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転生魔法兵ラダルは魔力が少ない!だから俺に魔力を分けてくれ!!  作者: 鬼戸アキラ
第二章 魔法兵ラダルの東遊記
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レブルの呪いと封印の箱

レブルが遺した物のお話です。

何故レブルはこんな優秀な物を置いて行ったのか?遺跡の装備でないにしろSクラスの装備を残すかね?


とりあえず装備してみようかと手に取ろうとした瞬間に俺の懐に入ってる《加護のナイフ》が反応した!どういう事だ?


「おーい『眼』もう一度鑑定だ。何かおかしいぞ」


《始祖の【呪いの】月光マント》

レベル:S 属性:闇

バンパイアロードの魔力により生み出されたマント。物理耐性、魔法耐性、呪詛耐性を持つ。耐性のレベルは闇属性の深度により決まる。ボロボロになったとしても月の光を浴びせると元のマントに戻る。闇属性に親和性が高く、闇魔法の使い手以外は使用出来ない。【このマントには始祖の呪いが掛けられており、装備した者は呪いによりバンパイア化する】


「の、呪われてんじゃねぇのよ!!」


《……巧妙に隠されていたの……》


「イヤイヤ!『眼』さん、そのくらい見破って下さいよぉ〜!!」


《……そういう事もあるの》


危ねぇな……あのおっさん最後の最後に一芝居打ちやがったな!!クソっ!!

危うく騙されるところだったぜ……。

しかしあの精霊のアイテムGJだな……お陰で助かったなぁ。


「この呪いって解けるのか?」


《聖魔法を持った者ならば可能なの》


「じゃあ教会とか……やっぱり聖都に行くのは既定路線ぽいな」


俺は大きい麻袋を取り出してマントにスッポリ掛けてそのまま麻袋の中に入れて縛り上げる。それを魔導鞄に突っ込んだ。

さて、アシュのおっちゃんと合流してから宿屋で一泊だな。

俺が部屋を出ようとするとキラが中々動かない……何か有るのかしきりに壁をカリカリしている。


「何か有るのか?」


するとキラは反対方向に行ったと思ったら、勢い良くカリカリしてた方に踵を返して壁にぶち当たった!!すると壁が崩れて中の隠し部屋が出て来た。キラすげぇな……あんな小さい身体で良く穴開けたな!!


「ニャッ!!」


得意気に鳴くキラをヨシヨシと撫でてやると嬉しそうに頭を擦り付けて来る。尊い。

早速『眼』が中に入って色々と調べている。


「一体何の部屋だ?隠し部屋って事は何かありそうだけど……」


《見つけたの》


「何が有った??」


《レブルの遺した箱なの》


《レブルの箱》

レベル:不明 属性:闇

レブルが封印を施した箱。封印を解くにはレブルに勝利する事と、魔人並の力量が必要。


「何が入ってんだろうな?レブルには勝ってるけどさ……魔人並って……どんな無理ゲーだよ!!」


《中身は分からないの》


「まあ、コレも魔導鞄に突っ込んでおこう。封印なら聖都で解き方を聞いても良いだろうしな」


俺はこの箱も魔導鞄に突っ込んで置く。レブル程の者が、は自分で使わずに封印をする物……もしくは自分では“使えない物”なのか??とにかく中身は封印を解いてからのお楽しみだな。


俺達はそのままその地下から出て道具屋を後にした。ちなみに道具屋に置いてあった物は二束三文の品ばかりだった……チッ!


表に出た俺達は武器屋に立ち寄っていたアシュのおっちゃんと合流して宿屋に向かった。宿屋のご主人が俺達をデュラハンスレイヤーだと気付いた事から大歓迎されてしまった……まあ、料理が沢山出てきたのでキラに沢山食べさせる事が出来て本当に良かったのだけど……。

夕食の最中に俺はアシュのおっちゃんと話をした。


「あのさ、アシュのおっちゃんは警備の依頼で何かあったの?」


「ん?あ、ああ……昔ちょっとな……」


アシュのおっちゃんは酒を飲みながら思案していたけど二杯目を飲む頃にポツポツと話し出した。


「昔な、あるパーティーいた頃に警備の仕事を受けたんだが、それには裏があってな……警備する貴族ってのが札付きの悪党でな。それをギルドの連中が意図的に隠したんだ。そうとは知らなかったオレ達は、途中でその貴族を仇と狙ってた連中に襲われてな……何とか守り抜いたがパーティーの半数が死んだ」


「酷い話だなぁ……」


「オレは襲って来たヤツらからそれを聞いてギルドが意図的に隠した事を知った。そしてそこのギルドを監督してるギルドマスターにこの件を報告した。だが、ソイツにその話を握り潰されたんだ」


「マジか……ソレって組織的な隠蔽だよね?……あ、もしかして政治的なヤツか??」


「流石ラダルだな。そのせいでオレ達はそのギルドには居られなくなった。頭に来てな……オレはギルド本部に報告した。そこでグランドギルドマスターがそいつら全員処分してくれたんだが、未だに警備の依頼だけじゃなくてギルド自体を信用してないんだ。だからコッチでも積極的に冒険者ギルドを使ってこなかったのさ」


ああ……言われてみれば冒険者ギルドらしいのも何ヶ所かあったけど全然立ち寄らなかったな……。


「じゃあ今後も極力関わらない様にしようよ。別に必要ないし無理に関わらなくてもやって行けるしね」


「うむ、そうしてくれるとありがたい」


俺は向こうでも冒険者ギルドに関わる事は無かったけど、何となく前世の記憶で“公平で独立した機関”だと思ってたけど、意外とそうでも無いんだなぁ。まあ人間がやってればそういう風になってもおかしくは無いけどね。

