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障害だらけの恋模様

ー次の瞬間、目があった2人の時間(とき)は止まった。




「ウォンティア国王さま、並びに第一王子さまです。」

大臣の声にはっとして会場にいる人々に向かって笑顔を作る。会場の人々も俺や父上をある者は物珍しそうにある者は興味深そうに見ていた。

俺のなかには第一王女の、ラシュリことしかなかったけれど…



「では、歓迎パーティーを始めましょう。」

貴賓席に着き父上の挨拶や俺の紹介が終わり女王の言葉ののち会場はまたそれぞれが自由に振る舞い出した。


ーさて、どうするかな…

父上と女王は2人で様々な人達の個人個人の挨拶を受けていて、残されたのは俺とラシュリの2人。


「えーっと、また会ったね。ラシュリさんはウィンディアの王女さまだったんだ…」

「サーファスさんこそ、まさか王子さまなんて…驚きました。」

お互い驚きはあるものの意外と普通だった。

けれど、俺の心の中はものすごく混乱していた。


でも、言われてみるとあの時の作法は洗練されたものだったし表情や話し方は女王と似ていた気もする…


「それにしても、妹が本当にすみません。熱中すると他の事に気が回らなくなるみたいで…いいこなんですけど。」

そういったラシュリは困ったように笑っていた。

「あぁ、そういえば熱中したって…?」

別にそこまで気にしているわけではなかったが内容がわからないのでずっとモヤモヤしていたのだ。


そうしたら、ラシュリは秘密ですよ?と楽しそうに笑って話し出した。

「妹は魔法が大好きなんです。魔力も歴代随一と言われるほど強くて…それでいつの間にか魔法の研究が趣味になっちゃったみたいで、今も専用に作ってもらった研究室から出てこなくて。」

研究室、それに魔法が好き…

「もしかして、妹さんって魔法アイテム制作第一人者にしてウィンディアである事以外名前も顔も明かされてないっていう…」

「秘密。」

にこにこと言う彼女の表情でそれが本当なのか本当じゃないのかわからなかった。


パーティーも終盤に差し掛かりそろそろ終わり。

俺とラシュリは結局、最初に少し話した程度でそのあと特別に会話をすることもなかった。

父上もそろそろ退出するというので俺も退出しようと扉へと向かうとそれに気がついたラシュリが近づいて来た。

「サーファスさん、本日はありがとうごさいました。」

王女としての彼女の対応に少し寂しさがつのる。

「こちらこそ。」

こちらも王子として返す。言うならここでしかない。

「次に会うのはあの庭だと思っていましたが会えてよかったです。でも、またあの庭にお茶をしに行ってもいいですか?」

驚いた顔をして沈黙ののち。

「もちろんです。」

笑顔とともに聞いたその言葉にこっちも嬉しくなった。




それからの滞在期間は2人でお茶をしたり庭を散策したりときにはお互いの魔法を見せあったりと楽しく過ごした。


「ここにいられるのもあと10日…そろそろ覚悟決めなきゃダメだよな。」

ラシュリに好きだって伝えないときっと後悔する。




「あれ?」

ラシュリがいつものように庭にお茶をしに行くとテーブルの上には1通の手紙が置かれていた。

「私、宛て…?」

表側にはラシュリの名前が書かれており、手にとると封を切った。


「太陽が傾き城のステンドグラスを照らす時間に庭の中央に…」

太陽を見上げるとその時刻はもうすぐそこまで迫っているようだ。



「着いた…」

あたりを見渡すがいつもと同じ風景に首をかしげる。と、次の瞬間。

「あっ!」

ステンドグラス反射した光がまたなにかに反射して綺麗な光のラインができていた。

「これっ…!!」



「ラシュリさん!俺と結婚を前提に付き合ってください!」



光に気をとられているあいだにラシュリの目の前にあらわれていたのはサーファスだった。

「喜んで。」


2人は幸せに笑いあった。





が、この恋はそんなに簡単ではないのだった。




「女王さま、許してくれるかな…」

翌日、2人が向かうのは女王のもと。

ウォンティアの王位継承者はサーファスのみ。つまり結婚を前提にするには女王の許可なくは無理なのだった。

「うん、多分大丈夫だと思うんだけど…」


「失礼します。」

通されたのは女王の私室の応対部屋。

「単刀直入に申し上げます。ラシュリさんと結婚を前提に付き合わせてください!!!」

がばっと勢い良く頭を下げた。

女王はちょっと驚いたあと楽しそうに笑い、まずラシュリに向き治った。

「あらあら、よかったわねラシュリちゃん。好きな人とうまくいったみたいで。」

そう言われたラシュリの顔は真っ赤だった。

「サーファスくん、顔をあげて。付き合っていいわよ。」

女王はさらりとそう告げた。一瞬の間をおいて、サーファスはにっこり笑おうとした、が…

「レシェナちゃんを説得できたらね?」

その言葉にまたしてもぽかんとした表情に戻るのだった。

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