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転生魔法兵ラダルは魔力が少ない!だから俺に魔力を分けてくれ!!  作者: 鬼戸アキラ
第三章 ラダルと武商旅団
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女狐のシウハ

第三章の始まりです。

武商旅団のシウハとの出会いです。

俺は『眼』に街の周りと中を確認させる。

この街に駐屯している兵士達はそこそこ居そうである。街の中はそこそこの活気があるが、街の物価は思っていたよりも高い。特に高いのは武具と食料品である……。


と、まあ調べたのは良いのだが肝心の街に入る手段が無い。と言うのも街の入口はかなり厳重に警備されていて簡単に入れない様子である。この街に掲げられている旗の色は黄色である。さて、どうしたものか……。

そんな風に考えていると『眼』が話しかけてきた。


《向こうで魔物が暴れてるの》


画像を見ると馬車の冒険者っぽい連中がオークに周りを囲まれてる。ありゃヤバいな。

俺は『十三(じゅうぞう)』を魔導鞄から出してオークの狙撃をさせる。

俺とアシュのおっちゃんは大きくなったキラに乗ってオークのいる場所まで一気に走って行く。

十三(じゅうぞう)』はその場からバシバシとオークを狙撃して仕留めているが50匹は居ようかという群れだから中々動揺してない。

俺とアシュのおっちゃんがキラから降りてその場のオークに狙いをつける。


「助けに来たよ!!そのまま守ってて!!」


一声掛けた俺は『溶岩弾(マグマバレット)』でぶっ倒しながら『千仞』でコチラに来たオークを沈めてやる。

逆の方向に行ったアシュのおっちゃんはハルバートを取り出してオークを切り刻んでいる。

キラはそのまま反対方向まで走ってオークにブレスを吐きながら蹂躙して行く。

その間も『十三(じゅうぞう)』が馬車に向かおうとするオークを狙撃して行く。

そのうち半数を倒されたオーク達が逃げようとする所をキラが次々と仕留めていく。

俺も逃げようとしたオークを『溶岩弾(マグマバレット)』と『溶岩砲(マグマキャノン)』で追い討ちをかけた。結局、逃げれたのは10匹程だろうか。


「いやあ……助かったよ!あんたら強いな!」


「アンタ魔獣使いか?凄い魔獣連れてるなぁ……」


馬車に立てこもってた連中が次々と出て来た。怪我人は少ない様だ。


「俺達はあの山脈の向こう側からやって来たんだ」


「はあ?フハハハハ!!バカ言うな!あの山脈は“死の山脈”だぞ?冗談も休み休み言え!」


「いや、洞窟通ってやって来たんだが」


「いやいや、それなら余計無理だろ!何せあの洞窟には九尾の妖狐が居るんだから通れないぞ!」


「その妖狐ってアマモだろ?それと戦って認められてやってきたんだ。理の力の試練とか言うやつ」


「……おいおい……それ本当なのか?」


「そんな馬鹿な……有り得んだろ……」


「ホントだって。俺達は向こう側で銀級の冒険者だったの。ホレ!」


俺はギルド証を見せると「こんなギルド証は見た事ない」とか言われた。冒険者ギルドは有るみたいだがギルド証が違うのかよ……使えねぇな!


