激突!王国軍VSローレシア軍
対ローレシア軍との戦闘です。
ゴンサレス隊長に脅された俺は、ビク付きながらも気を取り直し、遊撃隊として動く4番隊の魔法兵をとり仕切る。
2番隊が最前線を固め、その後ろに3番隊。更に後ろに1番隊が炎帥魔導師団の周りを囲み、近衛騎士団と共にガードしながら行進して行く。
今回はあくまでも炎帥魔導師団の護衛なのでガードに徹した布陣である。
俺達は周寝のは警戒しながら自由に動く様に閣下から申し付けられている。
俺は気配を探りながら魔物の反応があると【エナジードレイン】を発動させて魔物の動きを監視する。しかし中々近寄って来ないのは恐らく本能的にアストレラ様の魔力に恐怖を感じてるのだろう。
結局、魔物達は襲っては来なかった。
ローレシア領内に侵攻し1週間後、王国軍はローレシア領内でローレシア軍と相対した。
王国軍15万、ローレシア軍は20万の大軍勢である。
どうやら我等の動きを掴んで居た様である。
全軍の総指揮は王国軍のラシュワン=フレイザード元帥閣下である。二つ名を『王国の鉄槌』と言われ不敗を誇る元帥である。
戦法としては、先ず【四帥】による大規模遠隔魔法攻撃である。
各最上宮廷魔導師が前方に進軍して魔法攻撃を行う。前方を6万の騎兵と歩兵を配置して進軍、その後ろから我々警護隊と各四帥魔導師団が続き、一斉に魔法攻撃を撃ち込んだ後に前方の兵が一気に襲い掛かる。
更に前方に進軍して敵陣深くにもう一度魔法攻撃を撃ち込み援護する。そしてその後に後ろに控えた5万の騎兵を一気になだれ込ませる。
コレが今回の作戦らしい。
結構な力押しなのだね…大丈夫なのか?
まあ、最上宮廷魔導師の最大級の魔法攻撃一発で3000から5000は簡単に削れるらしい。
その後も中規模の魔法をガンガン撃ち込むし、他の面子も中規模魔法を撃ち込むのでかなりの被害が出るはず。
対するローレシア軍は騎馬中心の魔法兵は中級魔導兵くらいしか居ないと聞いている。
と言うのも極北の蛮族相手だと隊列がバラバラで魔法攻撃の一発だけでは被害も少なくあっという間に距離を詰められて全滅させられるからだという。蛮族コワッ!!
先鋒の6万の後に続き進軍した俺達だったが、何か気配がおかしい…直ぐに隊長に警戒の合図を送る。敵の気配は察知出来ないのに何か敵意が動いてる様な感じを受けるのだ。
「副長!!変な気配がします!」
すかさず副長が檄を飛ばす!!
「全軍5人組で固まれ!!余った奴は敵だ!!躊躇無く攻撃しろ!!」
すると5人組で固まった者達の中に余った連中が居る!!その数20!!
「20人紛れてます!!直ぐに攻撃を!!」
俺は叫びながら【エナジードレイン】でその20人をロックオンした!するとその中の一人が一気に距離を詰めてアストレラ様に襲い掛かる!!
俺はジャンプして攻撃しようとしたソイツを『溶岩弾』3連射で狙撃して撃ち倒した。更にアストレラ様に向おうとした一人の前に立ちはだかり『溶岩弾』を撃ち込見ながら『陽炎』を使う。相手は俺の攻撃を妙な刀で叩き落とし、俺に向かって刀を振るうが『陽炎』によって俺に当たらない。
俺は遺跡の杖でソイツに袈裟斬りに攻撃を振るうが、物凄い速度で交わされ空を切り地にめり込む!その隙を狙いソイツが刀を振るう!間合いが近過ぎて『陽炎』を使ってても避けきれない!!
カキン!!
俺の左手のガントレットでソイツの妙な刀を殴りつけて軌道を逸した!
「何っ!!」
驚くソイツに返す刀で杖を振り上げる!!勿論魔力MAXでだ!!重量と硬度が最高に上った杖の一撃を右腕と脇腹にモロに受ける!
妙な刀を取り落し、ぶっ飛ぶソイツにすかさず『溶岩弾』を左腕と右足に撃ち込んだ!
コレで勝負あり。ソイツを縛り上げて捕虜とした。
ソイツが落とした妙な刀を持ってみる…頭の中にこの刀の性能が入ってくる…金属や魔力を斬る能力が有った様だ。恐らくはどこぞの遺跡から出た奴かな?そんなモンで斬られてたら腕ごとヤラれてたな…前のガントレットならね。
たまたま遺跡のガントレットに替えてたので受け切れたのだ…。俺の勘凄くねぇか?預言者かよ!!