俺は今日あった事を全部話した。アシュのおっちゃんは「相変わらず巻き込まれ体質だな!」と笑っていたが、俺的には大変な目に遭っているのだから巻き込まれ体質等と簡単に言わないで欲しい。

アシュのおっちゃんの見解では聖都で何とかなりそうなのはマントだけじゃないかって事だった。まあ、そうだろうな……バンパイアロードが掛けた封印を解くなんて簡単には出来ないと思うわ。


夜部屋に戻ってからいつもの金槌の素振りを色んな角度で行う。コレを出来るだけ重くしてからゆっくりと行う……毎日の日課だ。

最近これをやってるとキラが金槌に乗って邪魔しに来るのだ。毎日の日課に更に負荷がかかるようになった。


翌日、朝食を食べてからブリジッタさんとロザリアとの待ち合わせ場所に向かう。


「おはようございます」


「おはよう、ラダル君、アシュトレイ。今日から宜しくね」


「ああ、こちらこそ宜しく頼む」


ロザリアはブリジッタさんの後ろに隠れている。ちょっと薬が効きすぎたかな?


「ではブリジッタに先頭を頼む。ラダルは真ん中で、オレは殿だ」


「了解。ロザリアは私の後ろね。ラダル君お願い」


「分かったわ……」


「はい、お任せを……キラ!」


「ニャッ!」


俺はキラにロザリアの左側を歩かせる。俺は右側だ。そして『眼』はいつも通りに上空から監視をしている。

ロザリアはキラが気になる様で先程からチラチラと見ている。

俺はブリジッタさんにサイクロプスの事を聞いた。


「ブリジッタさんが州都に来る時ルイード峡谷にはサイクロプスは居たんですか?」


「居たみたいね。私達はローナムと言う東の村を経由して来てたから全く知らなかったのよ。州都に着いてギルドに顔を出した時に初めて聞いたの」


「なるほど……」


「聖都から北の方に行って東方面をぐるっと回って聖都に戻る予定だったのだけどね。まさかあんな場所にサイクロプスが出るとは思わなかったわ」


「逆方面で帰る事は考えなかったの?」


「それだと時間が掛かり過ぎるのよ……ロザリアは2ヶ月後に“月と星の儀式”を受けなければならないから。そこで困っていた所にデュラハンスレイヤーがやって来ると聞いたのよ」


「その“月と星の儀式”って何ですか?」


「太陽神エーカルを祀るエーカル教では女子が12歳を迎えると、月と星の加護を貰う事で子を授かる事が出来る様になると考えられていて、その加護を貰う為に“月と星の儀式”を行うのよ。エーカル教ではとても重要な儀式なの。ロザリアがあの様な態度を取ってしまったのは焦りも有ったのだと思うわ……だから許してあげてね」


「……なるほど……分かりました。俺はもう怒ってない……と言うか面倒が嫌なだけでさほど怒ってる訳じゃないんだよね」


「そう?それなら良かったわ。ロザリア、良かったわね」


「……べ、別に……どうでもいいわよ……」


すっかり拗らせた感じだな……何かこの感じアリシアを思い出すなぁ。アイツ元気にしてるかしら?そんな事を考えてたらニヤついて居たようで「な、何ニヤついてんのよ!」なんて言われてしまった。


「ニャア〜」


キラは鳴いてからロザリアの足元に近寄って愛想を振りまいている。流石は俺の眷属、ナイスフォローだ。ロザリアもチョロいな……お前の方がニヤついてるぞ。


「そのルイード峡谷まではあと何日かかるんだ?」


「この感じなら2週間程で行けるわ」


「結構掛かるな……」


2週間か……それなら腕輪の理力も貯まる頃かな?とにかく万全の体制でサイクロプスに臨みたいね!


そんな事を考えてると左側前方に魔物の気配を感じる。


「左側前方魔力感知。コレは……ジャイアントスパイダーかな……」


「ニャッ!!」


「ん?キラ行くのか?構わんけど足を何本か残して置いてな。後で鍋にするから」


「ニャッ!」


キラは物凄い勢いでジャイアントスパイダーの居る方面に走り出した。


「ラダル君!大丈夫なの?」


「ああ、ジャイアントスパイダーくらいなら直ぐにカタ着けるでしょう。キラはああ見えてキマイラですからね」


「そう言ってはいたが……」


「あっ、そろそろ終わりそうなんで俺行って来ます。少し待ってて下さいね」


俺が行くとキラは焼きを入れた顔面から貪り着いていた。俺は足の半分だけ魔導鞄に仕舞った。


「食べたら合流してね。先に行くからさ」


「ニャッ!!」


俺はキラを置いて皆の元に戻った。


「キラは食べ終わったら合流するんで先を急ぎましょう」


「食べ終わったらって……もう倒したの??ジャイアントスパイダーを?」


「ええ、キラならあの程度は遊んでても狩れますよ」


「凄いな……流石はキマイラと言うべきか……」


「まあ、ほとんど不死身ですしね。心配しなくて大丈夫ですよ。さあ、先に進みましょう」


後で追い付いて来たキラはジャイアントスパイダーの血を全身に浴びて緑色になっていた……赤い血だったらロザリアが卒倒してたろうね!

俺は歩きながらだけど魔導水筒の頭にシャワーの部品を取り付けてキラに水をかけてあげた。

コラ!ブルブルは俺の傍でやるなし!ジャイアントスパイダーの体液が俺にもつくでしょうが!!


お読み頂きありがとうございます。

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