第3話 ある日森の中で
俺は今日レースに頼まれてラピスと森に果実をとりに来ていた。
俺は今まで町から出たことはなかったので町を離れて森に来るのは初めてだった、見た感じ地球と変わらない木々が立ち並んでいたが果実を集めるのにひとつだけ問題があった。
それは・・・
「おいひいよ〜♪」
そう言って口の周りを果物の果汁でべとべとになりながらも籠の中に手を伸ばし収穫を次々に口の中へと運んでいる。
「なぁ・・・」
「ふぁい?」
リンゴもどきにかぶりつきながら上目遣いで首を傾げてくる。
やべぇ何でも許したくなるほどかわいい・・・っと危なく注意するのを忘れるとこだったぜ。
「レースに言われただろ? この籠を果実でいっぱいにして来いってさ。そんなにラピスが食ってたら夜になっても帰れないぞ?」
「らいじょうぶだよ〜」
そう言ってリンゴもどきを食べているラピス、余裕だな・・・まさかどこにどんな果物があるか知ってんのか!?確かにラピスはこの世界の人間(?)だし知っていても不思議ではない。
「なるほど、知ってんなら先に言ってくれよな」
「ふぇ?」
なんで首をかしげてんですかこの猫は?
「いやそれだけ余裕だってことはこの森の中詳しいんだろ?」
じゃなきゃそれだけ余裕なわけないもんな、うん。
「この森来たのは2度目だからわかんないよ〜」
そういってにぱっと笑う少女。
・・・まじで!?
「・・・じゃあ何でそんな余裕なわけ?」
ここで焦った声を出すわけにはいかない、なぜなら俺は漢だから・・・漢はいつも余裕を持っていなければならない、昔本でそうだからまちがいない。
「間に合わなかったら『あの手』を使うからいいんだよ〜♪」
そういって笑う少女からは相変わらず余裕がうかがえる。
まさかあれか『あの手』ってのはお家の方々を呼ぶってのか? ラピスの家の執事さんが苦笑しながら森に向かって全力で走ってくる様が頭に浮かんできた。執事さんすごい!
「まさかお前の家の執事さんを呼ぶってわけじゃないよな?」
「そんなことないよ〜、だってそんなことしたら爺やが「やれやれです」っていいながら音と同じ速さで走ってくるもん」
爺やすごいなオイ!ほんとにそんな人なのかよ・・・ラピスが苦笑しながらそう言うってことはそうとうすごい人なんだな。
でも助けを呼ぶ以外ならどんな方法があるんだ?俺にはもう思いつかんぞ・・・
「まぁ気にしないでいいよ〜そんなにすごいことじゃないからさ♪」
そういって笑うラピスは八重歯がちらりと見えていて大変かわいらしい、一部の人は親指を立てて喜びそうな一瞬だ。
しかしいくら笑顔が素晴らしくても果実が集まるわけでもない、この状況を早めに何とかしなければいけないだろう・・・『あの手』が何か分からない今自分の力だけで要注意人物から獲物(果実)を守りながら集めて行くのは至難のわざだ・・・
そう感じた俺はラピスの手をつかむと走り出した。
ラピスはきょとんとしながら引っ張られていたが走っていることで籠に手を伸ばす余裕がなくなったようだ、これで作戦第一段階は終了だ。
第二段階は果実を探し走りながら採取することだがそれは実際にやってみるとなかなか難しい、まず果実がなっている木がなかなか見つからないので走っているうちに疲れてくるし走りながらだとなかなかうまく取れない。ラピスはしっかりととって口に運んでいたがな。
・・・
・・
・
それから数分後俺は河原にに倒れこみ天を仰いでいた、あぁ空って青いな・・・隣で笑って籠からリンゴもどきを出してブラックホールのような胃に送り出している猫に体力という言葉は関係ないようだしな。
もう日が沈んできたしそろそろ戻らないとやばいというのに籠の中にはもう何も残ってない。
「ラピス・・・いいかげん『あの手』ってやつで籠いっぱいに果実集めてきてくれ、俺はもう疲れた」
「わかった〜」
そう言って立ち上がったラピスは森のほうを向いて手をあげた、誰かに合図でもしてんのか?そう思っているとラピスはあげていた手を勢い良く振り下ろしたんだ、するといきなり突風がまきおこった。
俺がビビりつつも・・・もといびっくりしながら起き上り森のほうを見ると森の中で大きな音が聞こえる。
ラピスはというと満足そうにうなずいている、何が起こったんだ?と思ったがその疑問はすぐに解決された。
森の中から直径4メートルほどの竜巻が出てきたのだ、竜巻が。
竜巻は俺達のほうに向かってきたので俺は陸上部にスカウトされること間違いないと思えるほどの速さでその場から離れた。
しかし俺の考えとは違いその竜巻は何の前触れもなく消えてしまいその後には枝や果物が残った。
「はい♪たくさん集まったよ〜」
そう言ってラピスはメイドイン竜巻の果物を籠の中に入れていく、あれはお前がやったのかよ。
俺が唖然としていると籠の中いっぱいに果実を入れ終わったラピスは籠を俺のそばに持ってくると俺に立つよう言ってきた。
俺はその言葉に従い立ち上がるが今起こったことを理解することに全力を注いでいたのでその後ラピスが何か言っていたような気がしたが適当に返事を返すことしかできなかった。
しかしそれが間違いだったのだ、相手にされなかったことが気に入らなかったのかラピスが俺の手にかみついてきたのだ。
「痛っ」
無理やり俺を現実世界に呼び戻したラピスは頬をふくらませ怒っている。
「あたしを無視するな〜」
そう怒っているラピスをなだめながら帰路についた俺達だが途中でラピスが寝てしまい俺が背負って帰ることになってしまった。
結局あの竜巻が何だったのかわからなかったが家に帰ればきっとレースかラピスが教えてくれるだろう。
きっと俺には予想もつかないようなものだろうけどな・・・そう考えながら俺は森の中を迷いつつも家に向かってせっせと歩いていた。
ちなみに竜巻産の籠に入らなかった果実は全部ラピスに食われたんだ、今日一日で6キロぐらい食ったと思うがあいつの腹は膨らんでいなかった、あれって普通じゃないよな?




