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伝説の冒険者

ゴンザレスに会う為クロイフに会いに行ったアシュトレイが帰りにあの商会へと眼に導かれます

「ほう……あのアリシアが錬金術を」


「今は師匠からの推薦で王都の学院に居るのよ。あの子が錬金術師として頑張ってるのもラダル君のおかげなの」


「そうか……」


「ラダル君とはどのように出会ったの?」


「ああ、オレが飛ばされたイーガルド連合国から太陽国ギスダルの最初の村アムトレに着いてから半年頃かな……路銀稼ぎに魔物狩りをしてる最中出会ったんだ。その時ラダルは飛ばされたばかりだったようだった。それからそこで3ヶ月ほど居たかな……言葉を覚えてそのままオレと旅をしてきた」


「ラダル君が居なくなってから3年近くになるからその間アシュと一緒だったのね……」


「そうなるな……。コチラの大陸に渡る港がある国までやっとたどり着いて後少しで帰って来れる……そんな矢先だったんだ」


「本当に残念ね……でも、まだ望みは捨てないわよ。あのラダル君だもの……簡単には死なないわ」


「ああ……その為に此処に来たのだからな」


マルソーさんと話しながらオレはテズール商会と言うとても大きな店に連れていかれた。


「コレはマルソーさんいらっしゃいませ」


「こんにちは。クロイフさんいらっしゃるかしら?急用なのですが……」


「会頭ですか?もう少しで戻られると思います。とりあえずコチラへどうぞ」


店員に連れられ応接室の様な場所に連れていかれた。かなりの高級品らしき物が並んでいる……相当大きな商会なのだろう。


「会頭のクロイフさんはラダル君と商売をやったりとかなり懇意にしてたの。ウチの食堂を出すにあたってもクロイフさんを紹介してくれたのはラダル君なの」


「ラダルからは商売をしていたと聞いてはいたが……これ程大きな商会とやっていたとは……」


「うふふ……魔法兵としても伍長で叙勲までされてたし、商売もとても上手だった。本当に何でも出来たわねラダル君は……」


「うむ、ラダルは向こうでも商売をしながら金を捻出していたからな。路銀で困った事はラダルと出会ってから一度もないな」


「そうでしょうね……この商会のクロイフさんが何度もスカウトしていたしねぇ。だけど魔法兵として優秀だったから……このカルディナス領が……いえ、王国が存続しているのもラダル君のおかげと言っても過言じゃないわ。彼が最期の戦いで帝国軍から奪ってくれた魔法銃で帝国の進軍を止める事に成功したからねぇ……その後は膠着状態だったのを一年前に攻勢に転じて大分取り返したとか」


「そうだったのか……魔法銃に関してはオレの親友が絡んでいたからな……ラダルに聞いた時は驚いたよ」


「えっ?親友??」


「ああ、あの魔法銃はローレシアで出会った親友のアードリーが設計した物だったんだ。オレはアードリーと帝国に行く途中で転移の森の罠で飛ばされたんだ」


「そうだったの……それじゃあヘスティアが探しても見つからないはずね……」


するとコンコンとノックの音がしてドアが開くと恰幅の良い男が入って来た。


「コレはマルソーさん、お待たせしました。何か急用だとか……」


「急に押しかけて申し訳ありません。実はラダル君の消息が掴めまして……」


「なっ!!ラ、ラダル様が!!」


「紹介します……こちらが私と同じウッドランドの住人でアシュトレイです。彼がラダル君と一緒に旅をしていたようです」


「何と……ではラダル様はお帰りに??」


「その事で話がありまして……クロイフさんのお力を借りたいのです」


「私の?ええ、勿論ラダル様の事でしたら何でも致しますよ!」


この商会の会頭であると言うクロイフと言う人物はラダルの事を相当買ってる様だな……まだ何も言ってないのに何でもすると……ラダルはかなり好かれているのだな。


「オレはアシュトレイと言います。転移先の大陸でラダルと一緒に旅をしていたのですが……」


オレはクロイフにもラダルの件を話した。そしてラダルを止める為にゴンザレスの協力が必要だと。クロイフはオレの話に驚きを隠せなかった様だったが、直ぐに使いを出してゴンザレスに連絡を取ってくれた。


「ゴンザレス様は二週間ほど前に戦地からお戻りです。副長のタイラー様に繋ぎを取りましたので二日もあれば返事も来るでしょう」


「助かります。何せラダルから上官の話は聞いていたがオレには直接の面識も無いのでな……」


「ゴンザレス様とタイラー様はラダル様の事を案じて居られましたから……ところでラダル様のお話をお聞きしても宜しいでしょうか?」


オレはクロイフにもラダルとの出会いから旅をした話をすると、驚いた事にクロイフは涙を浮かべながらそれを聞いていた。余程ラダルの事を心配していたのだろう。一通り話を聞くとクロイフはホッとした様子になった。


「如何にもラダル様らしい……旅をしながら商売をしていましたか。アシュトレイ様、何卒ラダル様の事をよろしくお願いします」


「全力を尽くします。そして……ラダルを必ず連れ戻します」


オレは返事が来るまでの間、マルソーさんにヘスティア食堂で待つ様に言われた。オレたちはテズール商会を後にした。

その帰り道、突然『眼』が話し掛けてきた。


《アシュトレイ、そこのトロンタ商会に顔を出すの》


目の前に『眼』が話したトロンタ商会と言う小さな店があった。オレはマルソーさんに先に戻って貰う事にした。オレはトロンタ商会に向かった。トロンタ……その名前に何となく引っかかった。

店に入ると気配が無い……誰も居ないのか?


