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Lv5.ドナドナ!

エタらん、エタらんぞおおお




前回までのあらすじを語るぜ!


羊を数えていたら捕まったんだが!声からして相手は人間の男だ。一体何に入れられているのやら。

じじいに出会ってから悪運のコンボが続いている気がする。おのれじじい。


しかし俺は諦めない、これに乗じて迷宮脱出だぜ!



■ツキが回ってきた冒険者


「おら、ヴォーグは何処だッ!金を返しに来てやったぜ――ぐあっ!?」


意気揚々と賭博場へ入り込み、大きく怒鳴りつけたボゥビンは入室早々に拳の返礼を受けた。

ボゥビンを殴りつけたのはマハト・ヴォーグの手下である剣士の男だ。


「おいおいおいおいボゥビンよお、お前は一体いつからそんな偉くなったんだァ。ヴォーグ"さん"だろうが!」


「うるせぇ!」


ボゥビンは即座に殴り返した。マハト・ヴォーグが相手なら遜るが取り巻き相手にまで舐められる気はなかった。

それに相手は自分より弱い。格下の相手には容赦を知らない男、ボゥビン。


「なっ、ボゥビンてめえ俺にこんな事をしてただで」


「黙れ!」


よろめきながらもなお絡んできた剣士はボゥビンから激しい逆襲を受けて沈黙した。

気を取り直して再び室内を見渡す。

まだ時間帯は昼だ、人気は少なく取り巻き連中も最初の剣士を叩きのめしてからは絡んでくる様子は無い。


だからといって油断は禁物だ。マハト・ヴォーグの手下()とにかく気性が荒い。

万が一、また絡まれないようにボゥビンは周囲に睨みを利かせた。

……何人か自分では手も足も出ない凄腕が混じっている。ボゥビンはそっと目を逸らした。


ふと歩きながら、懐に隠したスライム入りの皮袋に触れた。やけに大人しいが皮越しに蠢いているのを感じ取れる。

ボゥビンは安堵の息を漏らした。


(よしよし、生きてるな……)


最初に殴られた時は冷や汗をかいた。もし拳の先が顔面ではなく胸元に来ていたら――そう思うと無性にあの剣士を殴りたくなる。


股間を潰すべきであったか。そんな危険思想を浮かべながらボゥビンは店の奥まで進んだ。

扉近くの席でたった今賭けを外し所持金を散らした男が、こちらを見て話しかけてきた。


「ヴォーグさんならこの先だぜ」


「ありがとよ」


男に礼を言って傍を通り過ぎる。

扉の前へ辿り着いた。先程男がこの中にいると教えたが、ここ最近のマハト・ヴォーグは部屋の中から出てこないことをボゥビンも知っている。


「ヴォーーッグ!入るぞ?」


「全て聞こえておるわ煩い男め。早く来い」


扉越しに返ってきた穏やかな声。

当たりを引いたぜッ――ボゥビンは内心で喜びを顕にし、抑えきれずに頬を引くつかせながらドアノブを握りしめた――


因みに外れとは、ヴォーグが不機嫌な時である。



【豆知識1】

マハト族は亜人種の中でも一際気性が荒い。

歳を経るほど短気な性質はむしろ増していくため、老いたマハト族ほど怒ると手が付けられないぞ!



■壺スライム



こんにちは。私はスライム。

ドラゴンになり損ねた男だ。


嘘だ。

拉致から続いて監禁まで食らっていたせいでしょうもない事ばかり考えていた気がする。

半年ほど放置されていた気分だ……。

そんなボクは今解放されてます!

……壺の中に。


上に意識を向けてみる。蓋は無い。知らない天井が映っていて、そこそこ深いがその気になれば簡単に抜け出せる壺だ。


はいそこなんで抜け出さないの?って思うでしょ。


理由があるんですよ。


「貴様ァぁあっ!この儂を謀ったなッ!覚悟は出来とるんだろうな!!」


「――だ!―――ぃやめ――」


バカでかい怒鳴り声と破壊音、申し訳程度の人の悲鳴が現在進行形で続いているからだ。

やべぇよ。途中途中で人の声は何度か袋の中で聞いていたけどこれはひどい。


声の質からぶん殴られている被害者は俺を袋に監禁した相手に違いないと思う。

可哀想に。

正直連れていかれている間はこれに乗じて迷宮から抜け出すぜ!ってな気概があった(あったか?)……はずなんだけども今は壺から出る気も萎えてます。


早く終わってくんねえかな。

ドタバタ大騒ぎをBGMにしながら俺はもう少し休むことにした……まだアビリティの疲れがあるのよ。


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― 新着の感想 ―
[良い点] エタらなくて嬉しいです! ハイテンションスライムが珍しくローテンションw
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