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師匠と弟子

またもレディスンとの修行です。

確かレディスン師匠はブリジッタさんの元パーティーの二人とカノッサス大迷宮に行ったと聞いていた。難攻不落の大迷宮に挑んだ後だからなのか、若干頬が痩けた様な気がする。やはりそれほどのキツい場所だったのだろうね。


「師匠……どうして此処に?」


レディスン師匠は俺を一目見て残念そうな顔をした。何でや?


「おやおや……反理力の極芯を手に入れたはずだが……まだ目覚めて居ないとは……」


反理力の極芯……レブルの箱に入ってたヤツか!アレなら肌身離さず持っているが……。


「コレが何か?……」


「身にはつけて居るようだね。だが私の弟子なら既にその力の修行をしてても良いと思うのだがねぇ……」


「修行って……」


「反理力の修行さ。その為に私は君の元にやって来たのだからね」


「反理力??」


「反理力とは“理力を破壊する力”さ。コレを君に授けるために私はやって来た」


「理力を破壊する……」


「さあ、時間が無い直ぐに始めようか」


「時間?」


「闇聖ゼスはもう既にこちらの世界に来ている……ザ・コアの取り入れた魂を使ってな。だから早くラダル君には早く反理力をモノにして欲しいんだ」


「な……闇聖ゼスだって??ザ・コアを倒したのに??」


「ザ・コアはこの世界の闇聖になろうとして失敗した。だがその際に取り込んでいた魂が、何者かに仕掛けられていた魂の奉納の儀式と同じ術式を発動して向こうの世界からの道を開いてしまったのさ。だからアシュトレイは闇聖ゼスの行方を追っている」


そうか……それで俺に何も言わずにアシュのおっちゃんは旅に出たのか……。


「分かりました。修行をしましょう!!」


こうなったら修行あるのみだ!どっかの戦闘民族の武道家も修行に明け暮れてたよな!


「先ずは五行と同じだよ。座禅を組んで『無』を目指したまえ」


この日から俺はレディスン師匠の修行を開始した……だが、オレはこの時、全く何も気付いてはいなかった。レブルの箱に“忌まわしき”と書かれていた意味も……そしてレディスン師匠が“時間が無い”と急いでいる意味も……。


座禅を組み始めてから1週間程経ったある日、俺の中で何かがカチッとハマった感じがした。するとあの鉛筆モドキがいきなり輝き出して、身に付けていた袋を突き破って大きくなった。


「うおおおおぉ!何だこりゃ??」


「うむ、やっと鍵が開いたか……極芯は反理力の鍵なのだ。そうしたら次は反理力の粒子を集めるのだ……反理力を操る為には反理力の粒子を集める事が必要だ」


俺は先ず、反理力の粒子とやらを具現化させる事にひたすら意識を傾けた。百聞は一見にしかずと言うからね、粒子が見える事でイメージを掴みやすいと思ったのだ。その甲斐あって粒子を具現化させる事に成功した!って言ってもほんの何粒なのだが……ぐぬぬ……。


「……ラダル君……何故数粒だけが……?」


「り、粒子を具現化させて視えれば分かりやすいかと……」


「ほほぉ……流石だねぇ。そういう機転は相変わらずだね。次はそれを増やすのを想像してみよう」


レディスン師匠が言う通りに粒子を増やすイメージを思い描く……すると極芯から徐々に粒子が出て来た。そしてそれは六角の極芯の周りを螺旋状にクルクルと回り出す。


「そうだ……それで良い」


しかしかなり疲労困憊である……やはりまだまだ修行が足りてないのだ。


「……今日はここまでだな。明日また来ると良い」


「師匠……今日は家に来て下さいよ。ウチの家族にも顔を合わせたいですし……」


「いや、申し出はありがたいのだけど……人付き合いが苦手でね……一人で居る方が楽なんだよ。済まないね……それに前にも言ったが、それとこの修行は他の誰にも見られたくないのだ」


