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転生魔法兵ラダルは魔力が少ない!だから俺に魔力を分けてくれ!!  作者: 鬼戸アキラ
第三章 ラダルと武商旅団
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闇龍国の将軍

いよいよ闇龍国へと入ります。

「とりあえずあの棺桶については後で考えるとして……現皇帝をたぶらかした奴って何者なの?」


「魔人ファブルだ」


「はあ?!ファブルだって??奴はコッチに居たのか??」


「先の皇帝暗殺の時にな。今は何処にいるか判らない……」


「そりゃそうさ、だって今は山脈の向こうに居るからね。会った俺が言うんだから間違い無いよ」


「それは本当なのか?!そんな……まさか……」


「奴は向こうで魂を集めている。村も一つ落としているはずさ」


「あの村長の件か……」


アシュのおっちゃんには全部話してあるからね。


「あの村長??」


「ああ、そこの村長は恐らくは村人全てを殺してファブルの眷族になった」


「それが本当ならば……今の皇帝を操っているのはその者なのかも知れんな……」


「もし、ソイツがあの村長なら多分俺を狙ってくるよ。俺に怨みを晴らす為に眷族になった筈だからね」


「……ファブルの眷族となれば相当な実力だぞ?大丈夫なのか?」


「フン、来たら返り討ちにしてやるよ」


「オレも手伝う。あの時はラダル一人に背負わせてしまったからな」


「アシュのおっちゃん気にしないでよ。俺が好きでやった事だし助かった人間が居るんだし後悔は無いね」


しかし、あのファブルの眷族となるとどのくらいの強さなのだろうか?まあ、とりあえず来たら全力で潰すのみだ。


とりあえずケンタウロスの縄張りを離れてから山岳地帯へと向かう。そして闇龍国の国境付近で魔影の者達と合流するのである。

ケンタウロス達が縄張りの端まで案内してくれると言う。

アシュトレイおっちゃんが座禅を組んでいると先頭に居たケンタウロスがやって来る。


『お前は無を知る為の修行だと言っていたな?それはレディスンから習った事か?』


「レディスンを知っているのか?彼は我らの師匠だ」


『ああ、やはりそうか。彼は大分前にこのケンタウルスの縄張りを通り抜けようとやって来た。その時にまあ色々あってな……彼は一ヶ月ほどこの地に逗留していた。彼は元気にしているか?』


「そうだったのか。レディスンは我らを修行をつけた後で山脈の向こう側へと旅立ったよ。向こうで我らの仲間に修行をつける為にな」


『ほう、山脈の向こう側か……まあ、元気にしているなら良かった』


その後、そのケンタウルスとアシュのおっちゃんは話をしながら進んでいたよ。俺は『眼』の画像を見ながら座禅を組んでいた。


三日ほどでケンタウロスの縄張りの端までやって来た。その間俺が料理を振舞ったりしたのでケンタウロス達とも大分うち解けていた。


『我らが案内出来るのはここまでだ』


「色々世話かけたね」


『返って我らの方が世話になった。ラダルの作った飯は美味かったからな』


「喜んでもらったなら作った甲斐もあったよ」


『無事に故郷に帰れる事を祈っているぞ』


「うん。本当にありがとう」


ケンタウロス達は俺たちが見えなくなるまでその場で見送ってくれた。


俺達は山道を進んで行った。途中でオーガの襲来とかも有ったが、さっさと潰したのでさほど問題も無く進んで行った。


二日も進むと国境の砦が見えて来た。シウハは砦を守っていた指揮官に皇太子から渡された書状を見せるとすんなり通してくれた。

そのまま樹龍国を出国して闇龍国の砦まで向かう。すると闇龍国の砦から騎兵が十騎程やって来た。


「止まれ!!何者だ!?」


するとシウハが馬車から降りて来る。騎兵達は最初警戒した様だったが、シウハの顔を確認するなり軍馬から飛び降りて平伏する。


「こ、皇女殿下!!」


「うむ、顔を上げよ。迎え大儀である」


「ははっ!!全て魔影より話は聞いております!御案内致します!」


シウハが馬車に乗り込むとそのまま騎兵達が砦に向かって案内をする。

砦の大きな門が開いて俺達の馬車は中に招き入れられる。俺はもちろん『眼』に確認させて居るので、罠だったら攻撃をするつもりだったが、待ち伏せなどはしてなかったので特に警戒は強めなかった。


「シウハリア様!!」


ハゲ頭の爺さんが飛んで来た。何者だ??


「おお、じいやか!久しいな!」


「姫様……このセリオン、生きてる内に姫様とお会い出来て感無量で御座いますううう!!」


と、セリオンの爺さんがオイオイ泣き出してる。シウハは困った顔をして「何を大袈裟な……」と呆れているようだ。そしてその後からこの砦の司令官……と言うには貫禄があり過ぎる爺さんが覆面を被ったフードの者と一緒にやって来る……二人とも中々の魔力だぞ……片方が魔影とか言う奴かな?

