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転生魔法兵ラダルは魔力が少ない!だから俺に魔力を分けてくれ!!  作者: 鬼戸アキラ
第三章 ラダルと武商旅団
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腐犬のナルデア

一時帰宅出来たので急遽更新します。

年内は最後の更新となります。

良いお年をお迎え下さい。

深龍に到着した俺達は将軍が居るという軍組織の敷地にやって来た。するとシウハが露骨に嫌そうな顔をした。視線の先には左頬に大きな傷のある大男……ゴンザレス隊長くらい有るんじゃね?シウハに気付くとニヤつきながらコチラに寄って来た。


「久しぶりだなシウハ……そんなに嫌な顔するなや」


「何の用だい?」


「お前らもアレが狙いか?」


「何の話しだい?」


「オイオイ……油だよア!ブ!ラ!知らねえはずねえだろ?とぼけんな」


「ああ、ソレね。もちろん知ってるわよ、ソイツを引取りに来たんだからね」


「はぁ??引取りだぁ??先に来たのは俺だぜ??」


「じゃあ将軍と話はしたのかい?」


「いや、まだだが……」


「ウチらは将軍と話が着いてる。だから引取りに来たのさ。残念だったねぇ〜無駄骨で」


すると途端にその大男の魔力が引き上がる!ザルスがシウハの前に庇う様に出て来た。

俺は『溶岩弾(マグマバレット)』を出して顔の前で止めて何時でも発射出来る様にした。

すると大男は俺の方を見てニヤつきながらこう言った。


「ほう……無詠唱でバレットを出したな……ん?ソイツは……普通のバレットじゃねぇのか??」


「合成魔法だよ。ウチの頭目に手を出すなら相手になるぞ大男」


「フハハハ!!中々活きのいい新入りを確保した様だな?」


その大男の後ろから三人……これも中々の魔力の持ち主が現れた。コイツらも出来るな……そう思っているとその中の一人が俺を見た後、その大男に何やら話をしだした。


《あの男は心眼持ちなの》


(はあ?心眼持ち?何だそりゃ?)


《主を鑑定したの。我がスキルは見えない様にしてあるの》


(へぇーそんなスキルが有ったんだ。面白いなそりゃあ)


