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転生魔法兵ラダルは魔力が少ない!だから俺に魔力を分けてくれ!!  作者: 鬼戸アキラ
第三章 ラダルと武商旅団
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囮の撤退戦

囮となった武商旅団の撤退戦です

『武商旅団』はそのまま前線へと進む。

その道中、俺はザルスに身体強化の話を聞いた。


「傭兵団がやってる身体強化ってどうやってるの?」


「……アレは闇魔法で潜在能力を引き出している。お前はまだ使えぬのか?」


「俺は基本的に初級の魔法しか使えない。器の問題でね」


「ほう……魔力はかなり大きい様だが……歪だな」


「皆から言われます……」


「器が貧弱では潜在能力を引き出せない……諦めろ」


マジかあぁぁ!やはりココでも立ちはだかるのは器の問題である。やはりレディスン=ホークランドなる人物に早く会わないとダメなのだろうね。


「今のお前には必要あるまい」


「何でさ?」


「お前の装備は身体強化以上の物だろう?」


「確かに……装備には金を使ってるからね」


「合成魔法の発動の速さは神がかっている。更に無詠唱などとか普通の魔導師の域を超えているからな」


「そりゃあ練習したからね」


「それにお前は……人でありながら死王の術を使っている。それは生者の使える術では無い。つまり闇属性に魅入られているかなり危険な存在だ。器が貧弱だからこそ人で居られるのだ。もし仮に器を強化したとしても【闇の扉】を開けない事だな。その誘惑に勝てないと人ならざる者となるぞ」


「そんな怖い事を怖い顔して言わないで貰えます?」


「……怖い顔は元からだ」


「でさ、さっき言ってた【闇の扉】って何?」


「……闇属性を極めて行くと自らの意思と関係無く更にその力を欲してしまう。その時に出て来るのが【闇の扉】と言われている。その扉を開けると闇の力が開放され、闇の力を得る代わりに自我を闇に支配される……と言われている。コレは闇魔法の師より教えて貰うはずだが……」


「俺には師匠が居ないからね」


「……どうやって闇魔法を覚えたのだ?」


「いや……闇属性の魔物を倒してたら自然と……」


「……何から何まで規格外な奴だな。オレはてっきりアシュトレイがお前の師匠だと思って居たが……」


「アシュのおっちゃんと出会ったのは、転移の罠でこの大陸に飛ばされて来てからだよ」


「転移の罠?……何だそれは?」


「俺の故郷に有った転移の森の罠さ。魔法陣を踏むと転移させられるんだ。転移の直後に魔物が攻撃してくるからほとんどが瞬殺されてるだろうね。俺とアシュのおっちゃんは運が良かった」


「何故、海の向こうに故郷があると?」


「それは『眼』が向こうから俺を追ってここまで来たからさ」


「……あの四角いのか?」


「そう。偏西風に乗って逆方面からここまでやって来たからね」


「へ、へんせいふう??」


「ああ……簡単に言うとこの空の高い所では常に東寄りに吹く風が有るの。それを偏西風って呼ぶんだ。『眼』はその高い位置まで浮かんでその風に乗ってやって来たんだ」


「……相変わらず突拍子も無い話だが、お前の話は妙な現実味が有るな」


「まあ、事実だからね。それに精霊は俺が探してる人が海を越えてやって来たと言ってたし」


「精霊……タヒドが精霊のローブだと自慢してたが……」


「そのローブを貰った時に教えて貰ったのさ」


「重ね重ね規格外だな……」


《主、敵兵を発見したの》


「敵兵??何人くらいだ?」


《2500は居るの》


俺はザルスにも画像を送らせた。ザルスはびっくりしていたが、この画像を見て苦虫を噛み潰したような顔になる。まあ、この隙の無い行軍を見れば前の1000人とは比べ物にならない連中だと解ってしまう。


