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国王と神王の謁見

 そうして、何とかマナのことを助け出すことができた創は彼女を慰めた後、


「それで、今からサルカリアの王のところに行くんだけど、重要参考人として、マナにもついてきてもらいたいんだ。問題ないかな?」


 創は優しい声色のままマナに自分についてきて欲しいとお願いをする。


 それに対し、


「わ、私がアヴァロン陛下のお力になれるのであれば、ついて行きます」


 マナは緊張した様子で答える。


「アヴァロン陛下じゃなくて、創で良いよ。あんまり堅苦しいの好きじゃないから」


 そんな緊張を隠せないマナに創は自分のことは名前で呼んで欲しいと頼む。


 ちなみに、創はアヴァロン王だの、アヴァロン陛下だの言われることは嫌いではない。


 むしろ好きな方ではあるが、あくまでもフレンドリーに接してくれる場合のみだ。


 それに、あまり緊張したままでいられても対応に困ってしまうので、少しでも緊張を解いてもらえるように距離を詰めるという意味もある。


 そんな創からのお願いに対し、


「わ、分かりました。それでは、創様と呼ばせてもらいます」


 マナは彼からのお願いを聞き入れることにする。


 創は様付けは少し仰々しい気もするが、彼の立場的にこの対応が普通であろう。


 そうして、マナからの了承も得られたので、


「おい、クソ豚。今からサルサリアのバカ国王に会いに行くが、俺からの質問には嘘をつかずに絶対に答えろ。そして、俺からの質問以外は口を開くな。分かったな?」


 壁で拘束していた悪徳領主を壁から引き剥がし、胸ぐらを掴みながら質問する。


 それに対し、悪徳領主は首がねじきれんばかりの勢いで首を縦に振った。


 悪徳領主に言い聞かせた創はそのまま彼を引きずるように歩くと、優しい笑みを浮かべながらマナへ手を差し出す。


 それは自分の手を取るようにと言う意味であると気がついたマナは恐る恐る彼の手を取る。


 次の瞬間、目の前の景色が一瞬にして切り替わる。


 そこはいかにも謁見の間と言わんばかりの豪華な装飾が施された大きな部屋であった。


 そして、この部屋の奥には大きな椅子に座る小太りのおっさんがおり、創の姿を見るなり驚いた表情を浮かべている。


 その小太りのおっさんの頭には国王がつけている王冠が載っており、そのことから彼が国王であることは容易に想像できる。


 そんな国王に対し、


「おい、頭が高いぞ?誰の前にいると思ってんだ?」


 頭が高いと創は吐き捨てる。


 創から頭が高いと指摘された国王はすぐさまその場で平伏した。


 平伏する国王を見た創は満足げな表情を浮かべながら、彼の方に近づき、国王の羽織る大きなマントを掴むと、そのまま後方へ投げ捨てる。


 そして、創はそのまま国王が先ほどまで座っていた椅子に代わりに座ったのだった。


 そんな流れるような行動にマナが唖然としていると、


「マナもこっちにおいでよ。立ったままだったら疲れるだろ?こっちにまだ椅子もあるし、一緒に座ろうぜ?」


 創から一緒に座らないかとお誘いを受ける。


 確かに、創の隣にはまだ空いている椅子があるのだが、その椅子は皇太子や王妃が座るであろう椅子である。


 そんな椅子に座っても良いのかとマナは躊躇してしまうが、創の方が権力が桁違いに高いため、彼の言うことを聞く方が賢明であると判断する。


 そうして、マナは創に言われるがまま彼の横に座ると、創は足を組み、椅子の肘掛けに肘を置き、いかにも態度の悪い王様のような態度で投げ飛ばした国王と悪徳領主の方へ視線を向ける。


