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最弱スキルで天下無双してみた 第一期 / Season 1  作者: LOOK Circle


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魂の帰還

挿絵(By みてみん)

 神殿の奥深く。

 新たに描き直された魔法陣が、静かに回転していた。


 白と蒼の光が幾重にも重なり、空気そのものが震えている。


 リムリアは魔法陣の中心に立ち、魔王としての魔素を精密に制御していた。


「……いい? ノジュアス。

 今回は“魂を引き戻す”だけ。

 無理に全部を戻そうとしないで」


 ノジュアスは、エルミアの手を強く握る。


「ああ……わかってる」


 わかっている。だが、怖かった。


 失敗したら――

 次はもう、取り返しがつかない。


 カイラは少し離れた場所で、剣を支えに立ち、祈るように目を閉じていた。


 リムリアが、静かに詠唱を始める。


「――魂座標、固定。

 時空干渉、遮断。

 魔王権限、解放」


 魔法陣が一段階、強く輝く。


 ノジュアスの胸の魔王紋が反応し、彼の魔素が流れ込んでいく。


「……来い……エルミア……」


 エルミアの胸の上に、淡い光の粒が集まり始めた。


 それは確かに――魂だった。


 リムリアの目が見開かれる。


「……戻ってきてる……!成功……する……!」


 神殿全体が光に包まれる。


 次の瞬間。


 心臓が、動いた


 ドクン。


 はっきりとした音。


 ノジュアスの手の中で、エルミアの指が、わずかに動いた。


「……っ!!」


 カイラが息を呑む。


「エルミア……!?」


 胸が上下する。冷たかった身体に、体温が戻っていく。


 そして――


 ゆっくりと、エルミアの瞼が開いた。


 赤い瞳が、光を映す。


「……ん……」


 その声は、確かに生きている者の声だった。


 ノジュアスの喉が詰まる。


「エルミア……!

 俺だ……わかるか……!?」


 カイラも駆け寄る。


「無事で……よかった……!」


 リムリアは、ほっとしたように息を吐いた。


「成功……だね」


 だが――





 次の瞬間。


「……誰?」


 エルミアは、ゆっくりと周囲を見回した。


 ノジュアスを見る。

 カイラを見る。

 そして、リムリアを見る。


 だが、その表情に“懐かしさ”はなかった。


エルミア

「……えっと……」


ノジュアス

「エルミア……?」


 エルミアは、困ったように首を傾げる。


「……ごめんなさい。あなたたち……誰ですか?」


 時間が、止まった。


 ノジュアスの思考が、完全に止まる。


カイラ

「……は?」


リムリア

「……あ……」


 エルミアは、不安そうに胸元を押さえた。


「ここ……どこ……?

 私……どうして……」


 ノジュアスの手が、震え始める。


「エルミア……

 一緒に旅して……

 爆裂魔法がどうとか……

 バカみたいに――」


 言葉が、続かなかった。


 エルミアは、申し訳なさそうに目を伏せる。


「……何も、思い出せません」


 カイラは、言葉を失い、剣の柄を強く握りしめた。


 リムリアは、ゆっくりとノジュアスを見た。


「……魂は戻った。

 でも……記憶は、戻らなかったみたい」


 ノジュアスは、ただ立ち尽くす。


 助けた。


 確かに、助けた。


 それなのに失ったものは、あまりにも大きかった。


 エルミアは、小さく頭を下げた。


「……あの……迷惑じゃなければ……

 ここに、いてもいいですか……?」


 その言葉が、胸に深く突き刺さる。


 ノジュアスは、震える声で答えた。


「……ああ。もちろんだ」


 彼は、無理やり笑った。


「……初めまして、エルミア」


 リムリアとカイラは、言葉を失ったまま、その光景を見つめていた。


 蘇生は、成功した。


 だが――物語は、さらに残酷な形で動き出す。

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