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転生魔法兵ラダルは魔力が少ない!だから俺に魔力を分けてくれ!!  作者: 鬼戸アキラ
第一章 転生魔法兵誕生
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こうして俺はスカウトされた

ラダルが魔法兵にスカウトされた経緯です。

お楽しみ下さい。

その日、俺はいつもの様に朝から『還らずの谷』で魔法の修行と魔物狩りをしていた。

丁度、昼を食べようと焚き火を用意した時である。


「グオオオオ!!!」


聞いた事の無い魔物の叫び声を聞いたのである。

そんなに近くでは無い様だが、どんな魔物か興味が出たのでチョットだけ見に行ったのだ。

俺は身体強化を使って森の中に入る。そう言えばこの場所には入った事が無かったな…。

しばらく進むとやっと魔物の気配を感じる事が出来た…が、コイツ中々強いぞ…。

何時でも逃げる準備をしながら向かうと他にも気配がする…しかも人間だ!これはマズい。

俺は全力でその場所まで行くと6、7mは有ろうかという熊の魔物…デッドベアーが一人の男と戦っていた。旅の冒険者なのだろうか?右腕に怪我をしている。

俺はコッソリと後ろに回り込んで『千仞せんじん』を無詠唱で掛ける。

そしてそれは長さと幅を4m角にした底無し沼である。

デッドベアーはイキナリ足元が泥になり、自分が沈んでるのにパニックになる。そして藻掻けば藻掻く程に沈んで行く。俺は直ぐにデッドベアーの前に回り込み、そして動きを制限されたデッドベアーの眉間に『溶岩弾マグマバレット』を至近距離から撃ち込んだ。


デッドベアーはそのまま倒れた。

俺の勝ちである。


俺は怪我をしている冒険者風の男に近付いて行き声を掛けた。


「大丈夫ですかあ?」


「あ…ああ、だ、大丈夫だ。今のは君がやったのかい?見た事の無い魔法だったが…」


「そうですよ。見た事の無い魔法でしょうね。俺の合成魔法ですから」


「合成魔法??それは珍しい…噂に聞いた事が有るだけだが…君の師匠が教えてくれたのかい?」


「いや、俺には師匠は居ないよ。俺のオリジナ…いや、俺が創った魔法だけど」


「そ、そんな…それは本当なのかい??」


「嘘付いても仕方無いでしょ?さあ、傷を見せて」


俺は話を終わらせて傷を見ると結構深い。こりゃあマズいな…ココには何も無いし。

薬草は…あっ、鞄の中か…持ってくれば良かった…。

そう考えているとその男は鞄から何やら見た事の無い液体の入ったガラス瓶を取り出した。そして傷口にそれを掛けると傷口が自然と塞がるではないか!コレってまさかのポーションって奴か??バリバリファンタジーじゃねーの!!


「スゲーッ!傷が塞がってる!!」


「君はポーションを見るのは初めてかい?」


「うん、初めて見た…凄いもんだね…」


「そうか、傷口はコレで大丈夫だ。ところでそのデッドベアーはどうするんだい?」


「あ〜取り敢えず血抜きしてから持ち帰るよ。だけど流石に担げないなぁ…ココで解体するか」


「それなら手伝おう。ついでに荷物も運んであげよう」


「ホント?それは助かるよ。じゃあ血抜きしてる間に火起こしして下さい。血抜き処置したら肉取って来るんで」


「肉??」


「食事しようかと思ったらコイツの叫び声が聞こえたんで置いてきちゃったんです。直ぐに取ってきますから」


俺はデッドベアーの血抜きの処置をしてから、直ぐに肉を取りに戻り、冒険者風の男の元に帰って来た。男は焚き火をして待っていた。へぇ〜中々の手際だなあ。

俺は持って来た肉を串に刺して焚き火で焼く。塩と谷で採れる薬草ハーブで味付けした奴だ。良いニオイが立ち込めるがこのハーブは魔物を近寄らせない効果もあるのだ。


「変わった香りがするが…」


「この谷の薬草だよ。肉の味を引き立てるし、このニオイは魔物が嫌うので近寄って来ないんだ。さあ、そろそろ焼けたから食べてみて」


俺は肉を男に渡すと、自分の分にパクついた。美味いっ!

