ゆきがふる
大正昭和の江戸周辺が舞台ですが、言葉遣いは現代の共通語を使っています。ご了承ください。
目が覚めると半分は灰色に染まっていた。
よく見るとそれは雪で、私は雪に埋もれていたのだ。
寒い。
体がブルっと震えそうな感じがした。けど、震えずに凍えているままだ。
左半分の視界で周りを見つめる。
ほとんどの人は黒い靴を履いてせっせと歩いていく。途中で私と同じ年くらいの女の子たちが笑いながら通り過ぎていく。
日が差しているから、雪は止んでいる。でも、寒い。
雪からはとっくに体温が奪われていたみたいで、でもさらにどんどん体温が下がっていく気がした。
体を起こそうと力を入れたが、その力はカチコチに固まった体から出ようとしない。体力をなるべく使わないようにしているのだ、きっと。
それは困るよと私は手を動かそうとした。それもできなかった。
助けてと叫ぼうとした。その声はままならない声にしか達せず、しかも1㎝くらい近くにいた人にも届かないくらい小さかった。
死ぬ。
そう思ったのは初めてではなかったし、むしろさっきといってもいいほど近々にそう思ったのだ。
私はなんでこんなところにいるんだろう。
私は目覚めないはずだったのに。目覚めるにしても、病院だったはずなのに。
なんでなんでという思いが駆け巡る。
途端に、死への恐怖がわいてきた。
どうしてだろう。さっきまで、あれほど死にたくて、逃げれなかったのに。
長い時間がたっても、私に気が付く人はいなかった。いたかもしれないけど、私を助けようとはしなかった。
意識がもうろうとしてきたころだった。
「どうしてこんなところに…」




