創、裏垢がアイナにバレ、地獄行きになる
後書にネタバレあり
某日、アイナは自分の部屋でスマートフォンによく似た通信機器(以後面倒臭いのでスマホと呼ぶ)を眺めていた。
どうやら、アイナはスマホで写真やメッセージなどを投稿するSNSアプリで他人の投稿を見ているらしく、適当に自分のタイムラインに流れてくる投稿を眺めていた。
適当に他人の投稿を眺めていたアイナであったが、彼女の旦那である創が投稿した内容が彼女のタイムラインに流れてきた。
この時、創は自分の息子たちといつも世話になっている神獣(全員男)たちを連れて旅行に行っており、アイナたち妻は今回の旅行は家で留守番となっている。
アイナも彼らについて行きたいと思ったのだが、創が旅行に連れて行くメンバーが全員男であったと言うことから、アイナたちは気を遣って今回の旅行に行きたいなどと我儘は言わず、素直に家で留守番したのである。
ちなみに、創たちがどこに旅行に行ったのかはアイナたちは知らされておらず、流石にどこに行くのかは危険などがあるため、アイナも心配で質問したのだが、はぐらかされてしまった。
創に行く場所をはぐらかされてしまったアイナは少し不服であったが、彼はよく行き先を言わずにどこかへ行くことが多いので、いつものことかと問い詰めることはなかった。
どうせ、問い詰めたところで彼が口を割るとは思えないし。
それに、彼が連れて行っているメンバーから、旅行という名の強制鬼畜特訓合宿である可能性もあるので、旅行先を答えられないと言うパターンも存在している。
そのため、アイナたちは行き先を聞きたくても聞けないと言うことが多いのである。
そんな旅行中の創の投稿の内容とは言うと、
『うぇ〜い!!!ギャンブル楽しすぎぃぃぃぃいいいいい!!!!!有名ギャンブラーから有り金を全て巻き上げた時が一番生を実感するなぁぁぁああああああああ!!!!!だが、唯一の残念ポイントは相手になる奴が息子たちしかいないことかな』
いかにも成金と思わせる煌びやかの装飾品と豪華なスーツに身を包んだ創たちの写真と共にギャンブルを楽しんでいる旨のメッセージというものであった。
写真に写っている創はグラサンをかけているため、目元を確認することはできないが、それでも満面の笑みを浮かべていることが分かるぐらい口角を上げており、カメラに向けてしっかり決めポーズをしている。
これは創だけでなく、彼の息子であるシンや優真も同様であり、彼らもいかにも成金ですと言わんばかりの趣味の悪いファッションに身を包んでギャンブルを楽しそうにしている姿が写っていた。
そんな彼らの姿を見たアイナはとても心配になった。
昔から創はギャンブルが好きであり、彼がギャンブルが好きな理由としては単純に勝ち負けのハラハラ感がたまらないなど普通の理由ではなく、ギャンブルは相手の人生を何の罪に問われることなく破壊することが出来るためという極悪非道な理由である。
そして、創は相手の心を読めるというギャンブル界最強の力を持つのに加え、彼自身の運もとても良く、頭も常人離れした良さも持っているため、有名ギャンブラーでも彼の前では赤子同然である。
それだけ強ければ、有名ギャンブラーたちや他のギャンブラーたちの間で有名になり、警戒されると思うかもしれないが、彼は神国アヴァロンの王であるため、普段は認識阻害の魔術を施しており、彼を如月 創だと認識することはできないので、警戒のしようがない。
それに、創は相手のギャンブラーから全財産をむしり取るためにわざと最初は弱いように装って多額の金をかけることにより、相手に自分はカモですと油断させてから、途中から一気に勝ちを取りに行く。
もしも、相手が全財産を使い切る前に勝負から降りようとする場合、創は相手の怒りを買うような挑発を的確に行い、最後まで勝負から降りさせないようにしている。
本当に創は性根が腐っている最低野郎だ。
ちなみに、彼の息子たちは創ほど性根が腐っているわけではなく、確かに相手を打ち負かすことには快感を覚えているのだが、相手の人生を破壊することを目的としてギャンブルを行っているわけではない。
優真に関しては単純にギャンブルをゲームとして楽しんでおり、友達同士でポーカーをするようなノリで創たちのように相手を煽るために多額の金額をかけるのではなく、適度なお金をかけて遊んでいる。
如月家の男性陣で良心的な心を持っているのは悠真くらいである。
アイナは創がギャンブルで相手の人生を破壊することに快感を覚えていることは分かっているため、彼が行きすぎたことをしないかとても心配であった。
それと、優真以外の息子たちも創よりはマシにしても他人の不幸を喜ぶような性悪たちが集まっているため、創に同調してやりすぎないかも心配であった。
