表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生魔法兵ラダルは魔力が少ない!だから俺に魔力を分けてくれ!!  作者: 鬼戸アキラ
第二章 魔法兵ラダルの東遊記
78/160

洞窟の毒と異世界の三匹

千年洞窟の毒ガスを『眼』とキラと『十三(じゅうぞう)』のパーティーが対処する話です。

あのアホドワーフ共に天罰が降りますように……と心から願った俺は村長からもう少し千年洞窟の話を聞いた。


「じゃあしばらくは誰も足を踏み入れて無いって事ですかね?」


「そうですね……あっ……そう言えば1人だけ……タグラが入ったな」


「タグラさん?」


「ええ、鍛冶屋の職人なのですがね……変わった男で作った武具を試しに千年洞窟に入っていたのですがね、最近具合を悪くしましてね……ここ何年かは入ってませんね」


「そのタグラさんから話が聞きたいのですけど」


「そうですね……一緒に行きましょう。もしかすると話せるかもしれません」


「そんなに具合が悪いのですか?」


「ええ……原因不明の病でしてな……医者もお手上げの状態なのですよ」


「そうですか……じゃあ無理そうでしたらコチラは大丈夫ですから」


「日によって状態が変わりますのでね……今日は具合が良いと良いのだが……」


俺達は村長に連れられてタグラさんの鍛冶屋に連れて行ってもらう。

タグラさんの鍛冶屋は大分ボロボロでしばらくは営業していないのは明らかだった。

先ずは村長さんに具合を確かめて貰った。

すると村長さんが「今日は少し具合が良さそう」との事でちょっとだけお邪魔する事にした。


「コレは……デュラハンスレイヤー殿が来られるとは……」


タグラさんの具合はかなり悪そうだ……コレでは長時間の話は無理だな。


《甘露の雫を使うと良いの》


突然『眼』が出て来た。タグラさんと村長が驚いている。病人を脅すなよ!


「甘露の雫が効くのか?」


《タグラは毒に侵されてるの。だから甘露の雫で治るの》


「あ〜、甘露の雫の毒回復か!」


俺は直ぐに甘露の雫の壺を取り出して甘露の雫をコップに入れてその上からお湯と柑橘系の汁を少し垂らした。


「タグラさん、ちょっと飲んでみて下さい。とても甘いですよ」


タグラさんがゆっくりと甘露の雫湯を飲んだ。すると徐々にタグラさんの顔色が良くなって来たではないか!本当に毒に侵されてたんだな。『眼』の鑑定眼には毒も解るのか。


「さっきまでの気だるさが嘘の様に無くなったよ!」


「おお……コレはデュラハンスレイヤーの奇跡だ……」


村長さんが物凄く感激してるんだけど……コレって精霊のおかげだよね……。

それにしても良く効いたなあ……毒回復は伊達じゃねぇな!


「良くなって本当に何よりです。しかし、毒が原因とは……何か心当たりがありますか?」


「……そうだなぁ……有るとすればやっぱり千年洞窟かな……」


「千年洞窟か……実は俺達、その千年洞窟の事で話を聞きにやって来たのです」


「おお、そうでしたか……千年洞窟は魔物の巣窟になってますが、それは問題では無いのです」


「と言いますと?」


「千年洞窟にはガスが充満してるのですよ。それが多分私の身体の毒と関係が有るかと……」


「毒ガスって事か……コレは厄介だな」


「地下に入れば入るほどにガスは濃くなります。私は地上に近い所に入ってましたがそれでもこのザマです」


「じゃあ毒ガスを止めないと先には進めないですね……」


「それも難しいでしょう……地下に行く手前にはバジリスクが居る様なので……」


「バジリスク??」


「あ〜それはマズイわねぇ……」


「確かに……バジリスクはマズいと言わざるおえんな」


「そんなにヤバいの?」


「まあ、洞窟内では一番会いたくない類いの魔物だな」


「そんなに??」


「そうね……洞窟内だと奴の毒から逃げるのは困難を極めると思うのよね」


なるほど打つ手無しか……。


「ニャア〜」


「ん?キラがやるって?」


《我も行くの》


「キラは毒性に滅法強いが……『眼』は大丈夫なのか?」


《我とキラと『十三(じゅうぞう)』は大丈夫なの》


なるほど、『眼』は『十三(じゅうぞう)』を連れてキラの援護をするつもりか!


