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玉座が気に食わないのなら改造してしまえばいい

 王様が聖女を連れてくるまでの間、創は暇だったので、王城の中を見て回る。


 王様は王城を離れる前に従者たちに創のことを伝えていたようで、彼を見ても恐怖するだけで襲ってくることはない。


 中には血気盛んなお年頃の兵士が上司の命令を無視して襲ってくることもあったが、もちろん歯が立つわけもなく、瞬殺された。


 その責任として、上司だけでなく、彼が所属していた部隊は創の手によって全滅させられた。


 それも仕方ない。


 今の創はとてもお腹が空いていたのだ。


 食事のために狩りをしたまでである。


 自然というのは弱肉強食だ。


 弱者は強者に捕食されるのは世の摂理だろう。


 彼らはたまたま運が悪かっただけだ。


 生態ピラミッドの頂点に位置する創に目をつけられてしまったのだから。


 食事を終えた創は王の玉座にやってくる。


「うん、俺好みの部屋じゃないな。こう、もっと禍々してくも神々しい感じみたいなのが好きなんだけどなーまあ、アイナたちからは趣味が悪いだとか、厨二病だとか言われたけど」


 どうやら、この玉座は創好みのものではないらしく、お気に召さないようだ。


 お気に召さない玉座なら己好みに変えれば良い。


 創はそう思うと、勝手に玉座を改造し始めたのだった。


 そうして、創が王城の改造を行っている頃、アドニア王国の国王であるアドニアス6世は聖皇国ニアトスに向かっていた。


 この世界は転位魔術が存在しているので、移動にはさほど時間がかからない。


 そのため、アドニアス6世は聖皇国ニアトスの首都である聖都に辿り着いていた。


 聖都に辿り着いたアアドニアス6世は慌てた様子で聖都のシンボルでもあり、この国の議事堂でもあるニアトス大聖堂へ向かった。


 そして、アドニアス6世はニアトス大聖堂にやってくると、そのまま中へ入ろうとする。


 しかし、


「ここから先は関係者以外は立ち入り禁止だ。入りたければ、入場許可証を見せろ」


 ニアトス大聖堂を守る聖騎士に止められてしまう。


 だが、アドニアス6世は鬼気迫る様子で自分を取り押さえようとする聖騎士に掴みかかり、


「それどころではないのだ!!このままでは世界が滅ぼされてしまう!!早く聖女殿に会わせてくれ!!」


 聖女に会わせるように懇願する。


 聖騎士たちはアドニアス6世の鬼気迫る様子に怯んだのだが、彼らもニアトス大聖堂を守る聖騎士だ。


 ここを通行証なしで通すわけにはいかない。


 そのように、聖騎士とアドニアス6世が揉めていると、


「一体何事だ?」


 いかにも高位の神官らしき人物がニアトス大聖堂の中から出てくる。


 その神官は身長は180センチほどの細身であり、アドニアス6世と同じくらいの歳である。


 そんな神官を見た聖騎士たちは驚いたような様子を見せる。


 その様子からこの場に普通ならば、いないような人物だと言うことが窺える。


 そして、神官はアドニアス6世を見た時、驚いた様子を見せた後、彼の元へ早足で近づいていく。


「アドニアス6世殿、今日は一体どのようなご用件で大聖堂に来られたのですか?」


 神官はアドニアス6世にどのような要件でニアトス大聖堂に来たのかと質問する。


 どうやら、この神官はアドニアス6世の様子がおかしいことに気づいたようだ。


 そして、その様子からただごとではないことが窺える。


 神官がアドニアス6世に質問すると、彼は鬼気迫る様子で話し始める。


「今すぐに聖女をアドニア王国の王都へ連れて行かなければならないのだ!!どうか!!教皇よ!!聖女をアドニア王国へ連れていく許可をくれ!!そうしなければ、世界が滅びてしまうのだ!!」


 アドニアス6世は高位の神官こと教皇に聖女をアドニア王国に連れていく許可を求めた。


 教皇はいきなりの申し出に驚きを隠せなかったが、今までの経験から表情に出すことはない。


 教皇はそんな普通ならば、あり得ない頼みに頭を悩ませる。


 普通ならば、聖女を他の国に連れていくことなど許されない。


 もしも、連れ出そうとする者に下心があった場合、世界が大変なことになる。


 だが、アドニアス6世からはそのような下心が感じられない。


 どこか、焦っているようであり、何かに怯えているようでもあった。


 それでも聖女を連れ出すことはあまりにも危険だ。


 彼は世界が滅びると言っていた。


 それは裏を返せば、世界を滅ぼせるほどの存在がいる場所に聖女を連れて行かなければならない。


 それに、アドニアス6世が相手を過大評価している可能性もあるのだ。


 今の段階では色々と分からないことが多すぎる。


 そのため、教皇はアドニアス6世にまずは何があったのか質問しようとする。


「アドニアス殿、流石の私も理由もなく聖女を連れ出すことは出来ません。詳しく理由をお聞かせ願いますか?」


 教皇が詳しく話せないかと質問したのだが、


「そんな時間はないのだ!!早く、早く戻らないと世界が滅びてしまうんだ!!嫌だ…まだ死にたくない…」


 アドニアス6世は彼の話に聞く耳を持たず、ただ己の主張をするのみだ。


 このままでは埒が開かないと思った教皇は一度アドニアス6世のことを落ち着かせるためにも休ませようとした。


 その時、空から何かが物凄い勢いで落ちてくる。


 聖騎士たちは教皇の前に立ち、落下物から教皇を守ろうとする。


 アドニアス6世は落下物が地面にぶつかった衝撃で後方へ吹き飛ばされる。


 そして、舞い上がる砂煙の中から全身ボロボロの女性が出てくる。


 彼女はアドニア王国の王妃であった。


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