実戦。出来ること出来ないことを闘いのなかで学びつつ、戦闘の型を作り上げていく。


 フィリオの戦闘の基本的な型は、双刀と体術のコンビネーション。そして“瞬転”のギフトによる超速攻。相手が攻めるよりも速く、守るよりも疾く、認識するまえにただ一刀を叩き込む。


 実際の戦場であるなら、お互いに手の内を知らぬまま殺し合いをすることになる。なら、それを把握されるまえに潰すのは実に効率的な戦法といえる。ブラムほど防御に秀でているわけでもなく不死身でもないフィリオは、闘いで受けに回るのは下策。ギリギリで攻撃を掻い潜る回避の技術と、それと同時に相手の懐へ飛び込む度胸。十年間の英雄のもとでの研鑽は、それに特化していた。純粋な戦闘能力という意味では、すでに冒険者でも中位クラスの者とも渡り合えるだろう。




 だが、それで魔物相手に戦えるか、というと微妙なところだ。




 魔物や魔族は身体の構造も、持っている力も人間とは規格からして違う。強靭な筋肉、硬い皮膚、刃を通さない鱗や体毛。そしてなにより、人間では持ち得ない強力な異能。人間相手の闘いの“型”では、通用しない相手も多い。


 特に今のフィリオの型では遠距離から攻撃をしかけられると圧倒的に不利になる。それを解消するための戦法と、それらの能力と相対する経験が足りていないーーーー。


 そのことをブラムよりも先んじて指摘してきたのは、涼吾のほうだった。

 そして同時に、そのための技と訓練法を提案してきた。




「よくもまぁ、あんな器用な真似ができるもんだな」



 ブラムが仰ぎ見る先は広場の上空十数メートル。祝福持ちの跳躍でもギリギリ届くかという高さ。

 なにもないその中空に、涼吾はひとり立っていた。足元を支えるのは自ら繰り操る一片の流血。十センチ四方もない薄っぺらな板となったそれの上に片足立ちでバランスをとっている。


 そしてその眼下で飛び回る緋燕もまた彼の祝福による産物。生きた燕と遜色ない動きでめまぐるしく旋回をつづけている。

 その嘴が狙うのは、中空を往く羽虫ではない。


 特攻をしかけ、フィリオの襟足をかすめるように抜き去っていく緋燕。


 その口先には一本の髪の毛がくわえられている。



「痛ッ! 〜〜ッおい! もう少し手加減しろよいい加減ハゲるぞ!?」



 逃げ回りながら抗議するフィリオだが涼吾は飄々と答えるのみ。



「なら気張って逃げなさいって。本物はもっと速くてえげつないっすよー」



 しかし会話で集中に乱れが出たのか緋燕の動きが一瞬だけ鈍った。その隙にフィリオは手にした石を投擲する。投石は一直線に涼吾の土手っ腹に向かっていく。



「うおっと!」



 涼吾は足場を踏み切り、跳ぶ。彼我の距離は直線で十メートル以上。さらに頭上を確保する位置取りとなれば回避は容易い。跳んだ先に先回りさせた血の板に着地する。


 しかし、その間は緋燕の動きが目に見えて遅くなっていた。



(あのテのギフトは操るのに相当集中する必要がある筈だからな)



 冒険者時代の経験からブラムは考察する。


 いわゆる異能系の祝福のなかでも、何かしらを“操る”ギフトは珍しくない。火、水、土などの自然物や刀剣などの武器、鳥獣などの生物と、対象と範囲は様々だが、その操作方法は大抵の場合、当人の意思に従って動くというものだ。


 “動け”と思えば“動く”。


 一言で表すと簡便に聞こえるが、実際にはそう単純なものではない。


 “動け”と思わなければ(・・・・・・)“動かない”。

 あるいは、思っただけで(・・・・・・)“動いてしまう”。



 祝福を授かった人間は、まずその異能の発動の引き金をひく感覚に戸惑う。生まれ落ちた瞬間から動かしつづけている自分の肉体ですら、思った通りの動きを完全に再現するのは至難の技。新しい稼働領域を把握するには通常、年単位の鍛練が必須といわれている。


 特に操作系のギフトを今の涼吾のように離れた場所で別機動させるのは、二つの身体を同時に動かすような並列思考が求められるらしい。


 思考によってコントロールするものであるがゆえに、そのブレが直接的に表れてしまうのだ。



 鈍った緋燕の隙を突くように、フィリオの投石が連続して涼吾を襲う。“瞬転”を発動させ移動しながらの狙撃。発射点を捉えさせない多方向からはなたれる弾は多くが回避の道筋を塞ぎつつ本命の数発が撃ち抜かんと迫る。



「ほい! よっ! ほいさぁっ!」



 避けられるものは避けるが、本命の投石は避けきれない軌道。眼前に迫る弾岩。しかし涼吾は右手のひと振りでそれを叩き落とした。



(素手で岩石を!? ーーーーいや、あれもギフトか)



