表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
152/160

アシュトレイ、シウハに会う

恐ろしく忙しく更新出来ませんでした……_| ̄|○

レディスンが息を引き取るその半年前……


アシュトレイは十三改と共に軍馬に乗り、山脈を越えて黄龍国に居た。ラダルをあのまま残して行くのは辛かったが、闇聖ゼスがこの世界に現れたとなればそうも言って居られない。奴らが何処に居るのか……それの手掛かりを見つけにあの戦いの場所にやって来た。想定する目的地ははるか先だが物のついでに立ち寄ったのだ。


(やはり何も無いか……だとするとやはり……)


アシュトレイはこのまま闇雲にゼスを探す事は得策では無いと考えていた。すると目の前に突然『眼』が現れた。


「どうした?ラダルに付いていたんじゃないのか?」


《主はしばらく故郷で静養をするの》


「そうか……戻ったのだな。しばらくは慣れないとは思うが……」


《主なら大丈夫なの》


「そうだな。ラダルなら乗り越えられるか……」


《それよりもアシュトレイはシウハの元に行くの》


「シウハ??何故彼女に?」


《シウハなら闇聖ゼスの居所を知っているはずなの》


「何だと……何故彼女が……やはりあの棺桶か??」


《アレをどうにかしたはずなの》


「アレはラダルとザルスが……」


《タヒドに聞くの。彼はシウハと一緒に居るはずなの》


早速、『眼』の転移眼で闇龍国の首都ラスカンドルに入る。

突然転移して来たオレたちに驚いた衛兵達であったが、その中の一人がオレの事を覚えていた様だ。


「これはアシュトレイ殿!」


「すまない、至急シウハに……いや、シウハリア様にお会いしたいのだが……」


「シウハリア様は半年前に皇族の地位を返還され平民となられた。既に闇龍国を出立なさっておるぞ。確か山脈の向こうを目指すと言っておられたが……武商旅団としてな」


「そうだったのか……ありがとう!」


「アシュトレイ殿、我が皇帝陛下に是非ご挨拶を!」


「済まない……急ぎシウハを探さねばならない。緊急事態故に非礼をお詫びすると伝えて欲しい。では!」


《樹龍国に行くの》


再びオレたちは転移をした。ここはリザードマンの町か……懐かしいな。


『ン?オマエエイユウラダルノジュウシャ!』


「いや、従者じゃなく相棒なのだが……」


『エイユウノナカマ!ワレラノキャク!』


「ちょっと聞きたいのだが、此処に武商旅団の連中が来なかったか?」


『ブショウリョダン、ヤドヤニイル』


「よし!捕まえたぞ!どこの宿屋だ?」


『アンナイスル!』


リザードマンの後について行くと傭兵のハゲが酒を飲んでいる……懐かしい面々だ。


「おい……ウソだろ??アシュトレイじゃねーか!!」


「何っ!?アシュトレイだぁ??」


「久しぶりだな……元気そうで何よりだ」


「こりゃあ驚いた!直ぐにシウハに知らせろ!」


傭兵達が盛り上がっていると奥から見知った顔が飛び出して来た。


「アシュトレイの旦那!!」


「おお……タヒド。久しぶりだな」


「旦那あぁ〜〜〜」


タヒドが大泣きしながら抱きついて来た。


「ラダルの旦那は??」


「ああ、今は故郷で過ごしているぞ」


「良かった!!正気に戻ったんですね!」


そうしている内にシウハが走ってやって来た。


「アシュトレイ!ラダルは??」


「故郷で過ごしている。もう大丈夫だ」


「そうか……良かった……」


「今は魔力を失った為に実家に戻りゆっくり静養をしている」


「魔力を……それは……」


「命があっただけでもアッシは嬉しいでさぁ〜」


「そうだな……早速で悪いが例の棺桶について聞きたいのだ」


「棺桶?……まさか……」


シウハは流石に理解した様だ。


「シウハの推察は恐らく合ってる。それでオレは棺桶を探している」


「棺桶……ああ、あの火山に沈めたヤツですかい?」


「アレはザルスがラダルと一緒に闇龍国のマレナ火山に落としたと聞いている」


「マレナ火山……そこに沈めたのだな?」


「間違いねぇですぜ!アッシも途中まで一緒でしたからね!」


「ありがとう!そこに行くとしよう」


「もう行くのかい?せめて話くらいは聞かせておくれな」


「しかし……」


《アシュトレイ……もう魔力が切れたの……転移はしばらく使えないの》


「そうか……ならは此処で休むとしようか」


オレは此処で少し休む事にした。シウハやタヒドに皆と別れた後からの話をした。タヒドは泣きながらもラダルの無事を喜んでいた。シウハは一通りの状況を聞くと少し考えた後でこんな話をし出した。


