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甦る闇聖

お待たせ致しました。

アシュトレイが火山の麓に庵を構えてからもうすぐ2年となる。アシュトレイはその時を待ちながらひたすら大剣を振り続け、五行の修行をした。


そして……遂にその日がやって来た。


火山の火口から爆発的な魔力が噴き出してその棺が姿を現した。ゆっくりと棺の蓋が開き中からその男が現れる。長い銀髪に顎髭を蓄えた老人の様なその男は紫色のローブを身にまとっている。その者の顔色は真っ青で目の白目の部分は真っ黒に染まり、黒目の部分が真っ赤である。そしてその額にはもうひとつの目があり、こちらは白目は紫色で黒目の部分が金色であった。

その男こそ闇聖ゼスである。


そして……その闇聖ゼスの横に転移して来た者が居た。あの丸い『眼』である。


《お帰りなさいませ……闇聖ゼス様》


『……お前か……待っておったのか?』


《もちろん。長い間待っていたわ……貴方の目的を果たした後で私の頼みを聞いて欲しいのだけど》


『……良かろう。我がこの世界を闇に染めた後にならな』


《何卒良しなに……さて、そろそろ敵がやって来る頃合いね》


『敵?……あの男なら大した事は無い我に触れられもせぬ』


《仲間も来ますよ?》


『此処まで回復すれば何者が来ようとも問題は無い……我が闇の魔法は全ての属性魔法を凌駕する……それこそ光も通さぬ暗闇よ』


《それならば安心ね……貴方を呼んだ甲斐があったわ》


『我も貴様には感謝せねばな……また混沌の闇の領域を増やせるのだからな……フハハハ』


この何万年も前よりいくつもの世界を混沌の闇の領域に変えてきた闇聖ゼスは無限とも言える魔力を持ち、その圧倒的な力でいくつもの光の勢力を退けて来たのである。そして今回も何時もの通りにこの世界を混沌の闇とするつもりなのである。

そして、丸い『眼』は自分が課せられたとある使命を果たす為にこの闇聖ゼスをこの世界に引き込んだのである。そしてその目的は『眼』にも課せられているものと同様である。


一方、火口の異変に気が付いたアシュトレイは直ぐに火口まで向かった。『眼』は闇聖ゼスの復活を感知すると、すぐさまロザリアとゴンザレス、そしてブリジッタを転移させる。そしてアシュトレイが火口に着いた頃に三人が火口に転移して来た。


『ほう……お前達がこの世界の光の勢力か……なるほど破滅の五芒星(ベインペンタグラム)にはちと責が重過ぎた様だな……』


その圧倒的な闇の力を前にしても四人の心は揺らがない。それを見てとった闇聖ゼスはこの四人をこの場で始末する事にした。


『先ずはこの辺から試してみるか……【暗世魍魎界】』


【暗世魍魎界】とは闇の魔力の結界でその中では闇魔法の威力が三倍まで引き上がる。


極光幕(オーロラカーテン)


ロザリアは皆の周りに聖光のカーテンを配して闇魔法に備える。


『ほう……中々の極光であるな。しかしその程度では……!!』


その台詞を闇聖ゼスが言い終わる前にブリジッタとゴンザレスが突っ込んで来た。ゴンザレスはこの二年間でブリジッタから五行の修行を習い二人て切磋琢磨して来た。そのパワーとスピードは格段に引き上げられており、更に二人のコンビネーションは闇聖ゼスを驚かせる程のものになっていた。

ブリジッタの雷を纏った攻撃をギリギリ避けた闇聖ゼスであったが、避けた場所に狙った様に飛んで来たゴンザレスの金棒が闇聖ゼスに直撃した。だがしかし、その金棒は闇聖ゼスの右指二本で止められていた。


「なっ!……バカな……」


だが、そのゴンザレスの上からジャンプしたアシュトレイの【咆哮する龍力のドラゴンバスター】の一撃が闇聖ゼスに襲いかかった。


「龍破天撃!!」


闇聖ゼスの脳天を捉えたかと思った瞬間、どこから取り出したのか闇聖ゼスの左手に握られた漆黒の剣が【咆哮する龍力のドラゴンバスター】を受け切っていた。そしてその漆黒の剣を横殴りに払ってアシュトレイとゴンザレスごと吹き飛ばしてしまった。


