鬼ヶ島の鬼退治
香辛料のある島での戦闘です。
樹龍国には土龍国の国王の書状を見せて入る事が出来た。ちなみに土龍国のその後だが、宰相を暗殺した事で穏健派が完全に実権を掌握した為に黄龍国とのいざこざは終了した様である。ただし、かなりの領土は切り取られたらしいが……。
樹龍国は亜人の国である。
覇龍六星の内の一人が亜人と人間のハーフだった様だ。その為に他の五国から逃げ出して来た亜人達を受け入れたのだ。
亜人達の中で人間と商売が出来るのはリザードマン族、小人族とケンタウロス族、人狼族、魚人族……そして覇龍六星の龍人族だという。後は人間を毛嫌いしてたり、そもそも意思疎通が出来ない種族らしいので無理だという。
俺はココでエルフ族と取引をしたいと思っていた。その為にはリザードマン族と接触しないとダメらしい。俺はシウハに相談してみた。
「ほう……あの凶暴なエルフと交易ねぇ……本当に出来るのかい?」
「彼らと交易した事があるんだ……まあ力ずくだけどさ。その時に香辛料を物々交換したんだよね」
「力ずくって……」
「襲って来たからね。仲間を誘拐されたからちょっとキレた」
「……全く……お前らしい話だね……それで香辛料を仕入れたいのかい?」
「うん。タヒドの話だとリザードマンが売ってくれるらしいね」
「ああ、確かにアイツらなら島から持って来れるからねぇ」
「島?」
「知らなかったのかい?リザードマンは船で島から香辛料を運んでる。その島が香辛料の有る場所なのさ」
「なるほど……そういう事なのか」
「まあ、行き先の途中だから立ち寄るのは構わないよ。ただし、エルフと交易出来るんだろうね?」
「多分、大丈夫だと思うよ。少し揉めるかもだけどね」
「……ラダル、お前の責任でやりな!アタシは高見の見物と洒落込ませて貰うよ!良いね?」
「それで良いよ」
まあ、上手く行くかは博打みたいなもんだしね……。
という事で俺達はリザードマンの居る港町に向けて出発した。
2週間後、リザードマンの港町に到着すると町の様子が少しおかしい。怪我をしているリザードマンが数多く居る……一体どうしたのだろう?
「おい、どうしたんだ??」
「……シ、島ニ……鬼ガイル……」
「鬼??」
「ミナ、アノ……鬼ニ……ヤラレタ……」
「一体どうなってんだい??こりゃあ只事じゃあ無いよ!」
流石のシウハもこの状況では驚きを隠せない。鬼って一体何の事か?オーガなのか??
「ん?海の向こうか……アレの事なのか?」
アシュのおっちゃんに言われて探ってみると海の方から途轍もない魔力が発せられている……。この魔力……憶えがある……つか、忘れる訳無いよね……。
「ラダル……アレは……」
「アシュのおっちゃん……アレは鬼とかオーガとかそんなモンじゃないね……」
「ああ……アレは恐らく……魔人だな……」
レブルやファブルと相対した時と同じ……あの魔力は魔人特有の魔力だ。
シウハが出て来てうっすらと見える島を見つめながら、
「こりゃあダメだね……ラダル、このまま先に行くよ。香辛料は諦めな!」
「ニャアア!!」
「そうだね、キラ……シウハ、俺はあの島に行くよ」
「!?何言ってんだい?正気かい??」
「うむ、オレも行ってみようと思う」
「ア、アシュトレイまで……馬鹿を言うんじゃないよ!殺されるよ!!」
「大丈夫だよシウハ。俺達、失敗しないので」
「!?……何言ってんだい……ったく……勝手にやりな!!」
シウハは呆れた顔で馬車に戻ってしまう。ザルスが俺達に話しかけて来る……顔が怖いよ!
「お前たち本気なのか??アレはヤバいぞ?」
「修行の成果を試すのにこれ以上無いくらいの申し分無い相手だ」
「じゃあ、鬼ヶ島の鬼退治……いや魔人退治と行きますか!!」
「ニャアアアア!!」
「おう!」
俺とアシュのおっちゃんは大きくなったキラに乗って、空から鬼ヶ島に行く事になった。
俺はランドセルから『十三』を出した。魔法銃が通用するかは分からないが、もしダメなら接近戦と言う選択肢もあるしね!
島に近付くと使い魔のような羽を持ったヤツが30体ほどやって来た。ソイツらにキラがブレスを吐いて半分以上を黒焦げにした。残りは俺が『溶岩弾』で、『十三』は魔法銃を撃って始末する。
「雑魚はひっこんでろっつーの!!」
俺達が島に降り立つと、岩の化け物……ゴーレムが集団で襲いかかって来る!
俺はすかさず『アイスクエイク』を発動させる!ゴーレムは冷気で固められ脆くなった。そして地割れと地震で身体がボロボロ砕かれる!
次に襲って来たのは大きなサソリの群れだ。キラがブレスを吐きながら爪で切り裂いて行く!俺はキラがやり損ねたサソリを金槌でぶん殴りなから『溶岩弾』で片付ける。アシュのおっちゃんは逆方向でハルバートをぶん回してサソリを斬りまくっていた。
サソリを片付けると今度は中々の魔力の持ち主達がやって来る……魔人……は居ない様だね。
「キサマら……やりたい放題やりおって……」
「次は我らが相手をしよう」
「我が主が出るまでもあるまいよ……」
四人の人間……いや、あれは魔人の眷族になったヤツらだな。中々厄介そうだね……。
「グダグダ言ってないで掛かって来たら?早めに終わらせたいんだけど」
その言葉にキレたのか四人は一気に突っ込んで来た!!だがキラがブレスを四人に吹き付ける!
眷族達はソレをスルリと避けたが、俺の『隠密溶岩弾』で一人の頭をぶち抜いた!
「おお……ヤラれちまったぜ……」
頭をぶち抜いた眷族の一人が再生しながら立ち上がった……嘘だろ……。
《アイツらは身体の中にある魔人石が弱点なの》
(魔人石?……ああ、魔力が噴き出す様に出てるアレか!)
(……了解した。それを狙えば良いのだな?)
《そうなの。『十三』に狙わせるの》
『眼』が『十三』に魔人石の位置を見せている様だ……その直後、眷族達の後ろからバレットが発射され一人の眷族に風穴を空けた!
「ぐぉおおお……そんな……バカな……」
すると眷族の身体がが砂の様に崩れて消え去ってしまう!
つうか、『十三』はいつの間にヤツらの背後を取ったんだ??
「くっ!バカな!」
「気をつけろ!ヤツら……」
その眷族は次の言葉が出なかった……アシュのおっちゃんのハルバートがソイツの魔人石を貫いていたのだ!速い!!
キラも『陽炎』を発動させてのらりくらりと眷族の攻撃を掻い潜り、至近距離からブレスをぶち当て消し炭にした後で、更に爪で魔人石ごと切り裂いた!
「こんな馬鹿な……有り得ない!!」
「そんな余裕有るのかよ?」
その直後その眷族の魔人石に俺の魔法が突き刺さっていた……。
「ごほぉぉぉ……いつの間……」
「『隠密溶岩誘導弾』……てめぇはもう死んでるぜ!」
何処かの某拳法家のセリフみたいなのを言った刹那、眷族は爆発と共に跡形もなく消え去った。
《ほう……中々やるな……良かろう、眷族共を倒した褒美に地獄を見せてやろう……》
すると凄まじい魔力がこちらに向かってゆっくりとやって来る……いよいよ本命のご登場ってか?
《余が【覇忌】のリルブルである》
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