俺は興味が出たのでちょっとソイツを揶揄う事にした。


「おい、ソコの心眼持ち。人の事をジロジロ見るんじゃねぇよ」


すると大男とその心眼持ちがびっくりした様な顔になった。


「どうせ俺のスキルは全部見えねぇから無駄だぞ。さあ、始めるならとっとと始めようぜ。時間が惜しいんだ」


「このガキ……言わせて置けば……」


「お前らいい加減にしろ……もう二度は死んでるぞ……」


大男と三人は驚いた様に後ろを振り返ると、いつの間にか後ろに廻っていたアシュのおっちゃんが居る。


「てめぇ……いつの間に……」


「二度と言ったのはオレが後ろに廻っても気付く事も無かった事と、もう既にお前らラダルの魔法に掛かってるからだ」


俺はアシュのおっちゃんが言う通り『千仞』を始動させており、奴らが動こうとすれば直ぐに動きを止めて『溶岩弾(マグマバレット)』を撃ち込む用意は出来ていたのだ。


「何をしてるんだ!お前らいい加減しろ!」


俺達の後ろから大声がする……ああ、アレはあの時の将軍だな。


「ナルデア!お前達に油は出さんぞ!今回は帰れ!」


するとナルデアと呼ばれた大男が驚いた表情で話し出す。


「じゃあシウハが言ってたのは本当に……」


「だから言ったろ?無駄骨だってね」


すると大男……ナルデアは魔力を消した。俺はそれを見て『溶岩弾(マグマバレット)』を消した。


「それが賢明な判断だぞナルデア。そのシウハの所の新入り二人は相当な使い手だぞ。ウチに欲しいくらいだ」


ほう……どうやら将軍の手の者があの場で監視をしていたって事か。それだと血魔法も見られたって事だな。中々やるねぇ……この将軍様はさ。


するとナルデアは俺達に向かってこう言った。


「ほう、将軍にそこまで言わせるとはな……どうだ?ウチに来ないか?今の倍は払うぞ?」


「へぇー、なら東の果てまで連れて行ってくれるなら考えても良いよ」


「はあ??東の果てだと??あんな場所に行くなんてシウハくらいのものだ!」


「なら諦めなよ。東の果てにも行けない様な腰抜けはお断りだね」


ナルデアは俺を睨み付けながら捨て台詞を吐いた。


「てめぇ……ラダルとか言ったな?面と言った事は覚えとくぜ」


「好きにしろよ。ただし、何か良からぬ事を考えてるなら本当に注意しろよ?危険人物はコチラも常に狙ってるからな。寝る時も暗がりを歩く時……飲んでる時も女と居る時も常に細心の注意しろよ。ソコの心眼持ちよりコッチの『眼』は良いんだぜ?」


ナルデアは苦虫を噛み潰したような顔をして立ち去って行った。


「何なのアイツは?」


俺はシウハに聞くと「奴は『軍武商団』の頭目『腐犬のナルデア』さ」と吐き捨てる様に言った。


「ふけん??」


「腐犬ってのは死骸とかを食ってる魔犬の事さ。ろくでなしって隠語も含まれてる」


「なるほど……」


「もう良いか?早く物を渡したいのだがな」


将軍は俺達に話し掛けた。

『軍武商団』の『腐犬のナルデア』か……面倒臭そうな奴とやり合ったなあ。まあ、邪魔して来たら倒すけどね。俺は念の為に『眼』にヤツらを見張らせる事にした。


「しかし……東の果てに行くつもりなのか?あんな危険な場所に何しに行くんだ?」


「俺達二人は別の大陸から罠で転移させられて来たんです。だから東の果から船に乗って故郷に帰る為に行くんですよ」


「何?転移だと?……それじゃああの者と……」


「あの者?」


「ああ……随分と昔の話だが、重傷を負った男が見た事のない装備品を持っていてな……全く言葉が通じなかったのだ。その場所でははるか昔から他の地から飛ばされて来る者の伝説が語り継がれてる場所でなぁ……結局助けられなかったが良く覚えていたんだ」


「ああ……そうですね言葉が違うからなぁ……覚えるのに苦労しましたから」


「そうか……ならばこの地には留まりそうにないのだな。留まるのならばコチラがシウハに頼んで、軍に所属してもらおうかと思っていたのだがな」


「向こうで待ってる人達が居ますからね。帰らないと」


「なるほどな……うむ、それが良い。無事家族に会える事を祈るとしよう」


「ありがとう御座います」


中々出来た将軍様だ事……こういう人だと良い人材が寄って来るだろうね。

俺達は将軍より油を受け取ってから深龍の街に繰り出した。タヒドに食料品を買い込ませる予定であった。


「旦那ぁ〜大分安く仕入れられやしたぜ!持ってた塩は全部高値で売れやした!もうウハウハでさあ!」


「それなら良かったよ。コレで向こうで塩を買い込めば他で売れるな」


「炎龍国の塩は質が色々と有るんで注意が必要なんでさぁ!」


「なるほど……じゃあ買う時に注意をしよう。街によって違いもありそうだね?」


「その通りですぜ!炎龍国の浮蘭という街では桃色の塩が売ってやしてね、結構な高値で取引されてますぜ」


「ほうほう、紅塩かあ……そりゃあ高く売れそうだ。仕入れに行けるといいなあ」


「頭目は必ず寄ると思いますぜ!何しろ貴族の連中に高値で捌けるんで、きっと買い込むはずでさぁ!」


ああ、確かにシウハは貴族相手の取引を頻繁に行ってるね……まあ、金持ちから金を出させるのは効率が良いからねぇ。

あれから見張らせていた『眼』に見張らせていた『腐犬のナルデア』達だが、ガラの悪そうな連中をかき集めてる様だ。

こりゃあ一悶着有りそうだな……それならいっその事こっちから出向いてやるか!


「ニャアア!!」


「ん?キラもついて来るかい?」


「ニャッ!」


「旦那ぁ、何処かに出掛けるんで?」


「うん、ちょっと揉め事の芽を詰んで来るよ。先に帰ってて」


タヒドと別れた俺は魔導鞄から『十三(じゅうぞう)』を出してナルデア達の居る屋敷に向かった。



お読み頂きありがとうございます。

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