男は俺が食ったのを見て肉を恐る恐る食べていたが、目を見開いて驚きの表情を見せる。


「こ、コレは美味い!薬草で味付けなど聞いた事も無かったが…」


「知らない人多いよね〜。他にも香辛料とか有るともっと美味しいのだけど」


「香辛料…き、君は貴族…では無いよな?」


「アハハハ!俺は農民の子だよ。こんな汚いナリの貴族様は居ないでしょう?あっ、俺はラダルって言います。この近くのアメルー村に住んでます」


「私はシーガーと言う。仕事でこの谷に来たのだが…あの魔物と鉢合わせしてしまってね…」


「え〜?この谷に仕事?何か探してるの?」


「ああ、この谷の何処かにいる鳥の魔物を探しに来たんだ」


「ああ、アレね。もし良かったら案内するよ。どうせそっち行くし」


「本当かい??それは助かるよ!」


それなら急ごうと焚き火を水魔法でキレイに消してから、デッドベアーを土魔法で埋めて置き、俺はシーガーさんを『黄泉の湖』に案内する事になった。

途中何度か魔物の気配を感じたが、戦闘を回避しながら湖に向かった。

到着すると俺の姿を見てワニの魔物が湖に逃げて行く。


「あの鳥の魔物はこの湖にやって来るよ」


「そうなのか?あの魔物しか居なさそうだが…と言うかあの魔物どもは警戒心が強いんだね、オレ達を見て逃げて行ったよ」


「ああ…それはね…」


俺は『溶岩砲マグマキャノン』を湖に撃ち込んでワニの魔物を1匹仕留める。そして水魔法で魔物を岸まで手繰り寄せて陸に引っ張り出した。


「俺がこいつらを倒してたら、怖がって潜って逃げるようになったんだよ。意外と頭良いよね!アハハハ!」


シーガーさんは何か驚いた様に固まっている。

俺はワニの魔物の血抜きをしながら例の鳥の魔物を待っていた。


「そろそろ来るかも。来たら仕留めるからね」


すると案の定、鳥の魔物が2羽やって来た。

俺は気付かないフリで近付かせて『溶岩弾マグマバレット』で2羽とも撃ち倒した。でも1発目を避けられた…まだ修行が足りん…。


「アイツ等このワニの魔物が好物なんで、倒すと寄って来て掻っ攫おうとするんだよ。だから何時も撃って仕留めてるんだけどね」


「ラ、ラダル君はいつも魔法はその…無詠唱なのかい?」


「もちろん。だって詠唱とか遅くて無駄でしょ?魔法の起動効率を考えたら無詠唱は基本ですよね〜」


「そ、そうか…確かに…ところでラダル君はいくつだい?」


「歳?俺は9歳だよ。もうすぐで10歳になるんだ」


「なっ!…9歳…ま、まあそうだよな…うむ…」


何か考え込んでるシーガーさんを置いて俺は鳥の魔物も血抜きしていく。

因みに血抜きは水魔法を使うので結構キレイに血抜き処理が出来る。


「シーガーさん、この鳥の魔物はどうするの?持って帰るならココで解体するけど」


「ああ、この鳥の魔物の爪と羽が必要なんだ。出来れば2羽分貰えると助かるが…もちろん金は払うよ」


「うん、それなら問題ないよ。もう少し狩る?」


「いや、これだけ有れば十分に足りるよ」


「其れじゃあ此処で解体したらさっきのデッドベアーの所に戻ろう。アレの解体は結構手間だし」


俺達は手早く解体してワニの魔物は焼けてない皮と牙と肉の一部、そして魔石を持ち帰る。鳥の魔物は羽と爪をシーガーさんに渡して、コレも肉の一部と魔石だけ持ち帰る。他は放っとけばワニの魔物が片付けてくれる。

『黄泉の湖』からデッドベアーを埋めた場所まで戻り、埋めてあるデッドベアーを土魔法を使って掘り出し、皮をキレイに剝いで、爪と牙を抜いてから魔石を取り出した。かなりの大きさだ。

そして肉をキレイに分割しながら取り出した。やはり此処でもシーガーさんの手際が良い。

俺は適当な太さの木の枝を集めて背負子を作りそれに荷物を積んでいく。


「へぇ〜便利な物だな。ここの村では良く使うのかい?」


「いや、コレは俺が考えて作ったヤツだよ。魔物が多く獲れた時に持ち帰れないと勿体無いからね〜」


「そ、そうか…なる程ね…」


シーガーさんはなる程としきりに感心してたが、背負子は前世の記憶から作った物なのでパクリですけどね。

背負子に荷物を全部積んで村まで帰った頃にはもう日が暮れかけていた。

家に戻りシーガーさんを紹介すると父はビックリしていたが、もう遅いからと村長の家まで連れて行く事にした。ウチには泊められる部屋が無いからね。お客様として村長の家で泊まって貰ったのだ。


家に帰って荷物を降ろすと食事の準備までに魔物の素材を整理する。

デッドベアーの皮は直ぐに村に住んでる革職人に持って行く。傷が少ない極上品だとかなり喜ばれた。ワニの魔物の皮と一緒に置いて来た。後は鞣したり色々加工するから商品として売れてお金になるまでは時間が掛かる。

