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転生魔法兵ラダルは魔力が少ない!だから俺に魔力を分けてくれ!!  作者: 鬼戸アキラ
第一章 転生魔法兵誕生
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暴走する理力のスペクターワンド

“ネームド”と呼ばれる大迷宮の武器を手に入れたお話です。

さて、俺達が王都に滞在するのは3日間の予定である。

『眼』を使って色々な店などを探って居たのだが、店が多過ぎで中々絞り切れない。

それに調べる内に王都の物価の高さは結構な物だって事だ。コレだとハンバーガーの値段も高くなるんだろうな…つか、ハンバーガーの店って何処にあるんだろう?と探してみたら有りましたよ…スゲー行列だな!オイ!

なるほど、コレならまだまだ大丈夫そうだな…近くにはパクリの店もまだ無さそうだしね。

そう言えばクロイフさん王都に来てるはずだよな…何て思ってたが…。


「ラダル様、叙勲おめでとう御座います!!やはり私の目に狂いは無かった…」


クロイフさんがやって来てた…如何してこうなった?

どうやらクロイフさんは叙勲の話は随分前に聞いており、王都に仕入れとハンバーガー屋の視察も込みで、俺達の叙勲のお祝いをする為に王都に先乗りしていたらしいのだ。だからあの時留守にしてたんだな……マジかよ…商人根性スゲェな!!

なお、ベイカー隊長とゴンサレス隊長への挨拶は、俺がアストレラ様に絡まれてる最中に済ませたらしい。


「早速ですがラダル様、コチラをお納め下さい…」


クロイフさんが箱を差し出して来た…ちょっと細長いサイズだね。

箱を開けてみると指揮者の棒みたいな形の焼け焦げた様な金属製のマジックワンドが入っていた。グリップエンドには何やら見た事の無い紅い魔石が埋め込まれている。

持ってみると、うん、この感じは間違いなく遺跡の奴だね。魔力が吸われる感じは間違いない。しかもグリップに見た事のある紋章が有るコレはまさか…。


「そのマジックワンドは遺跡では無く、【カノッテス大迷宮】より持ち帰られた物で、その中でも珍しい”ネームド”と呼ばれる名の付いたアイテムです」


【カノッテス大迷宮】…その名を聞くのは2度目である。城塞都市カロスの元貴族のアホから手に入れたペンダントが出たのが【カノッテス大迷宮】だと聞いている。その大迷宮から持ち帰られた物で、しかも”ネームド”だと言う…こりゃあかなりの値打ちもんだぞ…。

”ネームド”と言うのは遺跡や大迷宮などから発掘され持ち帰られたアイテムの中に極希に出て来る事がある『名前の付いているアイテム』の総称だ。名前を持つ”ネームド”のアイテムの殆どは特別で強力な能力を持つ、いわゆる特別製のアイテムなのだ。

中には国宝に指定される程に強力な物も存在し、伝説の武器に相当する物さえ有るのだ。


「このマジックワンド…【暴走する理力のスペクターワンド】は使用者の魔法を増幅するワンドだと伝えられております」


うん…何か気になるワードが出てきたね…暴走って言ってたよね…?かなりヤバい感じがするんですけどね!!


「えっと……それって、もしかして使いこなすのが物凄く難しいとかってヤツかな〜」


「おお!!流石はラダル様!読みが深い!その通りで御座います!!」


え〜っと…コレって何かの罰ゲームかな〜?

確かこの人お祝いの品を持って来た人だよなあ〜??どうしてこうなった??


「このマジックワンドが焼け焦げた様に黒いのは、暴走した炎魔法で使用者ごと焼かれた跡だとも言われております……」


ちょ、ちょっと!!そんなヤバそうなもん俺に持って来ないでよ…イヤマジで!!俺を殺す気かよ!!


「と、まあそんな些細な噂も御座いますが、ラダル様で有ればこの程度のアイテムは簡単に使いこなしてしまうでしょうな!!アッハッハ!!」


些細って??クロイフさんの中の俺って超人扱いなの??それとも神に近い男なの??イヤイヤ、オカシイから!!


