表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生魔法兵ラダルは魔力が少ない!だから俺に魔力を分けてくれ!!  作者: 鬼戸アキラ
第二章 魔法兵ラダルの東遊記
52/160

キラの色々な実力

新しく仲間になったキラのお話です。

村を出て3日後にホルストイの村に到着すると、またもや大歓迎を受けて祭りの様になってしまう。俺とアシュのおっちゃんはとーい目をしながら次々と振る舞われる食事や酒で完全に胃をやられた。


「ち、ちょっと……ホントに無理なんで……今日はご勘弁を……」


「そうですか……お身体の調子が悪いならば仕方ないですなあ……」


「ホントにお気持ちだけで……うっ……」


「まあ、旅の疲れもあるでしょうから……」


旅の疲れはホントに無いんです……飲み過ぎ食い過ぎでやられただけなんですよね……。

何なら原因はアンタ達なんですけどね!!

とは流石に言えませんから……丁重にお断りを入れて部屋で休む事にした。


「おっちゃん、薬湯入れたから飲んで」


「す、スマンな……苦っ!」


「良薬は口に苦しっていうからね〜」


「あ〜、しかし毎度毎度じゃホントにかなわんな」


「アシュのおっちゃんは酒も入るから余計だね」


「うむ、酒は好きだが流石に飲みきれん……一日だけなら何とかなるがなぁ……」


《人間は色々大変なの》


「ニャア〜」


「はあ……キラ、やっぱりお前を連れてけば良かったよ

……しくじったなぁ」


そう言えばバタバタしていて何か忘れてる気がする……。

おっ!そうだ!『眼』に渡す物があったな!

俺は魔導鞄の中ゴソゴソと探して例の鍵を取り出した。


《……鍵なの》


「おう!前に見つけてたんだ。スゲエだろ?」


《もっと早く出せたはずなの》


「そ、それは……色々バタバタしてたたろ?それでな……」


《忘れてただけの様な気がするの》


「気のせい気のせい。早速つけてみなよ」


『眼』が右側の面をこちらに向けると鍵穴が出て来た。

俺は鍵穴に鍵を差す……すると鍵か取り込まれて小さな眼の形になった。


「どうだ、何が見える様になったんだ?」


《暗いのが見える様になったの》


「……それだけ?」


《それだけなの》


暗視用カメラか……イマイチだが使い方次第かな。夜間に上空から敵を監視出来るし。


それじゃあ次は精霊から貰ったナイフだな。


『加護のナイフ』

レベル:A 属性:精霊

精霊の加護が付与された精霊石が嵌め込まれたミスリル製のナイフ。身につけると邪気から身を護ってくれる。呪詛耐性、支配耐性、魅了耐性、即死耐性、石化耐性。


中々凄いナイフじゃないか。結構良い奴だな……あんなにキレなきゃ良かったよ。


《主は短気なの》


「お前が悪いんだろが!!」


《また怒ったの》


チッ……ああ言えばこう言う……俺は気を鎮めるためにキラをもふもふする。


「ニャアァ〜」


「あ〜やっと胃が良くなってきたぞ。ラダルはどうだ?」


「俺はもう大丈夫だよ。おっちゃん下行く?」


「いやいや、今行ったらまた飲まされそうだからなぁ……」


「じゃあ大人しくしていようか?」


「それが良いな」


「じゃあ軽く何か作るよ」


「それならばアレがいいな……サンド……」


「サンドウィッチね?了解!」


さて、具材は何にするか……あっ、キラに持って来た料理があったな。魔導鞄から料理を取り出す。オーク肉の煮込みから肉を細かく切ってハッシュドポテトに混ぜ込んでパンに挟む。パンの箱から出たのをストックしてるので出来たてのパンだからね。

