撤退戦?終了
年末年始の忙しさで更新滞っておりますm(_ _)m
悩んだ俺は1000人の方にキラと『十三』で攻撃を仕掛ける事にした。2500人の方はそろそろ【エナジードレイン】の効果により戦闘力がガタ落ちのはずだからだ。
俺は巨大化しているキラに『十三』と一緒に乗った。
『【血魔法】!!』
俺の中から赤い霧が発生してキラごと包み込む。そしてキラはブレスを吐きながら隊列に突っ込んでいく!
『十三』はキラが暴れている背中の上から魔法銃で器用に狙撃して行く。しかも敵兵の顔面を確実に捉えている……スゲェな!!流石は前世で見た漫画で世界最高のスナイパーの名前を付けただけ有るよ。
俺は血魔法による防御のみに専念する。攻撃をしていると【血魔法】の効果が解かれてしまうのが早くなるからである。
この策だとキラは全くダメージを受けない為攻撃に専念出来る。不死身とはいえ攻撃を喰らえば痛みもあるのだからね。つまりは俺達がそれぞれ攻撃と防御に徹すると完璧な『盾と矛』になる訳だ。
それから敵兵はキラに蹂躙され続ける。
何せ自分達の攻撃が全く通用しない上にブレスと爪で攻撃されて、逃げれば狙撃される。ある者は後ろに回り攻撃しようとすると蛇の尻尾から毒まで吐かれてダメージを負う……ある者は飛び回るキラになぎ倒されて動かなくなる。
こんな一方的な状況が続くと敵兵は逃げるしかなくなる。
そうなればどちらが追撃戦をやってるのかと言うくらいに立場が逆転する。こちらは被害ゼロで1000人の兵を蹴散らした。
そして残りの2500人もキラがのっしのっしと向かって行くと我先にと逃げ出して行く……動きは相当鈍いが。
勝負あったと見て、俺はそれを見て隠れているザルスの所に向かった。
「ザルス、キラに乗るかい?」
「……お、お前……何故闇の上級魔法を使える?しかも血魔法なんてどこで覚えたんだ??」
「ああ……コレは精霊に貰った器を護る腕輪でね、コレが光ってる内は上級魔法を使える。血魔法は遺跡でレブルを倒したんだけど、事情が有って『ネームド』を取り損ねてね……代わりに俺のスキルとしてくっ付いちゃったって訳さ。ソレで血魔法を使える」
「!?レブルだと?、あのバンパイアロードのか??」
「ああ、それそれ。死にそうになったけどね~死ぬ間際に俺に取り憑こうとしたレブルを俺のスキルが喰っちゃったみたいなんだよね……」
「……何がどうなるとそんな事になるんだか全く分からんが……お前はソレでよく闇堕ちしないものだな……普通なら人では無い何かになってもおかしくないぞ」
「俺に言われてもなぁ……」
「まあ、良いさ。ソレで正気が保ててるならな。ヤバくなったらオレが殺してやるよ」
「う〜ん……大丈夫だと思うけどね〜」
ザルスはキラの上に乗った。そして先に行かせた馬車の方へとキラを走らせた。もう追ってくる奴らも居ない……流石に諦めたのだろう。
俺とザルスが馬車まで戻ると皆が驚いた様な顔をしていた。まさかこんなに早く追い付くとは思って無かった様である。
ザルスはキラが大活躍したと皆に話して血魔法の事は言わなかった。
「よし、それじゃあ頭目を追いかけるぞ!」
「おう!!」
俺はザルスに近づいて小声で話し掛ける。
「何で血魔法の事を言わなかったの?」
「……アレは本来人外の術だ。あまり他人に知らせるのは得策では無い。見ていないのなら態々知らせなくてもいい」
「そう……なるほどね。あっ、この腕輪の効果が切れると一ヶ月ほど血魔法は使えなくなるからさ」
「ほう……随分時間が掛かるな?」
「それだけ無理をしてるって事さ。俺の器が薄過ぎなんだよね。必要な特殊な理力が溜まるまで時間が必要なんだ」
「うむ、分かった。アレはなるべく使わない方が良いから丁度良いだろう。どうしようも無い時だけ使う様にしろ。分かったな?」
「了解」
なるほど……切り札的に使う方が良さそうだね。まあ、そんなに簡単な使い方はするつもりも無かったけど。しかし人外の術とか言われると嫌な感じしかしないのだが……。
俺たちの馬車がシウハの馬車に追い付くまで1週間も掛かった。つうか、前線の補給部隊に品を渡し終わって待ってたよ……そう言えば向こうの馬車は速いんだっけ?