他の伏兵は全員他の連中に倒されていた。と言うかその内の10名はウチ自慢の斥候”忍者服部君”ことカシムさんに倒されていた!スゲェーな!服部君!何でも闇魔法に何か反応したので動いたそうだ。矢張り闇魔法はなにかを感じる事が出来るのか?後で聞くとするかな。
アストレラ様には怪我は無かった様でそのまま攻撃呪文を詠唱し続けていた。
すると彼女の頭上にでっかい魔法陣が浮かび上がり魔力が其処に集中した…途轍もない魔力が膨れ上がる!こりゃあスゲェ!!
『爆裂する神の息吹 (ゴッドブレスバースト)!!!』
超高温の熱線が敵陣を横殴りに薙ぎ払う!!
アタマにGのつくどっかの怪獣が吐く奴にソックリや!!
薙ぎ払った後で爆発が起こる…直撃を受けたのは勿論、周りにいた兵士もタダでは済まない。
ぎゃああああ〜!!凄過ぎ、エグ過ぎ、チート過ぎ!!うわぁ〜無いわ〜もう完全に最終兵器ですやん!!
この人は敵に回すのだけは絶対にやめよう…。
んで、その後に続いたのは”地獄”の称号を持つ、地魔法の最上宮廷魔導師のジラルド=クリスデンの『破滅の大地 (ラウンドオブデストロイ)』である。
地震を起こしながら地が裂けて範囲にいる者全てを荒れ狂う大地が飲み込んで行く…恐ろしい光景である…。コレもエグいわぁ…引くわぁ…。
その次は続かなかった…と言うのも後の二人が伏兵により負傷していたのだ。
傷は深くはなかったが、詠唱の途中で襲われた為に呪文を中断せざる終えなかったのだ。
他にも上級魔導兵が重傷を負ったり、中級魔導兵が何人か怪我や殺害されたりしていた。
全員無傷だったのは我等が警護していた炎帥魔導師団のみであった。
直ぐに6万の兵が突撃をして行った。それに合わせて炎帥と地帥の魔導師団がついて行きながら援護魔法を撃ち込んで行く。
ローレシア軍は伏兵による攻撃で大規模遠隔魔法攻撃が無くなると思っていた様で、最前列の兵が全滅し軽いパニックを引き起こしていた。そして敵の騎兵や兵士がなだれ込み、食い止めようと魔法や弓矢の攻撃をしようとした後方の軍に更なる中規模魔法攻撃を仕掛けられて大打撃を受ける。
ローレシア軍の指揮官は退却を命じた様で一気に距離を保つ様に引いて行った。追撃された為に被害も多くなり、この戦闘だけでローレシアはニ万六千もの兵が殺され、その1.5倍の人数が負傷したのだ。対する王国軍は死者600有余名で負傷者は1100名程であった。
正に一方的な勝利と言って良かったが、伏兵により危うく最上宮廷魔導師が殺害されそうになった事はかなりの問題となった。
伏兵は闇魔法『隠密』の魔導具を使い各所に散らばり隠れていたらしい。その魔力を闇魔法の使い手であった俺と忍者服部君は感じ取れた様だ。しかも俺が捕縛したあの刀の持ち主は”魔導師殺し”の異名を持つ隠密部隊の隊長でカルバドス=ヘス=ゾウムと言うソコソコの有名人だった様だ。
何でもローレシアはこの伏兵作戦で何人もの魔導兵の首を討ち取って来たという
カルバドスが持っていた刀は俺が持っていたが、流石に魔法兵の俺には持て余す性能なのでタイラー副長に引取ってもらう事になった。
「本当に良いのか?凄い刀だぞ?」
「使いこなせ無い物を後生大事に持ってても無駄なので。それにちゃんと使える人が持った方がその刀も喜ぶってものですよ」
「そうか…では遠慮無く使わせてもらおう。いずれ代金は支払うから其処は心配するなよ」
俺は副長が使ってくれるなら代金は良かったんだが…まあ遠慮するのも野暮ってもんだな。
その日は機嫌が良かったのでを使ってヘスティアさんのレシピから『10種の薬草の香味スープ』を4番隊の連中に振る舞った。
だけど、何人か涙を流しながら食うのは辞めて欲しいな…まあヘスティアさんに物の見事にフラレたのは知ってるけどさ!!
その翌日、朝食を食っていた最中に炎帥魔導師団のメンバーがやって来た。
「貴様がラダルか?」
「はい、ラダルですが、何か?」
「貴様を連行する!!」
「は?」
どうしてこうなった??
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