魔王への道
エルミアを救う手段――
それは“魔王になること”。
生命の魂一万。
それだけの数を救い、力として取り込まねば魔王には到達できない。
だがそれは、同時に“一万人の命を救い続ける”ということでもあった。
◆救済の旅、開始
「……よし。やるしかない」
ノジュアスは覚悟を決めると、
ギルドに依頼を乱獲するように受注した。
山崩れで孤立した村の救出。
魔物に襲われる街道商人の護衛。
氾濫するアンデッドの討伐。
ノジュアスは戦いながら、
とにかく“人命を救うこと”だけに全力で動き続けた。
その中で、彼の最弱スキル《微力増加》は
《極めるもの》により異常な速度で強化されていく。
◆極めるもの:40%を突破
「はぁっ……はぁ……っ、これで……何人目だ……?」
商隊を救った帰り道、
ノジュアスの全身から蒸気のような魔素が噴き出す。
脳内に響く通知。
《極めるもの》:40%到達
最弱スキルが最弱であることをやめ、
筋力・魔力・反応速度――
あらゆる能力がノジュアスの体に追いつき始める。
そして、その成長に合わせて――
“154cmだった身長が166cmへと伸びていた。”
「……また伸びた。これも《極めるもの》の…進化か。」
ギルドの受付嬢も、通行人も、
ノジュアスを見るたびに驚いていた。
だが、彼にはそんな周囲を気にしている余裕などない。
救える命を、救う。
一万の魂が集まるその時まで。
◆地獄の鍛錬へ
救済だけでは足りない。
魔王になるには、肉体も精神も耐え得る強さが必要だ。
ノジュアスは
「破壊の暴君」リムリアから教わった
魔王流の修行場――
“魔素の渦”へ向かう。
そこは魔素が常に暴走し、
普通の冒険者なら一歩踏み込むだけで昏倒する危険地帯。
「……ここで、俺は強くなる。」
渦の中心に立ち、ノジュアスは
自身の最弱スキルをさらに鍛え上げる。
魔素の暴風が肌を削り、骨を軋ませる。
気を抜けば体が崩壊する。
だが――
《極めるもの》がノジュアスを壊れないよう強制的に成長させていく。
そして数日にわたる修行の果て。
◆極めるもの 50%到達
身体が爆発するような熱に包まれ、
ノジュアスは叫ぶ。
「ぐっ……ああああああああ!!」
空気が震え、魔素が渦を巻き、
地面に巨大なクレーターが形成される。
脳内に鮮烈な通知音。
《極めるもの》:50%到達
“スキルの性質変化:最弱 → 成長特化型スキルへ進化”
“魔王進化の適性を獲得しました”
ノジュアスは息を吐き、
拳を震わせながら夜空を見上げた。
「……待ってろ、エルミア。必ず……取り戻すから。」
覚悟は決まった。
残りの魂は、あと三千ほど。
ここから先は、“戦いの領域”に踏み込むことになる。
魔王への道――
その半分をようやく超えたのだった。