 見れば手のひらが流血で薄くコーティングされている。身体に密着させた状態ならば、余計に動かす必要がないぶん負担も少なくて済む。足場づくりに回せる量が減ったが打ち払いに主眼を置き、運動量を減らしたことで思考に落ち着きが戻ってきた。



「ほいお返しですっ」


「あ痛ぁっ!」



 瞬転の合間を縫って降下した緋燕が再びフィリオの頭髪をついばむ。



「〜〜〜〜ッ……、普通にぶん殴られるよりキツいなコレ」



 ブラムとの組手で殴り合うのは慣れているが、それとは別種の痛みと屈辱感がムカムカとフィリオの腹の底に溜まっていく。



平常心(へーじょーしん)ですよ、平常心」



 そんな内心を知ってか知らずか、涼吾は間延びした調子で語る。



(りき)みすぎると動きが強張る。もっとゆるーくやったほうが、存外上手くいくもんです、よっと」



 小さな血片に足の甲を掛け、ぐるりと逆さにぶら下がる。手のひらの血片を支点に変えて、勢いをつけて身体を躍らせる。大車輪で飛んだその先には離れた足場が既に回り込んで待ち構えていた。右足の裏にピタリと合わせて、身体をさらに先へと送り出す。


 僅かな足場を自らの動きに合わせ、ぐるりぐるりと飛び回る。軽業師もかくやといわんばかりだ。



(ギフトを得て、十日かそこらでここまで動くか)



 淀みのない動きには、不安や躊躇が見られない。いくら身体能力が上がっているからといっても高所、それもあのような僅かな手掛かり足掛かりのみで飛び回るのに、恐怖を感じている様子が全くない。

 不死身になったが故の鈍感さか、と思えば、それにしては反応の速さと意識の張り詰め方が異常なほどに強い。危険な場所へ気負うことなく踏み込みつつ、しかし降りかかる危険には何よりも鋭敏に反応している。臆病ともとれる慎重さと思いきりのよさが同居する、ある意味矛盾した状態を体現してみせている。


 どこかぶっ壊れた男だと思ってはいたが、いったいどんな育ち方をしてきたのか。



 安穏とした口上に反して機を見るに聡く、体さばきの技術も一級品。異能に関する造詣の深さからみても幼少期から、それも多種多様な異能にふれ合ってきたのは間違いない。

 冒険者として“生き残る”ためになによりも大切なものを、すでに涼吾は身につけているといえた。


 ただ、それだけに、その身に掛けられた枷が惜しい。



「けど、おじいちゃん。あの特訓って何か意味あるの? アカバさんさっきから逃げ回ってばっかりだけど」


「……さぁな。とりあえず、ギフトの制御訓練になっているとは思うが」



 むしろ制御技術に関しては太鼓判をおせる技量といえるかもしれない。高低差十数メートルの位置から、逃げ回る相手を傷つけることなく正確に一本ずつ髪の毛を抜き取り続けるなど、ただ器用の一言で済ませていいレベルかどうか。本職ではないブラムには判断がつきかねた。


 まわりくどい特訓方法だと思うが、しかし事情を鑑みれば致し方ない。



(“禁”……いや先祖の“呪い”か。相当苦労したろうな)



 暴力と殺戮を禁じる“呪い”。


 人であろうと獣であろうと、虫けらであろうと魔族であろうと、直接間接問わず大小関係なく一切の殺傷を赦さない。攻撃どころか反撃も不可で、破れば体内の血液が内側から身体を喰い破る。

 誰が相手であろうとも拳を交わすことすら赦されない、“戦い”のすべてを拒絶する枷。


 他人に害を為す類いのものではないのだろうが、“呪い”というのは風聞が悪い。冒険者時代にも様々な“禁”を有するギフトをブラムは見てきたが、あそこまで徹底したものは初めて見た。



 死なない代わりに殺せない。



 ある意味で公平といえば公平だが、戦士として冒険者として生きていくには致命的だった。



「あれだけ大口叩いたんだ。なんにも考えナシってことはあるめぇよ」



 涼吾いわく、その呪いの詳細についてはあまり語れないが、“抜け穴”がないわけではないらしい。

 ただその場合、命の保証ができないとかなんとか。



『俺もあまりやりたくない方法ですしねぇ。せいぜい上手く立ち回らせてもらいますよ』



 その言葉に気負いはなく、不安もない。その程度の、命懸けなど慣れたものだと。言外に伝わるぐらいには。



「戦わない冒険者か。随分なもんになりたがるもんだ」



 酔狂にも程がある。ブラムは喉を鳴らしてこらえるように笑う。


 なにひとつ傷つけることなく、殺すことなく、血風渦巻く冒険者稼業を志すと、臆面もなく言ってのけているのだから。これが酔狂でなくてなんだというのか。


 

「おじいちゃんと正反対だね」


「いーやぁ、そうでもないかも知れんぞ」



 実に実に愉しげに、老兵は喉を鳴らす。


 確かに、望みは違う。求めるものは違う。戦場と血のたぎりを、戦いを求めたブラムとは違う。


 しかし、その飄々とした外面の内に眠る、硬いナニカはよく似ていた。

 痛みも危険もかえりみず、ただただナニカを求める様に、懐かしい空気を嗅ぎとった。



「知っとるか、ミリア。英雄ってのはな、周りには出来ないことをやってのけるから英雄らしいぞ」



 かつて呆れられながらも出帆し、それでも大事を成して“英雄”と呼ばれた。


 常人には敵わぬモノと戦い、倒せぬモノを倒して“英雄”と呼ばれた。



 ならばあの男は何になる?