後は精霊の雫を塗ったヤツを出す。そしてもう1品はヘスティア師匠直伝ペーストをパンに塗ってスクランブルエッグを挟んたヤツと。

3品作ってアシュのおっちゃんに出した。


「おっ、この甘いヤツは美味いな……」


「それは甘露の雫って言う精霊から貰ったヤツだよ」


「……何か精霊とか普通な感じに出て来てるんだが……」


「それよりもそっち食べてみてよ。俺の師匠直伝のペーストが塗ってあるんだ」


アシュのおっちゃんはそちらを食べると驚いた様な顔をした。


「これは……美味い。香りもいいな……」


満足そうなアシュのおっちゃんに紅茶を入れた俺もサンドウィッチを頬張った。


俺達はその後ローレスさんに話をして州都に着くまでは歓迎の食事を一日だけ受ける事をお願いした。


「いやぁ、申し訳ない……我々がもっと気を配れば良かった……」


「こちらこそ申し訳ない……中々歓迎を断るわけにもいかずについつい言いそびれてしまって……」


だが俺達はある秘策を用意していた。


「そこでですね、この子を一緒に連れて行きたいのですが……」


「この猫ですがな?」


「はい、この子はかなりの食いしん坊なので、料理を平らげてくれると思うんですよ。恐らく残さずに……」


「へっ?この猫がですか?……」


「ご存知の通りこの子はキマイラですから何でも食べるんですよ」


「まあ、良いでしょう。村人達には言っておきますよ」


という事でキラに料理を食べさせる事にした。

キラはホントに大食漢で何でも残さず食べてしまう。しかも腹が脹れたり身体が大きくもならない。『眼』の見立てではキラの食べたものは直ぐに吸収されてるみたいだ。そしてそのまま細胞に溜まっていく。それは再生する時の為にストックされてるらしい。


次の食事時にキラも連れて行くと、ローレスさんが村長に話を通してくれたみたいで特には驚かれなかったよ。ホントにローレスさんには感謝だわぁ〜。


「ほう、この猫が食べるのですか?」


「ニヤッ!」


「食いっぷりはビックリすると思いますよ」


「ではコチラを……」


キラは小皿の料理を直ぐに平らげると前足で皿をツンツンして催促する。


「ニヤッ!ニヤッ!」


「おお、コレは凄い!」


キラは食べ物を大食いしただけでなく酒まで大量に飲んでしまった……しかも全く酔わない。恐らく飲んだ先からバンバン吸収してるので酔いが回らないのだろう。まさにウワバミだな……てか尻尾は本来蛇なのだが……。

キラはその食いっぷりと可愛さで村人達の人気者になってしまった。キラをスケープゴートにした……と言うとキラは喜んで食べてるので失礼なのだが、俺達二人はキラのおかげで適量の食事を楽しんで食べる事が出来た。


「しかし良い食べっぷりだな……本当に助かったぞ。しかしこんな小さな身体の何処に入るんだ??」


《キラは細胞に食べた物を吸収させて蓄えてるの》


「それを再生の時に使うらしいですよ」


「ほう……なるほどね。こんな可愛い猫がキマイラとは思えないがね……オレが見たヤツとは見た目が違うし」


「あー、アシュのおっちゃんはキラの姿見てないもんね。キラ、俺と戦った姿にそのままの大きさで変身出来る?」


「ニヤッ!!」


するとキラの身体から翼とヤギの頭が出て来て、尻尾にも蛇の頭が現れた。


「おーコレな!オレが前に遺跡で見た奴だよ。あの時は死に物狂いで逃げたけどな」


「やっぱりキマイラって厄介なの?」


「ああ、遺跡出て来る魔物としては厄介極まりない。動きも速いし炎を吹くし、オマケに爪や蛇は毒持ちだからな。攻撃が当たっても再生しやがるからタチが悪い」


「確かに……」


「ニヤッ!」


ひと鳴きしたキラは元の三毛猫に戻った。

やはりこのままの方が可愛い。


その夜、村の外でちょっとした騒動が起こった。警護の近衛兵が魔物に襲われて怪我をした様である。

俺は【エナジードレイン】を発動して魔物を探す……居た。ソコに『眼』を向かわせると暗視モードでバッチリオーガの姿を捉えた。


「ニヤッ!!ニヤッ!!」


「ん?キラが行くのか?大丈夫かい?」


「ニヤッ!」


「じゃあ俺は『眼』で見てるからな。危なくなったら加勢するよ」


するとキラは物凄いスピードでその場所まで急行して、そのままオーガに襲いかかった!オーガはキラの急襲を受けて防戦一方である。

キラはそのスピードでオーガを翻弄しながら爪で切り裂いて行く。オーガは毒が回ってくる様で動きが鈍る。

すかさずキラはオーガの顔面を炎のブレスで焼いて勝負有りである。オーガはぶっ倒れて完全に沈黙した。

『眼』でキラの戦いぶりを見ていた俺とアシュのおっちゃんは唖然としていたが、キラが呼んでいるので現場にローレスさん達も連れて急行した。


「ニャアァ〜〜」


倒したオーガの上でひと鳴きしたキラは満足そうである。

ローレスさん達は本当に驚いていたけどね……。

結局オーガは魔石だけ抜いて後はキラが全部食ってしまったよ……あんなにデカいヤツを全部食うとはウチの欠食児童の食欲は無限である。ってブラックホールかよ!!




お読み頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