「よし、分かった。行ってこい」


俺は魔導鞄から『十三(じゅうぞう)』を取り出して魔法銃を持たせた。


「良いか『十三(じゅうぞう)』、『眼』の指示通りに動くんだぞ。分かったか?」


こくりと頷き『十三(じゅうぞう)』は大きくなったキラの上にひょいと飛び乗った。


《それでは行ってくるの》


こうして俺達はコンロンで待つ事となり、

『眼』とキラと『十三(じゅうぞう)』と言う“異世界の三匹”がバジリスク退治に向かい千年洞窟を目指す事になった。


「ラダル君、『眼』ちゃん達だけで本当に大丈夫なの?バジリスクは強いわよ?」


「とりあえずキラは不死身だし毒は効かないからキラだけでも良い勝負になりますよ。そこに『十三(じゅうぞう)』の狙撃が『眼』の指示でバジリスクの急所を撃ち抜ければ大丈夫じゃないかな」


「まあ、作戦としては悪くない。毒が効かない彼らに任せるのは理にかなってる」


「大丈夫よ!キラは強いんだからね!」


ロザリアは胸を張る。キラとコンビで魔物を倒して来た仲だからな、絶対の信頼が有るのだろう。



◆◆◆◆◆◆◆◆



3日後に千年洞窟に到着した“異世界の三匹”は『眼』の案内でバジリスクが居る場所に向かう。


《キラはバジリスクを見つけたら、そのまま戦って良いの》


『ニヤッ!』


《我と『十三(じゅうぞう)』は後から付いて行ってバジリスクの隙をうかがうの》


こくりと頷き『眼』の指示通りにする『十三(じゅうぞう)

しばらくするとバジリスクの魔力が感じられる。『十三(じゅうぞう)』はキラの背からヒラリと降りて魔法銃を肩から下ろす。キラはそのままバジリスクの居る方向に走って行った。


《我達も急ぐの》


十三(じゅうぞう)』は『眼』を小脇に抱えて洞窟を走り出した。


バジリスクを見つけたキラはそのまま体当たりをしてバジリスクを弾き飛ばした。キラは爪で切り裂こうとするがバジリスクは避けながら毒霧を噴射する!だがキラには全く通用せず、逆にキラのブレスを浴びてダメージを受ける!


『ギャアアアア!!!』


ブレスのダメージでのたうち回るバジリスク。

そこに『眼』のサポートを受けた『十三(じゅうぞう)』の魔法銃からバレットが正確にバジリスクの目を貫いて側頭部からバレットが貫通した。


《やったの》


しかし、その勝利も束の間に隠れていたもう一匹の奇襲をキラが受けてしまう!吹き飛ばされるキラ!そしてバジリスクは『十三(じゅうぞう)』の姿を捉えていた!


『シャアアーー!!』


飛び掛ってくるバジリスク!!しかし、その攻撃をヒラリと交した『十三(じゅうぞう)』はそのまま壁から天井に円を描く様に走り抜けながら、サポートする『眼』の指示通りにバジリスクの目に魔法銃のバレットを撃ち込んだ!しかし、それを寸前で避けたバジリスクは顔に怪我を負っただけだ。『十三(じゅうぞう)』を追い詰めるバジリスク!!

だが、その時バジリスクにブレスが襲いかかった!!


『ギャアアアア!!!!』


全身にキラのブレスを浴びて燃え上がるバジリスクの額のど真ん中にバレットを撃ち込んだ『十三(じゅうぞう)』がまたもやバジリスクのトドメを指した。


《二人共良くやったの》


『ニヤッ!!』


こくりと頷く『十三(じゅうぞう)』。


《キラは食べ終わったらこの先のガスが吹き出てる場所にブレスを撃ち込んだら直ぐに逃げて来るの》


『ニャア!!』


バジリスクをバクバク食べるキラを横目に『眼』は『十三(じゅうぞう)』に指示を出す。


《『十三(じゅうぞう)』はこのまま外に出て我とキラが出て来るまで待つの》


十三(じゅうぞう)』は頷いてそのまま外に出て行く。『眼』はキラがバジリスクを食べ終わるまで待ち、そのまま一緒に奥のガスの吹き出し口までやって来た。


《キラはあの場所にブレスを撃ち込んで逃げるの》


『ニャア!!!』


キラは『眼』の指示通りにブレスをガスの吹き出し口に当てる!!『眼』を咥えて急加速して逃げるキラの後ろで大爆発が起こる!

大火傷を負いながらも何とか外まで出て来たキラは、直ぐに超再生をして元の姿に戻った。


《我は洞窟内を観察してるの。キラは主に此方に来る様に呼びに行くの。『十三(じゅうぞう)』は我と一緒に洞窟を監視するの》


『ニヤッ!!』


キラはそのままラダルの元へと走って行く。

『眼』と『十三(じゅうぞう)』は千年洞窟の前で監視をしながら、ラダル達の到着を待つ事になった。


お読み頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