「こりゃあ……かなりの精鋭だね……」


「ほう……解るか?なるほど……兵士だったのには嘘は無い様だな」


「一応、伍長をやらせて貰ってたし、各地で色々な奴らとやり合ったからね。この軍は出来る方の連中だよ」


「うむ……さて、どうするかだな。お前ならどうする?」


「逃げるね。コッチの人数を考えたらそれしか無いよ」


「即答とはな。まあ、概ねそれで良いだろう。だが逃げるのも簡単では無いぞ?」


「だろうね。それにあの囮の馬車には引っかからないと思うよ」


「それじゃあ打つ手無しか?」


「それなら囮の馬車にシウハ達と荷物を乗っけて逃がせば良いよ。それで俺達が撤退戦をすれば荷物は届くよ」


「……コレは愉快だな。オレの考えと変わらない策を出してくるとはな…良し、いいだろうその策で行こう。アシュトレイには囮の馬車について行かせる」


「なるほど……アシュのおっちゃんが行けば如何にも囮って感じだもんね。じゃあ俺は?」


「お前はオレと撤退戦の殿を務めてもらうぞ」


まあ、何となくは想像ついてましたけどね!最後は『隠密』使って逃げようって腹でしょ!

ザルスはシウハに今回の作戦を話して囮の馬車に商人を乗り換えさせた。そしてアシュのおっちゃんにそちらについて行かせる。


「ラダル、大丈夫なのか?」


「まあ、任せてよ。時間さえ稼げれば何とかなるし」


「うむ、ならばそちらは任せるぞ!」


「了解、そっちも気をつけてね!」


アシュのおっちゃんと別れて俺は『十三(じゅうぞう)』を魔導具鞄から出して馬車の上から狙撃を指示する。キラには今回盾役をやってもらう。結構キツい役回りだが、不死身のキラなら何とかやってくれるだろう。

今回は傭兵団は遠距離攻撃主体なので、魔法を使えない者は盾を構えて防御に徹するのだ。そして俺は『隠密』を発動して敵の近くまで行き、【エナジードレイン】を全員に指定しながらこっそりとついて行く。

こうして1時間もついて歩けば【エナジードレイン】の効果で相手が弱る。そうなったら逃げるのは容易い。


俺は『隠密』を発動させた俺はゆっくりと敵兵の来るのを待つ。そして【エナジードレイン】を発動させて敵兵の全てを指定した。すると敵兵は直ぐに警戒レベルを上げた。やるねぇ……魔力の感度が高ぇんだな。俺も警戒レベルを上げて敵兵に居場所を悟られない様について行く。『眼』からの画像を見ながら傭兵団は動いて居るし良い距離間を保てて居る。だが、少し違和感を感じた俺は『眼』に更に周りを調べさせる事にした。『眼』は更に上空へと上り周囲を見渡す……居た!敵兵はやはり俺達に追い込みを掛けていたのだ。約1000人が森に潜んでいた……これは不味い。

俺は『眼』にザルスへもう動き出しをする様に伝える。左右に別れて敵兵を翻弄する。

シウハ達が先ずは動き出して右手方向に逃げ出す。そして我々が少し待ってから左手側へと逃げる。その動き出しを見てコチラに誘導出来るはずである。


シウハの居る囮の馬車が一気に右手方向に逃げ出した。アシュのおっちゃんも一緒である。勿論、敵兵はそちらに先ずは気を取られる。俺は急いでザルスの馬車に戻って、そのタイミングでこちらが左手側を回り込むように逃げ出す。すると敵兵は500ほどをシウハの方に、後の2000をこちら側に差し向けた!良し!釣れた!

その時点から『十三(じゅうぞう)』に狙撃を開始させる。そしてキラが巨大化して馬車を守る様に布陣させる。

この時点で敵はこちらが本命と勘違いしてくれた様で、アシュのおっちゃんに行く手を阻まれるとそのまま引き返した。コレでシウハ達がそのまま前線まで行く事が出来そうである。


俺達はブレスを吐きながら威嚇するキラを盾に攻撃しながら逃げると言う撤退戦を行っている。ある程度時間を稼げればそのうち2500の方はバテて来るので後は俺とザルスが馬車を逃がして撤退をサポートすれば大丈夫だ。

但し、問題なのは1000人ほどの伏兵の奴らである。コレをどうするかが頭を悩ませる事となった。



お読み頂きありがとうございます。

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