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拾壱 酒買小僧
江戸時代。
酒は、量り売りが主流だった。
酒屋に積まれた酒樽から、客が持つ徳利へと酒が移され、その量によって料金が決まるシステムだ。
江戸時代を生きる酔っぱらいたちは、仕事が終われば徳利を引っ提げて酒屋に押し掛けた。
小金持ちは、使用人を酒屋へつかわせ、仕事が終わる頃に酒を持ってこさせた。
酒買小僧は、そんなニーズにぴったりで重宝された。
今日もまた、酒買小僧は徳利を引っ提げて、主人の代わりに酒を買いに向かう。
江戸と同じように、令和の道をひた走る。
「未成年に酒は売れねえよ」
そして、酒屋の主人に追い返されて、すごすごと帰っていった。