俺はいつも通りにお金になったら素材代払いにした。同じ村の知り合いだから持ちつ持たれつなのだ。


「其れじゃあ、おやっさん宜しくで〜す。あっ、お肉も少し置いときますんで食べてね」


「おう!いつも悪いな!ありがたく頂くよ」


俺は手を振って革職人さんの家を出る。

そのまま俺が家に帰ると父さんも村長の所から戻って来ていた。

いつも通りの夕食はチョットだけ豪華なモノになった。



その翌日、素材を持ったシーガーさんを見送って、俺はいつも通りの生活に戻っていた。



それからひと月後…



家の村に領主様の領兵団の副団長と言う人がやって来た。


そして村長の家に父が呼ばれて副団長から俺をスカウトに来たと聞いたらしい。俺はいつも通り『還らずの谷』で狩りをしていたので知らなかったのだが…。


魔物を狩って昼飯にしてると何人かの気配を感じた。その中には知ってる気配があったので俺はその方向に声を掛けた。

その5人は領兵団の副団長と部下の人達で、その中にシーガーさんも居たのである。


「シーガーさん久し振りです〜」


「やあ、ラダル君。今日はウチの副団長を紹介するよ」


「副団長??」


「私はカルディナス領兵団の副団長をしているデュラン=カーチスという者だ。今日は君をスカウトに来た」


「はぁ…それはどうも…スカウト?俺をですか?」


「そうだ、君は中々の魔法の使い手と聞く。ウチの魔法兵として働いてみないか?君の父親にはもう話してあるが、本人の意志を尊重したいと言ってな。それで君の所まで来たという訳だ」


「そうですか…なる程。シーガーさんは領兵団の方だったんですね〜。てっきり冒険者の方だとばかり思ってました」


「アハハハ!俺は斥候だからね。まあ冒険者みたいな格好をするから…実はラダル君を推薦したのはオレなんだ、もし良かったら来て欲しいのだけどね」


「丁度狩りをしている所なのだろう?少しそれを見せてもらえないか?実力の程を確かめたいんだが」


「それは構いませんよ。でも領兵団に入れる程なのかな?俺には良く分からないので…取り敢えず見て貰った方が良いですね。じゃあ湖に行きましょう」


俺は昼飯を片付けてから直ぐに湖の方まで向かう。湖に着くと相変わらずワニの魔物が湖に逃げて行く。


「副団長、あの魔物はラダル君を怖がって湖に逃げてるんですよ」


「そうなのか?警戒心が強い魔物だからでは無いのか?」


「最初の頃は物凄い勢いで襲って来てたので狩りやすかったのだけど…じゃあ行きますね」


俺は『溶岩砲マグマキャノン』を撃ち込んでワニの魔物を仕留めた。

いつも通りに水魔法で仕留めたワニの魔物を引き揚げる。

待っていると鳥の魔物がやって来たので『溶岩弾マグマバレット』で仕留めた。


「こんな感じですけど…」


俺が副団長さんの方に向かって言うと、副団長さん達が何かざわついていた。


その後、谷で襲って来たイノシシの魔物を『千仞せんじん』で動きを止めて『溶岩弾マグマバレット』で息の根を止めた。


この時は副団長さん達が声を上げて驚いていた。まあ、見た事の無い魔法だろうから驚くよね。

血抜きをしている間に副団長さんが話し掛けて来た。


「ラダル君は無詠唱で魔法の起動を難無くやってる様だが、本当に師匠は居ないのか?」


「あ〜、前にシーガーさんにも話したけど全て独学ですよ。魔法の知識は村長さんに色々教えて貰ったけど、使い方は村長さんに聞く前から出来てたから。でも俺は低位魔法しか使えないですよ」


「低位魔法でも合成魔法はかなりの物だよ。しかも無詠唱で起動速度が恐ろしく速い。それで魔法は何発くらい撃てるんだい?」


「そうですね…12ぐらいですかねぇ…」


俺は連射の数を聞かれたと思って念の為に半分くらいの数字にしておいたのだが、副団長は俺の撃てる限界を聞いていたらしい。因みに休みながらなら正直何発撃てるか分からない。


「そうか、12発撃てるのなら問題は無いな。コレなら充分にに活躍出来るだろう。如何かな?領兵団に入ってくれないか?」


「あのう…聞きにくい事なんですけど…お給金はお幾らぐらいなんでしょう?」


「フッ、ハッハッハ!中々しっかりした子だな!魔法兵の給金は年に45銀貨だ。悪くないと思うぞ」


「年に45銀貨!!って事は1ヶ月で…3銀貨と750銅貨…凄いなあ…」


「ほう、ラダル君は計算も出来るのか。中々優秀だな…」


月に3銀貨と750銅貨と言うと今の家の月収が大体1銀貨行くか行かないかなのでかなりの高給と言える。他の家だと500銅貨前後くらいだから家は裕福の方だ。家に2銀貨仕送りしても残りで俺一人なら充分にやっていけるだろう。


「是非お世話になりたいと思います。宜しくお願い致します」


「良し、これで決まった。良い人材をスカウト出来たな。しかし約束とはいえ4番隊にやるのは惜しい人材だが…」


4番隊?何の話なのかな??

この時の俺には4番隊がどの様な隊なのかは知る由もなかった。


お読み頂きありがとうございます。

また読みたいと思われましたらブクマや下の星を入れて頂けると中の人は喜びます。

よろしくお願いします。

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