「ニャア~」


オークを食べて元に戻ったキラは口が真っ赤……俺はキラを抱えて口を拭いてやる。


「大きさが変わるのか!!」


「ウチのキラはキマイラだからね。大きさも自由自在だよ」


「キ、キマイラ??」


やはりこの地でもキマイラをテイム出来る奴は居ないらしい。

そのうち『十三(じゅうぞう)』が走ってコチラにやって来た。


「おっ、『十三(じゅうぞう)』ご苦労さま!」


すると『十三(じゅうぞう)』を見た商人らしき男が飛んでコッチにやって来た。


「そ、そ、それは……オートマタですかな?!」


「うん。向こう側でドワーフの里で手に入れた奴だよ。凄く優秀なんだ」


十三(じゅうぞう)』は俺のランドセルの中の魔導鞄を開けて自分から潜り込んだ。


「アンタ、魔導鞄持ってるのか??」


「一応、商人らしき事もしてるからね」


「う〜ん……何か向こう側から来たって話もウソじゃない様な気もしてきたぞ……」


「いやいや、だから嘘じゃねぇって!」


「まあ、そりゃあ良いとして、アンタら腕も立つし俺達を送ってくれないか?」


「オレ達は武装商団ってのを探してる。そこに傭兵として入りたい。そして東の果てまで行きたいんだ」


「東の果てだって??そりゃあ遠いな……う〜ん……それなら『武商旅団』の所に入るのが良いかもなぁ……」


「ああ……だが彼処は厳しいぞ?」


「だが、彼処の連中は東の方から来たでな。来たなら帰るだろうに」


「まあ、そりゃあそうだがよ……あの女狐のお眼鏡にかなうかどうか……」


「その『武商旅団』ってのは?」


「ああ、すまねぇ……数年前に東から来た『武商旅団』ってのが居てな、そこは女頭目が仕切ってんだが、コレがものスゲェ女でな……」


「まあ、商売に関しちゃあ剛腕だしかと言って根回しやら搦手も上手いと来てる!スゲェ奴さ“女狐のシウハ”って言えばここら辺じゃ知らない奴はいないぜ」


「女狐のシウハ……」


「奴等ならそこの街にまだ居ると思うから俺達と一緒に来るか?」


「そりゃあ是非。助かるよ」


「コッチが助けられた方だ!任せなよ!」


こうして俺達は何とか街に入れる事になった。商人達と入る分にはその護衛扱いだそうだ。しかもこの商人達は黄色の旗の国である『黄龍国』を回っている商人だそうで門番ともかなり親しく話していたり、土産物(と言う体の裏金)を渡したりしてかなりズブズブな関係なのは理解出来た。


彼等に聞いた話では、今回到着した黄色の旗の『黄龍国』以外にあるのが、


赤い旗は『炎龍国』

青い旗は『青龍国』

緑の旗は『樹龍国』

茶の旗は『土龍国』

黒の旗は『闇龍国』


だそうである。

元は【伏龍の一族】が治める『天龍国』と言う一つの国であったのだが、“覇龍六星”と呼ばれた六つ子が誕生して国が六つに割れ、その六つ子達がそれぞれ『我が真の王である』と国を興し世を戦乱に導いたとされる……と言う事だった。


まあ、それから長い事戦争を続けてるんだから、誠にご苦労さんな話なんだけど、その為に俺達はめんどくさい事になるのでもういい加減決着をつけて欲しい。


さて、どうやって『武商旅団』の女狐様とコンタクトを取ろうかなと考えていると、その『武商旅団』団員が良く飲みに来る酒場があるとの事でそこに行く事となった。


その酒場では中々の面構えの連中が沢山おり、俺とアシュのおっちゃんが入ると「ガキ連れて何しに来た!」だのと絡んできた馬鹿を俺が金槌でちょっと小突いてやるとぶっ飛んで沈黙した。


「イケね……手加減したんだけどなぁ」


「ラダル、やり過ぎだ。もっと手加減しないと」


などと言ってると仲間と思しき連中が馬鹿を担いでいそいそと店から出た。


「此処に『武商旅団』の団員さんって居る?」


俺がそう聞くと奥に居たアシュのおっちゃんよりデカい禿頭のおっさんがやって来た。


「よぉ坊主、俺らに何か用か?」


「俺達は山脈の向こう側から来たんだけど、東に行きたいんだ。そこでお宅の『武商旅団』に傭兵として入れて貰えないかな?」


「は?山脈の向こう側からだと?プッ、プハハハハ!!ソイツは面白ぇ冗談だ!!」


「冗談じゃないんだけど」


「それじゃあ聞くが、あのアマモ洞窟の主はどうしたんだ?あ?」


「ああ、九尾の妖狐アマモの“理の力の試練”だろ?それに打ち勝ったからコッチに来れたんだ」


「ふざけんなこのガキ……あの試練に打ち勝っただと?冗談も休み休み言え!!」


「だからしつこいな。アマモから認められたから通り抜けたんだよ」


「まだ言うか!ならその力見せてみろ!!」


すると禿頭の魔力が一気に上がって他の連中が腰抜かしてるよ。

仕方なく俺が……と思ったら、俺の肩に手を置いたアシュのおっちゃんが、禿頭の魔力を遥かに超える魔力を出した!


「このくらいで良いか?それとももっと出した方が良いか?」


禿頭は急に脂汗をかき出した……アシュのおっちゃんはまだまだ本気出てないが、コレで脂汗とか弱過ぎだろ?


「もう辞めな!みっともないね!」


すると店の入口からド派手な衣装を着たスゲェ美人が立っていた。


「山脈の向こう側から来たって?冗談にしちゃあ面白そうな話をするね。ちょいと聞かせておくれな」


「冗談じゃないって……」


「アンタが『武商旅団』の頭目のシウハか?」


「そうだよ。アタシが『女狐のシウハ』さ。アンタら何者だい?」


「オレ達は向こう側でデュラハンスレイヤーと呼ばれてた。オレはアシュトレイ、コッチはラダルだ」


「アシュのおっちゃんは冒険者、俺は魔法兵だよ。そんでコイツがキラ、俺のテイムしてるキマイラだよ」


「ニャア~」


「ほう……作り話にしちゃあ堂々としてるわねぇ〜」


「まあ、信じないならそれは構わないけど。俺達は東の果てに行きたいんだ。アンタのところの傭兵として雇ってくれないか?」


「ふ〜ん……面白いわね……ウチの入団試験は厳しいわよ?」


「姐さん!!!」


「アンタは黙りな……アタシが決めた事に文句つけんのかい?」


禿頭は頭を下げた。眩しいだろおい!


「じゃあ入団試験といこうか?」


俺達は面倒臭そうな入団試験とやらを受ける事となった。

お読み頂きありがとうございます。

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