「ラダル、大丈夫だったか?」
「うん、キラの大活躍で何とか追い払ったよ」
「ニャアア〜」
もう既に小さくなっているキラが俺の頬に額を擦り付けながら鳴いていた。尊い。
「ん?腕輪の光が消えてるな。血魔法を使ったか?」
「キラに乗って血魔法を発動した。防御専門で振り落とされない様にしてただけ。『十三』も的確な狙撃だったよ」
「なるほど……大勢の軍にはキラが暴れた方が効果的か」
「ブレスも有るからね〜。本当に凄かったわ」
俺かアシュのおっちゃんと話しているとシウハがザルスと共にやって来た。シウハは機嫌が良さそうだ。
「ラダル、ザルスから話は聞いたよ。大活躍だったみたいだねぇ〜」
「キラのおかげかな。まあ、上手く行って良かったよ」
「しかし、お前達二人は飛んでもないね。味方に引き入れて正解だったよ」
「ソイツはどうも」
「これほどの実力なら山脈の向こう側から来たって言うのも信用出来るわね。真剣に理力の護符とやらを探してみようかねえ……」
「それよりも先に炎龍国の無舞に行きたいんですけど」
「そいつは青龍国の深龍に行ったその後だね。楽しみにしてな!フハハハ!」
シウハは今回も相当儲けて機嫌が良いみたいである。そんなに稼いでどうするつもりなのかね??
次の目的地の深龍は青龍国の首都である。この間の将軍からの品物を受け取りに行くんだろう。一体何を引き取るのだろうか??
「そう言えばさ、あの棺桶はどうなったんだい?」
「ん?アレかい?……気になるのかい?」
「う〜ん……俺からかなりの高額で買い取ったでしょ?その割には売った様子もないしさ。それが不思議に思ってたんだよ」
「ほう……まあ、知った所で意味は無いさ。あれの事はもう忘れな」
「まあ、そう言うなら……それならさ、深龍で受け取る品くらいは教えてよ」
「ああ……アレはな、油だよ」
「油??」
「そうだ。深龍にある油は黄龍国からぶん捕った奴なのさ。それを炎龍国で売るんだ。炎龍国は油が高く売れるからねぇ〜」
するといつの間にかやって来て居たタヒドが俺の傍に来る。
「旦那ぁ、炎龍国は北の方なので暖房用に需要が有るんでさぁ」
「へぇ〜そうなのか。俺は魔導具の暖房は持ってるけど……」
「魔導具なんて平民は買えやせんぜ!しかも木の少ない国なんで油が必要なんでさぁ!」
「木が少ないの?」
「炎龍国は岩塩の多い土地なんでさぁ。ですから塩は偉い安いんで油と塩の交易は確実に儲かりますぜ!」
「なるほど……塩を含む土地が多いと……じゃあ野菜も育たないから食料品も良いんじゃないか?」
「流石は旦那だ!もちろん食料品も儲かりますぜ!ただ今からだと油が時季的に一番でさぁ!」
「と言う訳さ。だから油を頂いたって寸法さ。さあ、そろそろ深龍に向かうよ!」
しかし、毎度思うのだがシウハの情報網は凄いな……油をぶん捕った事も把握してるとか一体どんな手を使って居るのだろうか?
今回は深龍まで一ヶ月程で行ける様だ。
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