「い、いやあ、か、買いかぶりですよ…」


「いえいえ!ラダル様の様な天才には相応しい物ですよ!!また戦場でご活躍されるのが目に見える様ですな!フハハハハ!!」


結局、この後クロイフさんにこの”呪いの杖”を手に入れるまでの苦労話やらを2時間位聞くハメになったよ…こうやって押し付けられる様にやって来た”ネームド”の【暴走する理力のスペクターワンド】だけど、いくらで買ったかは最後の最後までクロイフさんの口からは出て来なかった…。

…多分かなり安く手に入れたな…。


クロイフさんだけが大満足して帰った後、【暴走する理力のスペクターワンド】を眺めていると、窓から『眼』が帰って来た。

帰って来た『眼』は俺が眺めていた【暴走する理力のスペクターワンド】をグルグルとなめ回す様に視ている。


「何だ?興味深いのか?お前が使うか?」


《我は眼なの。手は無いの》


うん、知ってる。ワザと言ってみただけ。


《能力がとても高い奴なの。主は使ってみると良いの》


「能力の高いってのは聞いてるけどさぁ…ん?ちょっと待て。何でお前が能力が高いのを知ってるんだ?」


《視たからに決まってるの》


「はあ??視たって何を…おおお!!!」


突然、俺の頭の中にステータス画像が現れた!!


【暴走する理力のスペクターワンド】

クラス︰SS 属性︰問わない 《迷宮の紋章付き》

使用者の行使する全ての属性魔法を増幅(基本値は三倍まで。熟練度と理解度と親和度に依り更に上昇)する事が出来る。基本的に使用者は問わないが、使用者が“理の力”を理解してない場合は使用者に対して魔力を暴走させるし、真の力を発揮出来ない。


コレってもしかしてこのワンドのステータスを鑑定したのか??うおおお!!スゲェーー!!ファンタジー設定キタコレ!!


「こんな凄い事が出来るならもっと早く言いなさいよ!!」


《我は聞かれて無いの》


「じゃあ人とか魔物のステータスとかは視れるのか??」


《それを視るには他の鍵が要るの》


「鍵?前に差し込んだアレか?何処に有るんだ?」


《我は知らないの》


チッ…まあいいや。それはまた考えるとして色々と調べてみるか!!俺は魔導鞄の中から武具を全部取り出した。


『ケトルヘルム』

クラス︰D 属性︰無し

魔力を入れると硬度が増す。紫外線と赤外線を通さない。


『ガントレット』

クラス︰D 属性︰無し

魔力を入れるとかなり 硬度が増す。外からの魔力を防ぎ易く、内からの魔力を通しやすい。


『自在のブーツ』

クラス︰D 属性︰無し

魔力を入れると足の大きさに合わせて変化する。滑り止め機能(大)付きの靴底は減らない。ブーツ外側の硬度は増さない。


『過重の金槌』

クラス︰C 属性︰無し

魔力に応じて質量(〜500kg)と硬度(〜Aランク相当の硬度)が増す金槌。魔法を通しやすい性質の為、使用者の魔法の起動速度が増す。


『回復のペンダント』

クラス︰B 属性︰闇属性 《迷宮の紋章付き》

使用者は闇魔法に適合する者に限られる。半径500m以内に居る使用者及び闇属性以外の全ての生物より超微量の生命エネルギーを吸収し、使用者の生命エネルギーを微回復させ続ける。闇属性と親和性を持つ。


鑑定して何がショックだって、これまで魔法の杖だと思っていたのがデカい金槌だったって事だったな…。まあ、名前も無いし説明書も無いから知らなかったんだけどさ…せめて金槌なら俺の知ってる形であって欲しかったわ…グリップエンドに向かって段々と細くなるってあり得ないだろ?スッポ抜けるとか考えないのかよ?如何見ても御老公様の杖だろが…。まあ、金槌と言われてみれば思い当たる節は多々あるんだけどさ!!

