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異能協会からの誘い

"ジリリリッ"

耳元でけたたましくアラームが鳴る。

「なんだもう朝か?早く支度しないとな」

アパートの一室、四畳半の畳のワンルーム、その隅で一枚の布にくるまっている、男が目を覚ます。

「あれ今日仕事休みじゃん、、、寝よ」

、、、、、目を再び閉じてしまった。

この男の名は「柴田町(しばたまち) 嘉比(かい)」異能力者の一人だ。異能力といえば、強いイメージを持ちがちだが、、、

"ピンポーン"

(誰だよこんな朝早くに、、、桜が家賃の催促にきたのか?まあ居留守するか)

"ピンポーン"

「おーい、いるのはわかっているんだ、早く出てこいクズ」

"ピンポーン"

"ドンドンドン"

(ああ、うるさいな、早く諦めて帰ってくれよ)

"ガチャ"

(え?今"ガチャ"っつたよな、桜のやろう、マスターキー使って入ってきやがったか。くそう!今は払えるもんも払えねえよ!隙を見て逃げるしかねえ)

部屋にドタドタ上がり込んでくるのが聞こえると、いよいよ覚悟を決めなければいけない。

途端に起き上がると、自分が羽織っていた布を桜に向かって広げて投げつける。

「うわっ、なにしやがる、このクズ」

さらに追加で蹴りを一発入れると、大家は地面に倒れ込む。

(ようし!この隙に逃げさせてもらいましょうかね)

2000円の入った財布とバキバキのスマホを取り、玄関の扉を開けると目の前にはスーツ姿の男が一人立っていた。

(え?なにこの人、もしかして借金取り?)

俺がドアを開けたまま、固まっていると男が口を開き始める。

「始めまして、柴田町君少しお話をいいかな?」

「話というと、、、?」

部屋の中から「お前がいつまで経っても家賃を払わんから仕事を持ってきてやったんだぞ。感謝しろよ、クズ」と聞こえてくる。

(大家のやろう余計なことしてくれやがって!絶対やばい仕事だろ!)

「そういうわけで、君に美味しい話を持ってきたんだ。少しだけでも話を聞いてくれないかな?」

「いやー、これから俺は大事が用事があるので、、、」

「そうだね。立ち話もなんだし、中でお話しようか」

「話聞けよ!用事があるんだよ!というかそれ俺がいうやつだろ!」

「お前、今日仕事なくて暇だろ?なんの用事があるんだよ」

「桜!テメェもう口閉じろ!」

「じゃあお邪魔するとしよう」

「なにが、じゃあだよ、おい!」


、、、ものすごい強引に部屋に入れられてしまった。

「それで話なんだけど」

「待った、マグロ漁船とか、地下行きとかそういう話じゃないよな?」

「まさかまさか、あんなのフィクション、都市伝説だよ、安心してほしい、私が持ってきたのは、健全なお仕事だ」

(全然信用できないだが)

「そういえば、自己紹介してなかったね、失敬失敬。私は異能協会所属、34番隊司令官"佐々木 順一郎"だ」

異能協会というと、異能力者についての全てを取り締まる公的機関だったっけか。司令官となると、軍隊のお偉いさんだな。

「君、持っているんだろう?」

「まあ、クソ弱い能力だが、一応持ってはいるぞ」

「そのようだね。"傷を与えられないのは戦闘において致命的すぎるだろ"とか"日常生活不便そう"とか"異能力というかデバフだろ"とか協会の方では散々言われているようだし、、、」

「俺、そんなふうに言われてんの!?いや、まあ実際そうだから否定できねえけどよ。おい、まさか俺の悪口を言うためにわざわざきたわけじゃないよな!?」

「いやいやまさか、今回ここにきたのは海より深いわけがあるんだよ」

「すごい浅そうだな」

「うちの異能協会の軍隊はね、みんな強い子ばかりなんだ、それもそのはず私のようなお偉いさんが能力を選り好みしているからね」

「自分で偉いというのか、、、」

「まあ実際私偉いしね、お金も有り余るほどもらっているし、こんなボロアパートとは比較にならないほどいい、ところに住んでいるよ」

「俺みたいな底辺の生活送っているやつと自分の生活比べて楽しいか?」

「うん、楽しいね」

「最悪な性格してるなお前」

"ダンッ"大家が壁に台パンする

「おいお前ら、私が貸している部屋が貧相だというような物言いだな、文句があるなら受け付けるぞ」

「あはは、冗談だよ冗談、、、話を戻しそうか。、、、優秀な能力ばかり見ていると思うのだよ、"弱いの異能力"で、軍隊を作れば面白いんじゃないかとね」

「なんでそこから急降下するんだよ、全く話入ってこなかったんだが」

「まあそういうことで、弱い異能力を探していたら"うちに最弱の異能力者がいるぜ"と桜さんが君を紹介してくれたから、会いにきたというわけだ」

「お前ら知り合いだったのかよ」

「まあそうだね、じゃなきゃこんなボロアパート自分から来ないよ」

"ダンッ"

おもむろに大家が立ち上がる

「、、、ははは、冗談だよ?いやちょっと待ってくれ、無言で関節技を決めるのはやめてくれ、それ本当に痛いからああああああああああああああ」


「ということで君異能協会の一員にならないかい?」

「なにがどういうことで、そうなった!」

「そうかい、やってくれるのかい、じゃあ明日からお願いしようかな」

「なあ桜こいつ本当に大丈夫なのか!?俺の話さっきから全然聞かないんだけど!?」

「んーまあ、大丈夫だろ、知らんけど」

「なにから何まで不安しかないんだが、まず詳しい仕事内容も知らないのに引き受けるわけが

、、、」

「早速明日からお願いしようかな。初回は様子見も含めて、二万は出そうと思うんだけど、、、どうかな?」

「是非やらしていただきます!なんでもお申し付けください!佐々木様!」

「、、、お前にはプライドとかないのかよ」


こうして、クズで最弱の異能力者、柴田町 嘉比の物語が幕を開けたのであった。

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