闇の深淵を目指す者
遂にラダルとアシュトレイ達が対決します。
【血魔法】により防御をしたザ・コアをアシュトレイ達は攻撃する。エナジードレインを発動されたのだ、時間は無い。先に動いたのはゴンザレスである。
「ラダル……テメェいい加減に目ぇ覚ましやがれ!!ゴルァー!!」
赤い霧に阻まれてラダルの身体には届かないが、その凄まじい衝撃波がラダルの身体を吹き飛ばした!
「なっ!馬鹿な!?」
ザ・コアは驚いていた。まさか【血魔法】を素通りして衝撃波が届くなどと普通はありえない。
ゴンザレスは帝国の新兵器だった『魔法銃』の対策の為にラダルが転移の森で消えた後から、帝国の兵士から奪い取った『魔法銃』を自分に撃たせて、それを金棒で弾き返すと言う常軌を逸した訓練に明け暮れた。
そして三ヶ月後に帝国がカルディナス領に攻めて来た際にこの訓練の成果を出す事に成功したのだ。
それがこの衝撃波である。ゴンザレスの持つ怪物並みの魔力を金棒に乗せて振るう事で衝撃波を巻き起こすのである。更に超身体強化されたゴンザレスには魔法銃のバレットがミスリルの鎧から吹き出る魔力に弾き返されてゴンザレスの突撃を許してしまったのだ。その結果、平民で構成された帝国の魔法銃兵は総崩れとなり、カルディナス軍を大勝利に導いたのだ。
その時に会得した衝撃波がザ・コアを吹き飛ばしたのだ。
ザ・コアは黒魔法を使い反撃を開始する。
『黒炎……』
ゴンザレスにまとわりつく黒い炎だがゴンザレスは全く焼かれない。
「ハッ!!」
気合いで吹き飛ばす!訳ではなく内なる魔力の波動で吹き飛ばしたのだ。
その時ロザリアが魔法を飛ばす。
「【極光光線】!」
【血魔法】の霧を貫いて【聖光】の魔力がラダルの身体を貫く!
『グォオオ……こ、小娘がっ……』
「フン、私に勝とうなんて無理なんだからね!」
『黒雷!』
だが、黒雷の落ちた先にはロザリアは居ない。そこからかなり離れた場所に移動したのだ。
「そんなノロい攻撃なんて私には当たらないわ!【極光嵐】!」
光の嵐がラダルを襲う!ラダルの身体が切り刻まれて血が吹き出した!
『おのれぇ……』
その時飛び上がったアシュトレイが【咆哮する龍力のドラゴンバスター】を空中で抜いた。
「兜割り!!」
ドラゴンバスターの刃が届く瞬間にラダルは金槌を振り上げて魔力を通す!ラダルの足元がその衝撃で地割れを起こしたが、ラダルはアシュトレイの大剣を受け切った。
『おのれぇ……このままエナジードレインで削り切ってやろうと思ったが……仕方あるまい……』
その瞬間、爆発した様にラダルの魔力が一気に増大する。その勢いでアシュトレイが吹き飛ばされた。
「アシュトレイ!」
「大丈夫だ。やっとその魔力を出したな……」
「ほぉ……中々やるじゃねぇか……」
ゴンザレスはその紫色の魔力を見ながらそう言った。
『コレこそが闇聖の魔力だ。貴様らには勿体ないが、これ以上は我の沽券に関わる故な』
ラダルは人差し指をゴンザレスに向けた。紫色の光線がゴンザレスに向かう!
だがゴンザレスは金棒でそれを受けた……その瞬間ゴンザレスは吹き飛ばされる!
「何っ!ゴンザレス!」
だが、ゴンザレスは直ぐに起き上がった……目が赤く染まっている……。
「フハハハ!!中々面白ぇじゃねーか!ラダルよぉ!!」
その瞬間ゴンザレスは一気にラダルまで詰め寄る。そして一気に金棒を振り抜いたが、ラダルの手に吸い付く様に止められた。
「なっ?!」
『小賢しい……』
ラダルはゴンザレスに人差し指向ける。ゴンザレスは咄嗟に左腕で防御したがそのまま光線で飛ばされた。
「ゴンザレス!!」
ゴンザレスの左腕のミスリルの篭手は粉々に砕け大きな丸い傷が出来ている。ゴンザレスはベルトからポーションを取り出して飲んだ……傷口は塞がった様だ。
「クソが……」
ラダルは人差し指をアシュトレイに向ける。そして光線が放たれた瞬間に七色の光の壁がアシュトレイの前に出現する。
「【極光壁】」
紫色の光線はその光の壁に防がれた。
『ほう……中々やるな』
ラダルは左手に【暴走する理力のスペクターワンド】を持ち魔力を暴走させた。
『コレを受け切れるかな?』
右手の人差し指から光を増した紫色の光線がロザリアに襲いかかった。光線がロザリアを貫いたその瞬間うっすらとロザリアが消えて行く。
「そんなノロマな攻撃が当たる訳ないでしょ!残像よ!」
『チッ……ちょこまかと……!?』
その瞬間アシュトレイのドラゴンバスターがラダルの右腕を斬り落としていたのだ。
ラダルは直ぐに後ろへと移動して斬り落とされた腕を黒霧で引き寄せた。そして右腕を元にくっ付けて戻した。
『フハハハ……やはり簡単では無いな……我が深淵を目指すにはお前達を超えてゆかねばならぬ様だな!』
そう言うとラダルの魔力は更に増大してゆくのであった。
◆◆◆◆◆◆
一方のキラと相対するブリジッタと『十三改』だが、攻撃は当たるもののその超再生に手こずっていた。
「中々しぶといわね……」
ブリジッタは攻撃をしながらキラの目を引き付けている。そしてブリジッタに攻撃をしようと動いた所で死角から『十三改』が『魔動銃』で撃ち込んで行くのだ。キラは光学迷彩によって『十三改』の姿を捕えられないのだ。
そこでキラも姿を消した……光学迷彩の様に自分の色を変化させたのだ。しかし、ブリジッタにはそのカメレオンの様な擬態は通用しない。何故なら魔力は消えないからである。
ブリジッタは『天翔る雷覇のフュルフュールレイピア』による【風雷】でキラを攻撃して姿を現させる。
かなりの攻撃が当たっているのだがキラは全く効いてない様子である。『十三改』も『魔動銃』だけでなく短刀で切り刻んだりと多彩に攻めているが、傷も瞬時に再生されてしまうのだ。
「コレじゃあキリが無いわね……一体どうすれば……」
ブリジッタは早めにキラとの決着を着けて向こうに合流したかったのだが、実は足止めされていたのはブリジッタと『十三改』の方であった。
◆◆◆◆◆◆◆◆
『眼』はこの状況にかなりの劣勢を感じていた。本来であれば自らがラダルに近づいて【縛破眼】の力でザ・コアを引きづり出して攻撃させれば一気に勝負が着くはずなのだが、あの紫色の魔力……闇聖の魔力に阻まれて中々近付けないのだ。
《転移眼が使えないから厳しいの……》
転移眼を使ってしまうとラダルとのパスが途切れている『眼』は縛破眼を使う事が出来なくなってしまうのだ。
《でもこのままだとエナジードレインで削られて皆が倒されてしまうの……》
その時突然に『眼』の隣に丸い『眼』が出現した。そして『眼』に囁きかけた。
《妾が手伝って上げましょうか?フフフ……》
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