ペンダントが闇魔法に適合する者に限られるってのも意外だった。つまり微回復する事を理解してたカロスの元貴族のアホは、闇魔法の適合者って事になるからね。

後はケトルヘルムのUVカット機能が少し嬉しいよね…ってやかましいわ!!


因みに『眼』を鑑定する事は出来なかった。直接視れない物は鑑定出来ないそうで…鏡に映った姿を鑑定させたら『鏡』って出たから潔く諦めた。



王都から帰って来た俺は早速ゴンサレス隊長と共にタイラー副長にアストレラ様の件を相談した。


「なるほどね〜、敵も知恵者…良く考えてきたねぇ〜」


と何か嬉しそうだよ…嬉しがってないで何かいい策を出してよ!!頼りにしてるんだから!!


「もし、如何してもアストレラ様の所が嫌だと言うなら…先ずはカルディナス軍をクビになる事だね。つまり戦場なりでヘマをするか、もしくはヘマをしたという事にして閣下からクビにして貰えば良い」


「え〜っと…ソレって俺に死ねって事ですかね?!冥土に逃げろって事ですかね?!死にたくは無いんですけど!!」


「まあ、落ち着け…そう慌てるな…。それは閣下と口裏を合わせて、軍をクビになる程度にして貰えば良い。それでだ…クビになったお前を傭兵として隊長が雇えば良い」


「へっ?傭兵??」


「そうすればゴンサレス隊長個人が雇ってる傭兵なので、形的にお前と閣下は無関係となる。つまりは閣下の方への圧力は掛けられなくなる。それで隊長の方に圧力を掛けて来ても、『相手は傭兵なので本人の意思次第だからどうにもならん』と突っぱねれば良い」


おお!なるほど!流石は軍師殿!!悪巧みに関しては右に出る者無しだぜ!!


「まあ、後は閣下次第となるが…でも、ラダル、その話って本当に断っても良いのか?ここ迄考えた俺が言う事じゃないけどなぁ…コレはかなり良い話だと思うのだがな?給金も地位も破格の待遇になる筈なんだぞ?たかが魔法兵のお前が大出世と言って良いんだ。この話を蹴ると次は絶対に無いぞ」


「えー…俺には王家直轄とかマジ無理ですよ…農民出身の俺が王家とか…どうせヘマをしたら直ぐに首を刎ねられたり…死ぬほど頑張って上手くやっても、どうせ同僚の貴族とかにイジメ抜かれて、心も身体もボロ雑巾みたいになるに決まってますよ!!」


それを聞いた隊長と副長は大笑いしていた。ちょっと!!笑ってる場合じゃ無いでしょうが!!


「全く…被害妄想もここまで来ると如何にもならんな…クックック…おい!そう噛み付くな!…ったく、分かった分かった。閣下には御相談してみよう。但し、閣下が行けと言ったら首に縄を着けてでも王都に連れて行くからな。覚悟しとけよ」


ゴンサレス隊長に言われた俺は仕方無く大人しく引き下がった。ここで隊長に殺られるのはゴメンだからね!


それから数日して閣下からは『アストレラ様より直接話があるまでは保留する』と言われた。それまでは今迄通りにせよとの事だった。それと閣下からは『時間は有るのだからじっくりと考えて答えを出せ。突発的に選ぶなよ』と言われた…トホホ…。

やっぱり行かされるのだろうか…嫌だなぁ…。あの人は危険な香りしかしないんだよね…。


それから2ヶ月は訓練と領内の魔物退治と盗賊退治に出たりしていた。

クロイフさんから貰った【暴走する理力のスペクターワンド】はウォーターボールで練習してるけど暴走しかしねぇ…いつもずぶ濡れだ…クソッ。

俺が11歳の誕生日には盗賊退治中で盗賊の頭に、こんな所で誕生日を迎えさせた落とし前をつけさせといた。スイカ割りみたいになってたよ…何処がとかは言わないけどね!!


お読み頂きありがとうございます。

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よろしくお願いします。

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