「それは承知してます。ここにはまず人は来ませんし……」


レディスン師匠は姿を現してからこの森を一歩も出ていない様なのだ。しかも修行の初日に「この修行は他人に知られたくないので絶対に喋らない様に。家族であってもだ」とキツく言われていた……理由は聞いてないが、恐らくは“理力を破壊する”と言う性質故に危険な力だからと言う事なのだろうね。


「うむ……それと明日はあの導書を持って来たまえ。もう開けるはずだ」


「あの導書って……ハイエルフのカリシャスから貰ったあの……」


「そうだよ。アレは『反理力の導書』だよ。君が反理力の全てを理解する為の物だ」


あの時……確か……



【○○○の導書】

クラス:不明 属性:○○○

○○○の為の導書。○○○についての詳しい解説がなされている。○○○の力を得なければこの導書を開ける事は出来ないし、○○○を読む事すら出来ない。



つまりはあの○○○が反理力と言う事なのか……。


「ラダル君にはその導書に書かれている全てを習得して貰うよ」


「結構分厚い導書でしたけど……」


「私は見た事無いのだけどね……まあ、頑張れ!」


軽っ!!修行軽っ!!


という事で翌日……持って来ました『反理力の導書』。

レディスン師匠は俺が見せると、その日はずっとその導書を見ては考え事をしていた。

その中に置いても俺は反理力の粒子を増やす事に専念する。修行はやれと言われ無くともやり続けるのが当たり前なのだ。その日はかなり粒子が増えた。


それから1週間……ずっとレディスン師匠は導書を見ている……見過ぎじゃね?

俺はと言えばもう全身に粒子がまとわり付いてる状態になった。この粒子が増える毎に俺の身体が軽くなる様な気がしていた。


「うむ、大分粒子量が増えて来たみたいだね」


「身体も軽くなって来た気がします」


「当然だよ、反理力の粒子は魔力と同じ様な力なのだからね。感覚としては魔力が増える様な感じになるはずだ」


「なるほど!」


「ではその粒子を動かしてみようか」


「はい!」


返事は良かったのだが……結果から言ってその日は全く俺の意思では動かす事が出来なかった……。と言うか動かせる様になるまで更に1週間も掛かってしまった。


「随分と手こずったね……」


「ス、スイマセン……」


「ではそれを更に高速に動かせる様になる事。粒子を増やす事も一緒にやる事。頑張ってね!」


「……ハ、ハイ……」


この後、物凄く苦労した……。

同時に二つの事をやるのはかなりキツい……それでも歯を食いしばってやり続ける……俺はロザリアの様な天才じゃない。だから諦めずにやり続ける事だけが俺の唯一の取り柄なのだ。それに……俺はもう力を手放したく無い……。


何とか高速で動かせる様になり、粒子量もかなり増えて来た。


「よし、じゃあ次はその粒子を全て身体の中に入れ込もうか」


「か、身体の中?」


「そうだよ。臍の下辺りを中心にグッと集める意識を持ってやりたまえ」


臍の下……つまり、丹田って事かな?入れ込む……集める……引力……『魔力玉』のイメージか……。俺はもう一度あの感覚をイメージしてみた。引力に引き込まれる様な感覚……すると粒子が段々と丹田に集まって来る。最初はゆっくりだったが、段々と加速していく。


「ほう……コレが1番難しいと思っていたのだけどね……」


「ま、魔力玉の感覚でやってみました……」


「……なるほど!そうか……それで君が……そうかそうか!」


何やら師匠が1人で納得している様なのだけど……俺にはさっぱりだけどね。

その内に粒子は全て身体の中に入り込んだ。


「よし、それを体内で循環させようか」


俺は粒子をゆっくりと循環させ……ようとしたが、全く動かない……。


結局、体内で循環させられるようになるまでに1ヶ月も掛かったよ!


お読み頂きありがとうございます

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