『ほほう……我にこの剣を出させるとはな。少々甘く見過ぎていたようだ。この剣は【征暗絶界】という我の唯一無二の剣である。之は中々出さぬからな……貴様らは誇って良いぞ。勿論、死んでからだがな』


そう言った闇聖ゼスの周りに無数の魔法陣が展開された。全ての今までの攻撃はこの一撃の為でもあった。ロザリアは神光の一撃を繰り出した。


太陽電離(ソル・プラズマ)!!」


幾重にも反射しながら太陽光線(デル・ソル)が闇聖ゼスに襲いかかった。そして光に包まれる……光が治まった後に闇聖ゼスが【征暗絶界】を地に刺し、膝を付いて居た。


「そ、そんな……何故消えてないの??」


ロザリアは驚愕していた。何故ならこの魔法で身体が残るなと有り得ない事だからだ。しかし、闇聖ゼスは膝こそ付いた状況だが、紫色のローブも闇聖ゼスの身体にもダメージらしい物を見受けられなかったからである。

ゆっくりと立ち上がった闇聖ゼスはニヤリと笑いながらこう言い放つ。


『我が膝を付かされるは三千振りくらいであるな……中々の一撃だったぞ。少し闇を削られる程にな』


そしてゆっくりと左手に持つ【征暗絶界】を高く掲げた。


『邪雷降伏』


その瞬間、四人の身体に黒い雷が落ち四人共に吹き飛ばされた。いや、一人だけ……ゴンザレスだけは何とか踏ん張り、そのまま闇聖ゼスに攻撃を加えた。先程の一撃とはまるで違う速度の金棒を闇聖ゼスは【征暗絶界】で受けた……が、闇聖ゼスはそのまま吹き飛ばされていた。そこに起き上がったブリジッタが『天翔る雷覇のフュルフュールレイピア』の【風雷】の一撃を食らわせる。そこにすかさずゴンザレスの金棒の一撃が闇聖ゼスを捉えた。吹き飛ばされる闇聖ゼス……しかし、起き上がった闇聖ゼスはやはりダメージが無いようにしか見えない。


『ほう……更に上がったなそこの二人……見事な連携だ。やはり簡単には行かぬな』


「まだまだ上がるぜ!!ゴルァ!!」


ゴンザレスは更に金棒を振り回し屋聖ゼスに襲いかかったが、闇聖ゼスの【征暗絶界】に全ての打撃を受け切られて、最後は右手から出た紫色の電撃で吹き飛ばされてしまった。


そこにアシュトレイが【咆哮する龍力のドラゴンバスター】で闇聖ゼスと斬り合いになる。そしてアシュトレイが突きを放ちながら魔力を入れた。


「真・古龍の咆哮!!」


闇聖ゼスに神聖魔法の一撃が入った。だがしかし闇聖ゼスはそれをまともに食らっても尚薄気味悪い笑みを浮かべながら立っていた。


『見事な技であった……この世界に来る前の場所ではお前達程の実力者は居らなんだ……久しぶりに楽しめたぞ』


闇聖ゼスは剣を持たぬ右手を高々と上げた。その掌から途轍も無い闇の魔力が放出された。そしてそれはまるで紫色の太陽の様に……。


『コレで終わりだ。【紫耀】』


その紫色の太陽が一気に巨大化して皆を飲み込もうとしたその瞬間、暗闇の結界の外から青い閃光が紫色の太陽を突き刺した。驚く闇聖ゼス……そして四人。

そして暗闇の結界が崩れる様にボロボロとなり外の世界が見えると逆光を浴びた所から誰かがゆっくりとした足取りでやって来る。


「ふう……どうやら間に合った様だね!いやぁ船旅なんてするもんじゃないや……」


アシュトレイはその声を聞いて驚いた……いや、他の三人も驚いていた。


「そこのジジイが闇聖ゼスで良いの?随分と色々とやってくれたね。ガッツリ仕返しするから覚悟しろよ」


『……貴様、何者じゃ?』


「俺は元魔法兵のラダルだよ。お前に引導を渡しに来た死神だ」


お読み下さりありがとうございます。

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