二人ともに膝をつき頭を下げる。


「コレは……アゼラル将軍……貴公が何故ここに??」


すると爺さんの方が顔を上げてニヤリと笑う。


「この魔影より皇女殿下がお戻りと聞きましてな。この老骨……最期の御奉公をさせて頂きたく馳せ参じた次第です」


「貴公は子息に家督を譲ったと聞いていたが?」


「はい。それ故に何の縛りも御座いませぬ。どうか後存分にお使い下さりませ……」


するとシウハはアゼラルの方に向かう。


「アゼラル将軍……本当にありがたい……貴公の忠節、このシウハリア感謝しようも無い……」


「なんと多大なるお言葉……我らは何時でも姫様と共に御座いますぞ。皇弟陛下をお救いして国を建て直しましょうぞ!」


「うむ、宜しく頼む!」


「ははっ!!」


そしてもう一人の仮面を着けたフードの者の前に向かう。


「魔影の頭領マゼラム……今まで良くやってくれましたね」


「姫様……」


その声は女性のものである。しかしこの声……何か聞いた事があるぞ……。


「それじゃあ、皆で軍議を始めようかねぇ~」


いつもの口調に戻ったシウハに爺さん2人が目を見開いて驚いている。


「アシュトレイとラダルも軍議に加わりな!お前達二人がこの軍議のキモになるからねぇ~」


「うむ、良かろう」


「俺も良いよシウハリア皇女殿下ぁ~」


「フフフ……沢山働いてもらうよ!良いね?」


「報酬はたんまり頂くよ」


「なっ!何と無礼な!!」


セリオン爺さんがエラい怒ってるけどシウハは笑いながら話を続ける。


「ラダル、お前は相変わらずだねぇ〜。仕事さえキチッとやれば報酬ははずむよ!!」


「もちろん!任せて〜」


するとアゼラル将軍が俺の方を見てシウハに話をする。


「二人とも中々の使い手の様ですが……正直実力を計りかねております。一つ手合わせ願えないですかな?」


「どうする?アシュトレイ、ラダル、どっちがやるんだい?」


「じゃあ俺がやるよ」


俺が手を挙げるとアゼラル将軍が目を細める。何を見てるのかな?


《珍しい鑑定眼の持ち主なの》


へぇ〜なるほどそう言う事か……そりゃあ俺達のスキルやステータスは『眼』のブロックで見れないだろうからね。


「その良さそうな眼でも何も見えないのかな?」


「ほほう……私の眼の事を?コレは楽しめそうだな」


何か爺さんがやる気満々なんすけど……。

広間の方に出た俺とアゼラル将軍は左右に分かれて行く。俺は金槌を持ち、アゼラル将軍は蛇矛を持っている。

俺は持っている硬貨を上空にブン投げて落ちたのを合図にする。


キン!!


落ちた瞬間にアゼラル将軍が突進して来ている!俺は突き出して来た蛇矛を躱すと思い切って金槌を振りかぶりながらアゼラル将軍の懐に飛び込むが、バックステップで華麗に躱されてしまう。俺は『溶岩弾(マグマバレット)』を撃ち込みながら『泥壁マッドウォール』を発動した。アゼラル将軍は蛇矛で泥の壁をズバッとぶった斬る!!が、その時に俺の『隠密千仭』にハマった。下半身が動かないアゼラル将軍だが蛇矛のリーチを活かして俺を狙ってくる!しかし、俺はそのまま『隠密千仭』の魔力を止めると固まって動けなくなる……はずだったのだが、アゼラル将軍は強引に魔力を放出して上に一気に飛び上がる!

俺は『溶岩弾(マグマバレット)』を撃ち込みながら【黒霧】を発動してアゼラル将軍の動きを止めようとしたが、またも魔力を放出して黒霧の動きを防ぎ、俺の方に蛇矛の一撃を繰り出した!!今度の一撃は今までとは違う!魔力を乗せた一撃だ!ヤバい!!

その瞬間、俺は精霊の腕輪を使い【血魔法】の赤い霧を吹き出した!そして蛇矛の一撃を防いだのである。


「へぇ〜、流石は将軍と言われるだけあるねぇ!俺に本気を出させるんだからさ!」


「ほう、この一撃を受け止めるとは……しかも【黒霧】に【血魔法】……ラダルとか言ったな?何故その不死者の魔法を使えるのか?」


すると俺が答える前にシウハがネタバラシをする。


「それはなアゼラル将軍、このラダルがレブルとリルブルを倒し、その魔法を奪ったからなのさ」


シウハがアゼラル将軍にこう言うとアゼラル将軍は驚いた様な顔をした。


「何と……それは本当なのか?」


「倒したのはアシュのおっちゃんと二人でね。一人じゃあ到底敵わなかったよ。闇属性ならスキルとして覚えるからさ……ちょっと俺って特殊なんだよね」


「なるほど……姫様が信頼するのも当然の事か。うむ、中々良い戦いぶりであったぞ」


「将軍こそ……本来の力を出さずに俺の本気を出させるんだから恐れ入りますよ。どれだけ手札を隠してるんだか……」


「フハハハ!気付いておったか。されば尚良しじゃ!」


そう、この爺さんはまだまだ手札を隠してやがる……中々食えない爺さんだよ!!




お読み頂きありがとうございます。

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