「何かお探しじゃんね?」


オレは思わず咄嗟に剣に手を掛けて距離を取った!全く気配がしなかったぞ……あっ……この男何処かで……。


「おや……あの時の若造じゃんね……随分と見違えたじゃんね……」


「あ、貴方は……まさか……」


オレが驚いたのも無理は無い……この老人は有名な冒険者で『幻龍殺しのトロンタ』との異名を持つ伝説のドラゴンスレイヤーである。オレはかつて新人冒険者だった頃、この人物と二度会った事があり覚えていたのだ。


「……ほう、五行を修行したと見える……ではレディスンに会ったという事じゃんね」


「ト、トロンタさん、何故レディスンの事を……」


「アレはワシの弟子じゃんね」


「ま、まさか……トロンタさんがレディスンの師匠??」


「アレに五行を教えたのはワシじゃんね」


そうだったのか……レディスンのあの底無しの強さはドラゴンスレイヤーであるトロンタさんから学んでいたからだったのか……それなら納得がいく。


「ところで何でお前がアレを連れてるじゃんね?」


アレとは?まさか『眼』の事なのか?


《爺さん久しぶりなの》


すると今まで姿を隠していた『眼』が急に姿を見せた。しかも久しぶりなどと……知り合いなのか?


「やはりお前か……あの時の小僧はどうしたじゃんね」


《主は今大変な事になっているの》


「……ほほう……闇に落ちたじゃんね」


《そうなの。だから戻ってきたの》


「でも、今のワシじゃあもう力になれぬじゃんね」


《力はゴンザレスに借りるの。我の鍵を返して欲しいの》


「……大分元に戻ってきてるじゃんね……ちょっと待つじゃんね」


すると奥に入ったトロンタさんがしばらくして箱を二つ持って来た。

片方の箱をトロンタさんが開けると『眼』の鍵が出て来た。その鍵をオレが『眼』に差してやると『眼』は高速回転してからピタッと止まった。


《縛破眼に進化したの。コレで主を乗っ取ったザ・コアを引っ張り出せるの》


「若造……お前にはコレじゃんね。今のお前なら使えるじゃんね」


トロンタさんがもう一つの箱から取り出したのは紫色の魔石……いや魔石じゃ無い……コレは……。


「コレは龍石じゃんね。お前のその剣に取り付けるじゃんね」


だが、首狩りの大剣には魔石を着けられる場所は無いのだが……するとトロンタさんが手を出して来た。


「その剣を貸すじゃんね」


オレがトロンタさんに首狩りの大剣を手渡すと首狩りの大剣の柄の部分を引っ張った。すると柄の部分がスっと伸びて中身が出て来た。そこには穴が空いている……石を取り付けられる様に……。トロンタさんはそこに龍石を嵌め込んでその引き出した柄を元に戻すと首狩りの大剣の刀身が紫色に変化したのだ。


「コレでこの大剣は“ネームド”に進化したじゃんね」


オレが驚いていると『眼』が鑑定したこの剣の情報が出できた。


【咆哮する龍力のドラゴンバスター】

クラス︰SSS 属性︰問わない

魔力を入れるとドラゴンの鱗を斬り裂く程の硬度と切れ味を引き出せる。また、魔法を剣に纏わせ、更に増幅させて魔法剣としても使用出来る。纏わせられる魔法は属性問わず使用者のの持つ属性全て。発揮出来る能力は使用者の理の力の理解度による。チャージした魔法を融合させて発射させる『ドラゴンの咆哮』の使用も可能。


まさか首狩りの大剣が……遺跡のAクラスの武器がネームドに進化するなど……聞いたことが無い。


「首狩りの大剣は本来『龍の首を狩る』為の剣じゃんね」


そうだったのか……首狩りの本来の意味がそういう事だったのか……。


「ワシの出来るのはここ迄じゃんね。後はお前達に任せるじゃんね」


「何と言ったら良いのか……」


「気にしなくて良いじゃんね。弟子の教え子に良くしても良いじゃんね」


《爺さん助かったの》


「あの小僧を頼むじゃんね」


《わかったの》


オレたちはトロンタ商会を出てマルソーさんの店に戻って行った。


お読み頂きありがとうございます

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