世界の闇からの使者
クエスト帰りの夕暮れ。
ノジュアス、エルミア、カイラの三人は、森の外れを歩いていた。
エルミア
「今日も私の爆裂魔法が華麗に決まりましたね! いや~私、やっぱ天才かも!」
カイラ
「お前のせいでクエスト対象まで吹っ飛んだんだが……」
ノジュアス
「まあまあ……(でも威力やっぱやべぇな……)」
平和な空気。
だが、その空気が――“音もなく”裂けた。
ザァァァ……。
黒い霧のようなものが集まり、木々がざわめき始める。
カイラ
「……来るぞ。気配が普通じゃない」
エルミア
「なんか嫌な影……爆裂していいですか!?」
ノジュアス
「まだ! まず敵の数を――」
その時、樹上から降り立つ黒装束の影。
面には紋章。胸には銀色のプレート。
《アークシステム》――世界の闇を動かす謎の組織。
構成員A
「確認……ノジュアス=ヴァリア。接触開始」
構成員B
「最弱スキル保持者……だが“観測対象”入り。排除は不要」
エルミア
「は!? 排除は不要!? どういう上から目線ですか!!」
カイラ
「お前ら……何者だ」
構成員A
「答える義務は無い。任務は“観察”のみ」
次の瞬間、構成員たちが一斉に襲いかかる!
カイラ
「ノジュアス! 後ろ下がれ!」
エルミア
「爆裂魔法は準備に10秒……! 時間稼いで!」
ノジュアスは最弱スキル〈フニャフニャ〉で敵の攻撃を柔らかく受け流し、同時に〈極めるもの〉で動きを読み切る。
(やれる……! こいつら、速いけど“読める”)
エルミア
「魔力装填完了……いっくわよ!! 爆裂――!!」
轟音。
森が閃光で焼き払われ、影の構成員たちは木々ごと吹き飛ぶ。
構成員B
「……なるほど。記録完了」
構成員A
「撤退。対象、想定以上の“成長速度”」
エルミア
「逃げるなぁァァァ!!」
彼らは霧のように消えた。
カイラ
「くそ……勝てたのか? いや、様子見されただけか……」
ノジュアス
「なんだったんだ、あいつら……」
その時――
森の奥から、空気が変わった。
“圧”が来る。
冷気で心臓が縮むような、異質な存在感。
カイラ
「……来るな。これ、さっきの奴らと桁が違う」
エルミア
「な、何あれ……足が……震えて……」
黒い影がゆっくり姿を現す。
フードを深くかぶった男、目は見えない。顔も不明。
ただ、存在そのものが“世界のバグ”のような異物。
ノジュアスは直感した。
(こいつ……“世界の強者”だ)
男は一切敵意なく、ただ静かにノジュアスを見つめる。
フードの男
「――良い目だ」
低く、響くような声。
ノジュアス
「……誰、なんだ」
フードの男
「今は名乗らない。君がもっと“面白く”育ったら良い」
男は口角を上げる。
笑っているのに、背骨が凍る恐怖。
フードの男
「期待しているぞ、“最弱”のまま最強へ至る者よ」
そして、影のように消えた。
残ったのは、三人の震える呼吸だけ。
エルミア
「い、今の……絶対ヤバいやつ……」
カイラ
「……なんでお前を“観に来ただけ”なんて言うんだ」
ノジュアスは答えられなかった。
ただら胸の奥で何かが燃え始めていた。
(あいつ……絶対とんでもねぇ。だけど……負けたくない)
物語は、ついに“世界の闇”と繋がった瞬間だった。