「それで、今回の誘拐事件にお前は関与しているのか?」


 そして、国王に今回の事件に関与しているのかと質問する。


 それに対し、


「はい……関与しております……」


 国王は正直に答える。


 彼はサルサリアの国王ということもあり、創と会う機会は他の者たちよりも多く、彼のことはよく知っている方だ。


 そして、創が他者の心を読めることはもちろん知っているため、彼の前で嘘をついても意味がないことはよく理解している。


 そのため、国王は嘘をつかずに正直に話したのだ。


 国王の回答を聞いた創は、


「で?このチビハゲは本当にクソ豚と共謀したのか?」


 今度は彼が嘘をついていないかと悪徳領主に質問する。


 わざわざ聞かなくても良いのに質問をしたのは単純に嫌がらせをしたいからである。


 創に質問された悪徳領主は、


「はい!!そうです!!」


 怯えたような声を何とか張り上げながら肯定の返事を返す。


 このまま悪徳領主たちを虐めるのも悪くないが、ここにはマナもいる。


 あまり自分の欲望を満たすための行動をし過ぎるのも良くないだろう。


 そして、創は彼らから事情聴取でもしようかと考え始める。


 しかし、これから警察に突き出すというのにわざわざ自分が事情聴取などする必要などあるのかと創は思った。


 それに、彼らは下衆なので、何を考えてマナを攫ったのか答えさせたら、かえってマナを傷つけることになるかもしれない。


 未来視の結果でもそうなる未来の方が多いので、ここはあえて質問しないでおこう。


 せっかく悪徳領主に自分からの質問には絶対に答えろと言い聞かせたのに全てがパーになってしまったと少し残念に思う。


 その思いがついつい外に漏れ出てしまい、創はこの場で大きなため息が漏れてしまう。


 創のため息を聞いた悪徳領主と国王は大きく身震いをし、ガタガタと震えているが、創の眼中にはない。


 そうして、暇な創は隣に座っているマナと仲良くなるためにも話すことにする。


「そう思えば、マナは今何歳なの?」


「先月に15歳になったばかりです」


「はえーそれじゃあ、高校とかは進学したりするの?」


「はい、進学する予定ですね」


「なるほどなるほど、今年の7月から晴れて高校生となるわけか。それで、どこの高校に進学する予定なの?サルカリアは田舎だし、高校となると相当遠い場所に行くことなるよね?」


 創はそうまなに質問する。


 神国アヴァロンにおいて、高等学校からが高等教育機関であり、国が運営、または国から認可を得た組織が執り行う教育機関だ。


 そのため、高等学校から上の教育機関は数が限られており、多くの学生が受験戦争を繰り広げている。


 最近では創が教育の方へ力を入れていたこともあり、前よりも高等学校の数は増え、今まで溢れてしまっていた学生たちにも学びの機会が与えられるようになっている。


 しかし、それでも人口に対して学校の数が少ないため、緩和しつつあるものの、それでも毎年学生たちの間で激しい受験戦争が繰り広げられている。


 ちなみに、神国アヴァロンにおける高等学校への進学率は全体の50%ほどであり、大学までなると、更に低くなる。


 そして、今彼らがいるサルカリアは神国アヴァロンの中でも田舎に位置するため、近くに高等学校は存在していない。


 そのため、高等学校に行くとなると、マナは一人暮らしをしなければならなくなる。


 だが、神国アヴァロンはその辺りの対策もバッチリであり、遠くの学校に進学して家から通えない場合は補助金が出るようになっている。


 それに、高等学校には絶対に寮が存在しており、補助金を使えば、実質的に無料で生活することができる。


 そんな創からの質問に対し、


「一応、アルカディア第二高校に進学する予定なので、サルカリアからは凄く遠い場所ですね」


 マナはアルカディア第二高等学校へ進学すると告げる。


 このアルカディア第二高等学校は高等学校の中でも名門中の名門であり、真の才ある天才しか入学することが出来ない難関校だ。


 そんな高等学校に合格したマナは間違いなく才女なのだ。


 マナから進学先を教えてもらった創は少し驚いたような表情を浮かべながら彼女との会話を続ける。


「マジ?実は俺の孫も今年からアルカディア第二高校に通うんだよ」


 どうやら、創の孫も今年の7月からアルカディア第二高等学校に進学するらしい。


 そのことを伝えられたマナも少し驚いた様子である。


「もしかしたら、同じクラスになるかもしれないな。まあ、同じクラスにならなくても多分すぐに分かるよ。凄く特徴的な子だからな」


「創様とお孫さんなら、確かに目立ちそうですしね」


「いや、俺の孫だから目立つというよりもあの子自体が特徴的だから目立つ感じなんだよな……悪目立ちしなかったら良いんだけど」


「そ、そんなに特徴的な方なんですか……?」


「まあ、普通ではないよな。俺が言うのも何だが、だいぶ変わってる気がする。だけど、凄く良い子ではあるから仲良くしてくれたら嬉しいよ」


 創はマナの方へ優しく微笑みながらそう答える。


 それに対し、


「わ、私も知り合いが誰もいない環境なので、仲良くしてもらえたら嬉しいです」


 マナも創の孫に仲良くしてもらえると嬉しいと答える。


 そして、創は思い出したかのようにマナに告げる。


「そう思えば、孫の名前を教えてなかったね。俺の孫の名前は十六夜 ちあきって言うんだ。一緒のクラスになった時はよろしくね」


 孫の名前は十六夜 ちあきだと。


ちなみに、これアヴァロンの次回作の伏線あります。まあ、アヴァロン自体が全く終わる気配ないので、いつ頃回収されるか分からない伏線なんですけどね。ちなみに、ネタバレしますと、創くんは孫どころか、遠い遠い子孫なんかも存在してます。何で、存在してるのかって?アヴァロンの更新を待たれよ!!

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