「一ヶ月ほど前にエルフの砦を通り抜ける際に、やって来たエルフから不思議な話をされたんだ……」


「エルフに?」


「ああ……そのエルフは『お前達は懐かしい者と出逢うだろう。その者に此処に立ち寄る様に言ってくれ』と言われたんだ。その時は何が何だかさっぱりだったが……アレはアシュトレイ……お前の事を言ってたんじゃないかってね」


「エルフ……カリシャスか?」


《恐らくそうなの。次の目的地はエルフの里なの》


「シウハ、ありがとう。次の目的地が決まったよ」


「アタシは何もしてないよ。言伝が伝わったのならそれで良いさ!」


それからは懐かしい武商旅団の面々に囲まれて飲みながらその日は過ごした。

翌日はまだ『眼』の魔力が回復しないので軍馬に乗りエルフの里を目指す。


「もう行くのかい?」


「ああ、コレはオレの役目だからな」


「アタシには何も出来やしないけど、アシュトレイの無事を祈ってるよ」


「それで充分だ。タヒドや皆にも宜しく伝えてくれ」


「ああ……しっかりおやりね」


「うむ、さらばだ……シウハ」


オレは軍馬を走らせる。もう彼らと会う事も無いのかもしれない……。


そしてオレはエルフの里までやって来た。あの日ミコト様の信託を受けて以来である。近くまで行くとやはり待って居たのだろう……カリシャスがそこに居た。


「アシュトレイ、待ちかねたぞ」


「出迎えさせて済まなかったな。シウハに言伝をしたのだろう?」


「ああ。ちゃんと伝わった様で安心したぞ」


「彼らはオレ達の仲間だからな」


カリシャスは満足気に頷いていた。


「さあ、ミコト様の所に参ろうか?」


「宜しく頼む」


オレはカリシャスの後について行く。里に入るとエルフの街はアレから何も変わっていない。そのままミコト様の居る場所まで案内された。


《アシュトレイ、良く来てくれました》


「ミコト様のおかげでラダルの命を救う事が出来ました。ありがとうございます」


《それはアシュトレイや他の者達のラダルを思う気持ちがそうさせたのです》


「しかし……」


《闇聖ゼスの事は仕方の無い事です……闇聖ゼスはマレナ火山のマグマの中で眠っています》


「やはりそこに居たのか……」


《この世界に来る為に魔力を使い果たしていた様です。まだしばらくは復活しないでしょう……》


「それでは……」


《マグマの中では依代に攻撃も出来ません……残念ですが復活を待つ事しか出来ませんね》


「復活したら……止められるのでしょうか?」


《仲間を頼りなさい……ラダルも仲間と助けたはずです。闇聖ゼスの復活は後二年ほど掛かるでしょう……それ迄に出来る事をしなさい》


「後二年……か……」


《まだ二年と考えるか、あるいはもう二年しかないと考えるか……お主次第です》


ならばオレは闇聖ゼスを見張り、その地で修行をしよう。十三改という修行相手も居るからな。


《……どうやら心は決まったようですね》


「はい、色々とありがとうございます」


《我の力がもう少し有れば違った結果も……いや、それはもう言うまい……アシュトレイ、今から言う言伝を必ず伝えて欲しい》


「言伝?」


《この先……何かあれば必ず我を頼れと……ラダルに伝えて下さい》


「ラダルに?……それは……」


《今では無いこの先です……必ず伝えて下さい》


「はい、確かに承りました……」


アシュトレイは何か釈然としないものの言伝は伝えるつもりだった。


《我が伝えておくの》


突然『眼』が話し出す。


《そうですね……あなたの方が適任かも知れませんね》


カリシャスも頷いている。それならば『眼』に任せるとしよう。


オレはエルフの里を後にして、すぐさま闇龍国に向かった。そしてマレナ火山のすぐ側に居を構えてひたすら監視と修行の日々を送るのであった。


お読み頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