影はすぐ側に
森から街へ戻る道。
三人の足取りは重かった。
エルミアは無理に明るく振る舞っていたが、
その手は細かく震えている。
カイラ「……さっきの“黒フード”。あれは、完全に格が違った」
ノジュアス「うん。あれは……多分、本当に“この世界のトップ層”だ」
沈黙が落ちる。
エルミア「はは……私、あんなのと戦ったら……吹き飛ぶ前に消し炭だわ」
冗談っぽく言うが、声には力がない。
ノジュアスは拳を握る。
「このままじゃ……ダメだ」
二人がノジュアスを見る。
「俺たち……弱すぎる。
あいつらの前じゃ……まるで相手にならない」
カイラ「……わかってる。俺も悔しいよ」
エルミア「私だって……怖かったよ……」
爆裂魔法に全てを捧げた少女の声が、震えていた。
ノジュアスは深く息を吸う。
「でも――俺は諦めない。
“極めるもの”がどういうスキルでも……使いこなす。
あいつらに、もう……好き勝手させない」
エルミアは目をぱちぱちさせ、ふっと笑った。
「……あんた、ほんと変なやつ。でも……嫌いじゃないよ」
カイラ「じゃあ決まりだ。
街に戻ったら《ホテル・ローズリーフ》に泊まって……作戦会議だ」
三人はうなずき、街の灯へ向かって歩き出す。
その背中は、明確に“強くなる”と決めた者の影だった。
── 街:夜。ローズリーフへの帰路 ──
月明かりの下、三人は街路を歩く。
エルミア「ねぇ……二人とも。今日のこと、忘れないでね」
カイラ「忘れるわけないだろ」
ノジュアス「当たり前だよ。俺たち、仲間だろ?」
エルミアは少しだけ照れたように微笑む。
「……うん。仲間だもんね」
街灯の明かりが差し込み始め、
ローズリーフの赤い看板が見えてきたその瞬間――
風が、一瞬止まった。
ノジュアス(……何か……来る?)
次の瞬間、
ザシュッ!!!!
夜空を裂くような金属音。
エルミア「――え?」
エルミアの肩口から、赤い血が花のように舞った。
ノジュアス「エルミア!!?」
カイラ「伏せろ!!」
屋根の上。
黒い影が立っていた。
音もなく、気配もなく――
まるで“世界に溶け込んでいた”かのように。
影の者「……標的、確認。
《爆裂魔導師エルミア》……削除開始」
ノジュアスの心臓が凍った。
エルミアの身体が、ゆっくり崩れ落ちる。
ノジュアス「やめろッ!!!」
だが、黒影は一切の感情なく――刀を構え直した。
影の者「任務遂行」
その刃が、エルミアに向かって振り下ろされる――