だが、今回の旅行にはガルなどの彼を止めてくれる神獣たちもついて行っているため、アイナは彼らのことを信じるしかなかった。
ちなみにだが、創は性格がひん曲がっているのに国民人気が高い理由としては、彼は自国民にはとても優しく、国民たちと多くのコミュニケーションをとり、より良い国にしようと結構彼らの意見を参考にした法案を通しているためである。
何故、ここまで国民たちに優しいのかというと、彼にとって自国民とは友達のような存在だと思っているためであり、友達が困っているのであるならば、助けなければならないという考えからきている。
まあ、自国民全員に優しいわけではなく、彼と関わったことのある地域や人たちにだけ優しいのだがな。
そのため、今回彼が言っているカジノは神国アヴァロン以外の国か、彼があまり好きではない地域、彼が大嫌いな人間たちが住む人界のカジノで人間たちを虐めているのかのどれかであることが分かる。
そのように、アイナが創たちが行きすぎたことをやらかさないかと心配していると、創がまた別の投稿をしていることに気づいた。
その別の投稿とは、創がアイナたちには教えていないはずの裏垢であり、創はよく裏垢で問題発言してアイナたちに絞められては新たな裏垢を作っているのだが、今回新たに作った裏垢も見事アイナに見つかってしまったようで、裏垢を無事監視されているようだ。
そうして、裏垢での創の投稿の内容は、
『うひょ〜!!ここのカジノ、めちゃくちゃタイプの女の子が多いんだけど!!誰かギャンブルで打ち負かしてお持ち帰りしようかな〜?本当に今回の旅行はアイナたちを連れて来なくて良かったぜ!!』
というものであった。
この投稿を見たアイナは怒りのあまり手に持っていたスマホを握りつぶしてしまった。
怒りのあまりスマホを握りつぶしてしまったアイナは直ぐに我に戻ると、壊れたスマホで今回の旅行に共に行っているガルに電話をかけ、今いる場所を脅すことで聞き出すことに成功した。
ガルから創たちがいる場所を聞き出したアイナは留守番組の中でも戦闘力の高い選りすぐりのメンバーを集めると、創たちのいるカジノに乗り込んだ。
創たちのいるカジノに乗り込んだアイナたちは創がどこにいるのか探していると、ちょうど創が明らかに彼のタイプどストライクの女性をナンパしているところであった。
そんなナンパしている創の肩にアイナは優しく手を置いた。
いきなり肩に手を置かれた創はナンパ中に一体誰なんだと少し不服そうに振り返ってみると、そこにはいるはずのないアイナの姿があった。
いるはずのないアイナに驚きを隠せなかった創であったのだが、彼女の後ろに留守番組の中でも戦闘力の高いメンバーが連なっているところを見たことで、自分の現在の状況を理解した。
そして、
ア「創くん、カジノで凄く楽しそうにしてるね?ここのカジノにはタイプの女の子がたくさんいるんだって?一体どの子が一番のタイプでお持ち帰りしようとしているのかな?」
アイナは彼の裏垢の投稿を画面に写したスマホを彼に見せながら、貼り付けたような笑みを浮かべ、創に問いただした。
まさか、新たに作った裏垢までもバレてしまっているとは思ってもいなかった創は顔を引き摺らせながら、
創「そのアカウントの投稿と俺に一体何の繋がりがあるんだい?僕はただこのカジノでおすすめのゲームをお姉さんに聞いていただけでお持ち帰りなんて考えていないからね?僕にとってはアイナたちが一番なんだから」
創はアイナが見せているアカウントは自分ではないと否定しつつ、アイナたちが一番だと言うことで何とか難を逃れようとしていた。
しかし、
ア「創くん、アイナも嘘を見抜くことぐらいできるの知ってるよね?創くんが嘘をついていることなんてバレバレなんだよ?まあ、後のことは別の場所でじっくり聞かせてもらうからね?」
アイナは創の嘘を最も容易く見抜いた。
嘘を見抜かれた創は全身から冷や汗が吹き出し、どうにかしてこの場から逃げようとしたのだが、アイナが創のことを見逃すはずもなく、彼は服の襟を掴まれ、
創「いやだぁぁぁぁあああああああ!!!!!もうしないから許してくれぇぇぇぇぇえええええええ!!!!!」
必死の抵抗と虚しく、創はアイナに引きずられながらカジノを立ち去ったのだった。
その後、旅行中に創は戻ってくることはなく、少し心配になったシンたちは実家に戻ってみたのだが、そこには干からびた創の姿があったのだった。
創くんの性格が現在よりも女好きになっていて少し違うと思われるかもしれませんが、これは今連載中のアヴァロン第一部が終了した後の創くんなんです。なので、今の彼とは少々違います。