 女であろうと武器を手に取れる。

 幼子であろうと拳を握れる。


 武器も拳もふるえない身で、あの男は何になりたがる?


 冒険者として、何を成したがる?


 その譲れぬナニカをもって、果たして何を望むのか。



「面白いじゃあねぇの」



 どうせ推すならそういうヤツがいい。近しいナニカを嗅ぎとったブラムは、迷わずそう考えた。












 ーーーーま、それはそれとして。



「んじゃ、爺ちゃんそろそろ突貫してくるわ」 


「ハイハイ、ほどほどにね」



 見送るミリアを背に、ブラムはすっくと立ち上がる。力強く駆け出し、加速する。


 最高速のまま踏み切り、跳ぶ。


 高く、高く、高く。


 振り抜いた右の爪先が描く弧の向かう先はーーーー涼吾の横っ腹。



「うぉッとぉ!?」



 投石の逆雨の最中に、背後からの強襲。しかし奇声とは裏腹に正確な察知で身をひねり避けられた。



(後ろに目ン玉でもついてんのかコイツは……)



 まるで全てが見えているかのような対応力に感心しつつも、中空で振り向きざまに腕を振る。放るのは手のひらのなかの石ころ一つ。回避行動中の涼吾の頭へ向けて。



「……ギッ!?」



 ゴッ、と鈍い音を立てて当たる。思った通り、回避中は極端に視界が狭まるようだ。



「っとぉっ?! ……とったっ、だぁっ!?」



 一気にバランスを崩し、落ちるかと思いきや逆さ吊りの状態でとどまる。足首に巻いた流血でぶら下がっているようだ。

 その状態のまま、地面に降り立ったブラムに抗議する。



「ちょっ、ブラムさん! いきなし乱入アンド特攻は堪忍してくださいよー!」


「阿呆ぬかせ、余裕こいてこなしとるくせに。そんなんじゃ修行にもならんだろ。もっと難易度上げてけ上げてけ」



 実践派のブラムの指導方針は“生かさず殺さず”、“いつでも全力残さず死力”。

 余裕をもってこなせる程度の追い込み方で得られる強さなど知れたもの。最後の最後でモノをいうのは、どれだけ全ての力をひねり出し切れるかにかかっているのだ。



「師匠、割り込みは止めてくれ。これは俺とアイツの勝負だ」


「堅いこと言うな。儂も混ぜて、三人で勝負ってことにすればいいだろう」



 難色を示すフィリオにブラムは提案をする。



「今は使ってしまったが、ここからは儂は飛び道具は使わん。投石も飛手刀も無し。お前はあらゆる手段を取っていい。儂への妨害もアリ。空を飛び回るアカバを先に地面に叩き落とした方の勝ち。逃げきれたらアカバの勝ちだ」


「三つ巴ってことですか」


「そう。まぁ儂は妨害なんぞせんがな。お前が周りで飛び回っとるぐらい、どうということもないからのー」



 ふふん、と鼻をならすブラム。その言い様にフィリオは少し癇に障った。



「……やったろうじゃないですか。そのかわり、賭けるもんちゃんと賭けてくださいよ」


「当然。むしろその台詞、あとで吠え面かくことになるぞ?」




「あのー! なんか勝手に話進んでるみたいだけど俺の意思はー!?」



「「そんなものはない!!」」



 高く遠い涼吾の言には意を解さず。返答(そこ)だけは息を合わせて。


 フィリオは再び投石の構え。

 ブラムは飛び上がるべく下肢に力を込めて。




「「晩飯のおかずは(ワシ)のもんじゃーーーー!!」」



 一斉に襲いかかってきた。涼吾は慌てて態勢を整え、離脱をはかる。いまだ狙いが粗いとはいえ充分な速度を有するフィリオの投石を掻い潜りつつ、弟子とは段違いに鋭いブラムの乱打を回避する。

 かなり難易度の高い状況であった。



「コンニャローめが……上等だ全部かっぱいでやらぁ!」



 素寒貧で腹を空かせて眠るがいいわーっ! と、腹をくくって迎え撃つ。


 飯が懸かると本気を出さざるおえないのは、郷がちがえど種がちがえど万国共通である。





 一層に増した騒がしさを背にして、ミリアは呟いた。




「うん。楽しそうでなにより」



 これもまた日常の一幕と受け入れつつ、今日の晩は何をつくろうか、と考えはじめる。



 すくなくとも今このとき、彼らにとっては平穏なドラクリア村であった。





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