神滅衝波《アーク・インパクト》
日本の街路、信号の音、車のエンジン、スマホの着信音。
すべてがノジュアスの知る“現実世界”の風景だった。
だが、その風景は一瞬で崩れ去る。
なぜなら、そこには明らかにこの世界のものではない“影”が立っていたからだ。
???「やっと見つけたぞ、魔王」
黒いスーツ、金色の瞳。
人間に見えるが、発している気配はあまりにも異質。
男
「アークシステム幹部、“深層序列3位”ダグラ=ノウス。
魔王ノジュアス……回収する。」
ノジュアス
「……現実世界にまで……出てくんのかよ」
男
「お前が時空を乱したせいだ。
二つの世界が一瞬だけ重なった。
その隙間を……我々が利用しない理由はない。」
周囲の人間は何も気付かない。
この男はこの世界に存在しないはずの“魔素”で認識を遮断していた。
ノジュアスは拳を握る。
(エルミアを失って……仲間から離れて……
ここでまた奪われるのはごめんだ。)
男
「抵抗するなら――殺す。」
ダグラの右腕が変形し、黒い刃のような魔力が伸びていく。
ノジュアス
「なら……来いよ」
刹那、二人の間に衝撃波が走る。
ダグラの一撃はビルの壁を削り、アスファルトを抉り取った。
ノジュアスは寸前で避ける。
魔王化した反応速度が、彼を守っていた。
男
「なるほど……魔王としては未熟だが、
動きだけは一流だ」
ノジュアス
「お前こそ……喋るだけの雑魚か?」
男の目が細くなる。
男
「死ね」
大量の黒刃が空間を切り裂き、ノジュアスへと襲いかかる。
ノジュアスは胸に手を当てる。
(……この世界でも、魔素は使えるんだな、なら……!)
青白い魔力が全身に満ちていく。
彼の脳内に、魔王進化時に刻まれた術式が浮かぶ。
◆《神滅衝波》
ノジュアス
「……一発で終わらせる」
空気が止まる。
ノジュアスの掌の前に、白色の点が生まれた。
見た瞬間、ダグラの顔色が変わる。
男
「それは……まさか……!」
点が膨張するのではない。
周囲の魔素が一点に“吸い込まれていく”。
ノジュアス
「――《神滅衝波》」
光が世界を貫いた。
白色の直線はビル街を貫通し、空を裂き、ダグラの身体を粒子レベルで蒸発させた。
跡形もなく。
残ったのは真っ白に焼けた地面と、静寂。
ノジュアス
「……これが、俺の……魔王の力か」
強い。あまりに強すぎる。
◆そして、“裂け目”が現れる
その時だった。
空間に黒い亀裂が走る。
バリリリリッ……!
ノジュアス
「……!?」
裂け目の向こうは、異世界。
エルミアが眠る神殿のある、あの世界だ。
ノジュアス
「戻れる……!」
胸の奥が熱くなる。
エルミアを救い、仲間の元へ帰り、アークシステムを倒す。
そのための道が、今、目の前に開いた。
ノジュアス
「……待ってろよ」
彼は迷うことなく、裂け目に飛び込んだ。
強烈な光が視界を包み込み、日本の街は一瞬で遠ざかった。
◆帰還
光が消えると、そこは――
――エルミアが安置されていた神殿。
ノジュアス
「ただいま……!」
彼の魔王としての戦いは、ここから本格的に始まる。




