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最弱の魔王になる決断

夜の街を切り裂くように走る二つの影。


ノジュアスは、血に染まったエルミアの身体を抱えながら

ただただ前だけを見ていた。


カイラ「ノジュアス! しっかりしろ……!」


ノジュアス「頼む……エルミア、死ぬな……!」


医療院の扉を蹴り開け、ベッドに倒れ込むように彼女を置く。


医者はすぐに治癒魔法をかけたが――

わずか数秒で、その手が止まった。


医者「……もう遅い。

 彼女の心臓は完全に機能を失っている……」


ノジュアス「嘘だろ……嘘だろ……!」


カイラは歯を噛みしめて、拳を震わせる。


医者「すまない……彼女はもう……死んでいる」


その言葉が落ちると、

ノジュアスの世界は音を失った。


エルミアはもう笑わない。

もう怒らない。

もうバカみたいな爆裂魔法を誇らない。


ノジュアス「嫌だ……助ける……助ける方法が、絶対に……」


ノジュアスはエルミアを抱きしめるようにして立ち上がった。


カイラ「どこへ行く!」


ノジュアス「……リムリアのところだ……!」


── 魔王の隠れ里・夜の結界 ──


月明かりだけを頼りに走るノジュアス。


しばらくして結界の前に立つ銀髪の少女――

魔王リムリアが姿を現した。


リムリア「ノジュアス……その子……」


ノジュアス「リムリア!! エルミアを助けてくれ!!

 医者にはもう無理だって……でも……でも……!」


リムリアは近づき、

エルミアの胸にそっと手を当てた。


リムリア「……魂はギリギリ残ってる。

 でも普通の魔法では無理」


ノジュアス「だったら……魔王の力なら……!」


リムリアは目を伏せ、ゆっくり言葉を紡いだ。


リムリア「ノジュアス。

 この世界には“魔王”が何人も存在してるのを知ってる?」


ノジュアス「……何人も?」


リムリア「うん。魔王は一人じゃない。

 魔素と魂を支配できる“進化した存在”の総称なんだ」


ノジュアス「じゃあ……どうすれば魔王になれる?」


リムリアは真っ直ぐにノジュアスを見つめた。


リムリア「……条件は一つ。

 生命の魂を1万……吸収すること。」


空気が震えた。


ノジュアス「1万……?」


リムリア「そう。

 人間、魔物、魔獣……“生命あるものの魂”を1万集めれば、

 魔王に進化できる」


カイラが息を呑む。


カイラ「それって……1万人殺すことと同じじゃないのか?」


リムリア「違うよ。

 魔王になる方法は二つあるの」


リムリアは指を二本立て、不敵に微笑んだ。


◆ 魔王進化の二つの道 ◆

① 1万の生命を“奪う”ことで魔王になる道


最も簡単で、最も邪悪な道。

多くの魔王はこれで誕生する。


② 1万の生命を“救う・守る・癒す”ことで魔王になる道


極めて難しいが、世界にほとんど存在しない“純白の魔王”になる。


リムリア「ノジュアス、君に選べるのは……どっちだと思う?」


ノジュアスは迷わなかった。


ノジュアス「決まってる……

 “救う方の魔王”だ!」


リムリアの表情が柔らかくなる。


ノジュアス「エルミアを救う……

 だけじゃない。

 これ以上誰も殺させないために……

 俺は――魔王になる!!」


リムリアはゆっくり拳を握って、頷いた。


リムリア「……やっぱり君は面白い。

 いいよ。

 魔王を目指すなら――エルミアを“蘇らせる方法”もある」


ノジュアス「本当に……!? どうすれば……!」


リムリアはノジュアスの手にそっと触れた。


リムリア「君が“魔王”になれば……

 死者を蘇らせられるのは、君自身だよ」


ノジュアス「俺が……?」


リムリア「魔王の力は“魂の呼び戻し”。

 時間はかかるけど……君が進化すれば、エルミアを迎えに行ける」


ノジュアスはエルミアを抱きしめ、涙を落とす。


ノジュアス「……絶対に助ける……

 だから待っててくれ……エルミア……!」


リムリアは優しくノジュアスの肩に手を置いた。


リムリア「魔王への道……一緒に歩こう。

 ノジュアス」


夜の風が吹いた。


ここから少年は“魔王候補”となる。

 大切な仲間を救うために――世界の頂点を目指して。

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