第7話 猫娘がいるなら・・・
「ヒ〜ロキ♪あそぼ〜」
俺の横にいるラピスは朝食時に現れてから2時間くらい俺の隣でわめき続けている、正直どうすればいいか困っている。
(ククク、困っているようだな)
突然俺の頭の中に声が響く、相手は分かっているがやはりこの会話法はなれないな・・・
(あぁ・・・助けてくれよ、ラピスが朝から隣で騒いでるんだ)
(ラピス・・・あの猫の譲ちゃんか?)
(そうだ、お前何とかしてくれよ!)
俺じゃなくてもラピスの相手をしてやればいいんだよな、俺はだるいから動きたくない。ならば他の誰かに頼めばいいのだ!
(ふん、まだ俺を一度も召喚していないお前が俺を召喚できたら出来たら考えてやろう)
そう、俺はまだ一度も指輪の中に入ったシェルを呼び出していない・・・まぁ呼び出そうとしたことさえなかったから当然だな。
だが俺はレースにその方法を聞いているから問題ない!その方法はいたって単純、自分の目の前にシェルの姿を思い描きその名を呼ぶだけ・・・らしい。
さっそくやってみることにしようじゃないか、頭の中にシェルの姿を・・・蒼い毛皮の狼を思い浮かべその名を呼ぶ。
「シェル」
俺がそう言うと指輪が淡く輝き目の前に小さな火の玉が現れる、その火の玉は次第に大きくなり直径3メートルほどの球になると
シャボン玉が割れるようにはじけた。
そこには目を丸くして口をあけているシェルの姿があった、一発で成功させるなんてやっぱ俺ってすごいんじゃない?
ラピスは驚きの表情でシェルのほうを見ていた・・・まぁシェルと契約したときこいつ寝てたから初めてシェルの存在を知ったようだな。
「さて、それじゃあラピスのことを頼んだぞシェル」
俺はとてもさわやかな笑顔をしながらシェルに子守を頼む、シェルはそう言うと我に返ったようでこちらを恨めしそうににらんでくる。
「狼さんだー!ヒロキいつの間に契約したの?」
「昨日だ・・・そのために森まで行ったんだろうが」
どうやら森に着いてすぐ夢の世界に旅立っていたらしいな。
「まぁ詳しいことはそこの狼に聞いてくれ、俺は眠いんだ」
そう言って俺はベッドに横たわり二人のやりとりを観察することにする、何事も傍観するのが一番だ。
「狼さんあそぼ〜♪」
どうやら契約のことを聞くより遊ぶことのほうがラピスにとっては大事なみたいだな、シェルに抱きながら上機嫌で話しかけてるし・・・
「俺は狼さんではない、タートイス・シェルだ」
「そんなのどうでもいいからあそぼ〜よ〜」
名前をどうでもいいといわれちゃったぞシェル・・・軽く落ち込んでるみたいだな。
「俺もヒロキと同じで動きたくないんだ・・・だが話すくらいならかまわない」
なかなかシェルもめんどくさそうな顔をしつつも相手をしてやる気はあるようだな。
シェルは俺の前に座っているのでちょうどベッドの上の俺の目の前に頭がある、犬好きの人ならわかるだろうがその頭をなでたくなるのはきっと人間の本能だろうな。
そう思いながら手を伸ばし、わしゃわしゃと頭をなでると不機嫌そうな顔で振り返った。
「・・・何をしているんだ?」
そう言っている口がある顔に同じようについている眼はこちらに向けて殺気を放ってくる、怖いぜ。
「いや犬の頭が目の前にあるとついなでたくなってな」
俺は背中に冷や汗をかきながらそう答えた、いやまじで怖いんだって。
「そうか、犬の頭か・・・ならこれでいいんだな?」
そう言うとシェルの体が輝き一瞬のうちにその姿が消えてシェルのいた場所に見知らぬ蒼い髪の女の人が座っていた。
女の人は俺より2〜4歳ほど年上に見えたがその眼は俺に対して殺気を放っていた。
「すご〜い、シェルちゃんって人化できるんだ〜!」
人化?つまり目の前にいる女の人はシェルだってことか・・・もうこういう事態には慣れてきたのかあまり驚かなくなったぜ。
「これでなでたくなくなったか?」
そう怪しく微笑む自称シェル・・・っていうかシェルって女だったのか!?一人称が俺だから男だと思ってたんだがな。
しかし自称シェルの頭にはラピスとは違う犬耳が付いていて尻尾もふさふさしている。やはりこの女の人はシェルのようだな。
「ククク、驚いて声も出ないようだな。まぁいきなり目の前にこれだけスタイルのいい女が現れたんだからそうなるのもわかるがな」
そう言ってのベッドの上に登ってくるシェル、確かにスタイルはいいから言い返せない・・・性格悪いのに美人となると言い返せなくなるのは男ならだれだってわかるだろうな。
「あぁお前はロリコンだから俺みたいな女には興味ないのか」
・・・ぷっつん。俺の頭の中で何かが切れる音がした、そんなことを言ってにんまり笑うシェルを睨みつけ俺は叫ぶ。
「俺はロリコンじゃないって言ってるだろうがー!」
叫んだ俺はシェルに向かって突っ込む、ベッドの上だからそんなにスピードが出ないが距離も短いから逃げられないだろう。
俺は自慢の石頭をシェルの頭にむけてぶつけようとする、俗に言う頭突きだ・・・しかい勝ちを確信したその瞬間俺の頭に強い衝撃が走ったんだ。
何が起こったのか分からず崩れ落ちる俺は意識がかすんでいく中で見てしまった・・・シェルの笑顔とその手に握られたひびの入った花瓶を。
「武器は反則・・・だろ」
俺はシェルを睨みつけ、そう言いあることを願いながら意識を手放したんだ
『目覚めた時に二人ともいなくなっていますように』ってな。




